贖宥とは? わかりやすく解説

しょく‐ゆう〔‐イウ〕【××宥】

読み方:しょくゆう

カトリック教会で、信徒が果たすべき罪の償いを、キリストと諸聖人功徳によって教会免除すること。免償


しょくゆう 【贖宥】

indulgence英)ローマ-カトリック教会で、イエスと諸聖人功徳により教会から罪の償いに対して与えられる宥。免償とも。罪の全部免除される場合と、一部のみの場合とがある。→ 免罪符

免償

(贖宥 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/28 07:24 UTC 版)

免償(めんしよう:ラテン語: indulgentia英語: indulgences)[1]とは、カトリック教会教え(カテキズム)の一つで、すでに赦された罪に伴う有限の罰の免除(軽減)を意味する[2]。なお、贖宥ともいう[3]

概要

カトリック教会の免償の意味を理解するためには、カトリック教会の教えによる「罪」と「罰」の概念を正しく理解する必要がある。罪のうち、大罪は神との交わりの断絶という「無限の罰」をもたらし、また、すべての罪は人の健全な在り方に反する執着等を引き起こし、その罪の結果が残る「有限の罰」をもたらす。罰は神の復讐ではなく、罪そのものが必然的にもたらす悪の結果であり、回心することによって償いをすることが、人を罰から解放するとされる[2]

歴史

古代教会では、罪を告白する信者に、長期の償いが課せられ、その償いが教会の権威によって軽減免除されたのが、この始まりとされる。 やがて個人告白の慣習が広がり、罪の軽重に従って様々な償いが課せられたが、巡礼・祈り・善行などで償いが全面的ないし部分的に免除されることが定められていった。そのため、免償・贖宥は、赦しの秘跡にともなって生まれたもので、中世以降には信心的な所行を行うことなどによって、自分ないし他者、特に「煉獄で罪の清めを受けている死者」の罰を軽減することと、理解されるようになっていった[3]

ある時期には、償いの免除が罪のゆるしそのものと混同されたり、迷信的様相も見られた。そのため、特に宗教改革においては、ルターから批判された。トリエント公会議においては、その教令で免償・贖宥の正当性が主張された[3]

近世以降もカトリック教会では、自他のため、特に死者のために免償・贖宥を得ることは信心業として大切にされてきた。免償・贖宥の本質的意義は、教会は一体であり、互いのために祈り支え合うことができることにある。現代の免償・贖宥の公式見解は、教皇パウロ6世の使徒的憲章「免償の教理」(1967)に見ることができる[3]

免償の種類と条件

免償には、全免償と部分免償の2種類がある。全免償は、有限の罰のすべてを免除するもので、部分免償は、有限の罰の一部を免除する[4]

部分免償

免償を受けるためには、次の3つの基本的な条件を満たしていなければならない。

1.免償を受けたいと思っていること。(意志・意向)

2.大罪が赦されていること。(成聖の恩恵の状態にある事)

3.免償を受けるために教会が指定するわざを果たすこと[4][5]

全免償

全免償を受けるためには、上記の基本的な条件を満たし、さらに次の条件も満たす必要がある。

1.全免償を受けるために、教会によって定められている条件を果たす前後の数日から数週間のうちに、ゆるしの秘跡を受けること。

2.同じ期間のうちに、聖体拝領をすること。

3.ローマ教皇の意向のために祈ること。

上記の条件を満たしたうえで、全免償を受けるために教会が指定するわざを果たすこと[4][5]

脚注

  1. ^ “Indulgences”. Catholic Encyclopedia. https://www.cbcj.catholic.jp/2004/12/25/6942/ 2025年1月27日閲覧。 
  2. ^ a b “聖体の年に与えられる免償に関する教皇庁内赦院教令”. カトリック中央協議会. (2004年12月25日). https://www.cbcj.catholic.jp/2004/12/25/6942/ 2025年1月27日閲覧。 
  3. ^ a b c d 岩波キリスト教事典 大貫隆,名取四郎,宮本久雄,百瀬文晃 編 2002年6月10日  ISBN 4-00-080202-X C0514
  4. ^ a b c “免償”. Laudate(女子パウロ会). https://www.pauline.or.jp/chripedia/mame_mensyo.php 2025年1月27日閲覧。 
  5. ^ a b “鹿児島司教区 聖年のしおり”. カトリック鹿児島司教区. https://kagoshima-catholic.jp/wp-content/uploads/2025/01/94ebf60239bd44b0a73ab8bd63ea6d66.pdf 2025年1月28日閲覧。 

「贖宥」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「贖宥」の関連用語

贖宥のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



贖宥のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの免償 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS