譲渡後の運用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:19 UTC 版)
主に混雑の激しい犬山線系統の通勤輸送を中心に最大2編成併結の6両編成で運用され、特に最混雑時間帯の列車には本系列と同じく3扉ロングシート仕様であった3550系とともに優先的に充当された。通勤輸送に特化した3扉ロングシート仕様の本系列を導入した効果は絶大で、常時遅延が発生していた最混雑時間帯に新名古屋に発着する列車を、2扉クロスシート車の4両編成から本系列の3両編成に運用変更すると遅延が発生しなくなったというエピソードも残る。このように、本系列の運用実績により3扉ロングシート仕様車のラッシュ時における収容力の高さが改めて実証される結果となり、通勤対応の車両の必要性を社内に広く認識させ、名鉄自社設計による3扉構造の通勤形車両である6000系の設計・製造に大きく弾みを付ける形となった。 なお、導入後においては車内壁部デコラ板の淡緑色塗料による塗り潰し化・座席モケット色の変更・客用扉上部への水切り設置のほか、元来装着した前照灯ケースを生かす形での前照灯のシールドビーム2灯化など小改造が施工され、またモ3881は前面貫通扉を従来の木製扉から鋼製扉へ交換された。 名鉄譲渡後の本系列は、歯車比が3.44とAL車各形式の3.21より大きく、かつMT比が高いことから起動加速性能はAL車と比較して優れており、「カルダン駆動のSR車並みの加速力」「よく走る」と評された。しかし一方で歯車比の相違から本系列の全界磁時定格速度は59.5 km/hとAL車の同64 km/hと比較して低く、さらに弱め界磁制御機能を持たないため中速域以上の加速性能は劣ると評された。このため、本系列は高速性能が求められる急行以上の優等列車運用は困難とされ、当初は普通のみに充当されていたが、後年には急行や準急の運用につくこともあったほか、正月ダイヤ期間中の豊川線線内折り返しの特急に充当されたこともあった。 このような性能上の見劣りや他のAL車各形式との共通運用が不可能であるなどの制約を抱える本系列は、前述6000系の増備進捗に伴って、本系列全21両が出揃った翌年の1981年(昭和56年)7月27日付でモ3881-モ3882-ク2881が、同年9月7日付でモ3887-モ3888-ク2884がそれぞれ除籍されて第一次導入分から6両の廃車が発生、譲渡から6年で淘汰が開始された。 その後、1983年(昭和58年)3月28日付でモ3883-モ3884-ク2882およびモ3885-モ3886-ク2883の6両が廃車となり、第一次導入分の12両は全車廃車となった。残る第二次導入分の9両についても6000系の後継形式である6500系の増備に伴って1986年(昭和61年)3月13日をもって定期運用を離脱、同年3月24日に各務原線において定期列車を使用して実施されたさよなら運転を最後に、1986年3月28日付で全車除籍されて本系列は譲渡後通算11年で全廃となった。 廃車後は全車とも解体処分されたが、本系列が装着したKS33E台車は3780系ク2780形および3800系ク2800形へ転用された。また、東急在籍当時から全車に取り付けられていた車内天井扇風機は、名鉄に在籍する従来車のうち車内送風機を装備していなかった各車両へ転用され、旅客サービス改善に役立てられた。
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