訴訟と回想記とは? わかりやすく解説

訴訟と回想記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:23 UTC 版)

ソロモン・ノーサップ」の記事における「訴訟と回想記」の解説

ノーサップは、奴隷として売られ後生還した数少ない自由黒人となった弁護士代表しオハイオ州選出の上院議員だったサーモン・チェイス、オーヴィル・クラーク(英語版将官ヘンリー・B・ノーサップ、これに加えてソロモン本人原告となり、バーチや、ワシントン彼の誘拐関わった人物訴えたソロモンヘンリーニューヨークに戻る途中でワシントンD.C.立ち寄り警察判事バーチ訴え法的申し立て提出したバーチはすぐに逮捕・起訴されたが、ノーサップは黒人法廷証言できないというワシントンD.C.法律阻まれた。バーチのほか奴隷貿易関わった人物は、ノーサップの方から、ジョージア州から来たので売り出してほしいと彼らに近付いてきた、と証言した一方でバーチ取引台帳には、ノーサップの買い上げについて何の記録残っていなかった。起訴ヘンリー・B・ノーサップや、長年ソロモン知り合いだった白人たちが行い、彼らは「ソロモン・ノーサップニューヨークで自由黒人として生まれ誘拐されるまでその地位保っていた」と証言したバーチの話に法的に抗弁できる人物はおらず結局バーチ無罪となった。この裁判一方で衝撃的な事件国民関心を引き、ノーサップの救出からわずか2週間後の1853年1月20日には、『ニューヨーク・タイムズ』へ裁判に関する記事掲載されたほどだった。 無罪判決下った後、バーチはノーサップを相手取り不当にジョージア州出身奴隷偽って買い取り代金625ドル騙し取ったとして訴え起こした。ノーサップは自分の話の正当性熱心に主張し次の裁判催促した結局バーチは、ノーサップの抗議弁護士助言を受け、この訴え取り下げた。ノーサップ自身は、バーチ訴え彼の心証悪くようとしているだけだと知っていた。ノーサップが本当にジョージア州から来た奴隷」だと言っていたならば、解放から数日後司法訴えバーチとの訴訟起こして自分の自由を脅かすことは全く意味の無いことである。ノーサップは、サーカス芸人だと称していたブラウンハミルトン訴えようとしたが、彼らが伝えたのは偽名であり、行方分からずじまいだった。 その後同年中にノーサップは回想記である『12イヤーズ・ア・スレイヴ(英語版)』Twelve Years a Slave1853年)を出版した。本は地元のライター・ジャーナリストだったデイヴィッド・ウィルソン(英: David Wilson)の助けを受け、3ヶ月かけて書き上げられ、その後ニューヨーク州オーバーンダービー&ミラー (Derby & Miller) から出版された。当時奴隷制度疑問投げかけられハリエット・ビーチャー・ストウの『アンクル・トムの小屋』(1852年)がベストセラーになっていた頃で、ノーサップの本の売り上げもも3年で3部に達しベストセラーとなった。 本が出版された後、ニューヨーク州フォンダ英語版近くに住む郡判事のサディアス・セント・ジョン(英: Thaddeus St. John)は、1841年ウィリアム・ハリソン大統領葬儀時期に、黒人と共にワシントンD.C.旅していたアレクサンダー・メリルとジョゼフ・ラッセルという2人友人思い出したセント・ジョンワシントンから戻って彼らと再会したが、その時には黒人同行していなかった。彼らはかなり高額新しいものを身に着けたり運んだりしており、セント・ジョン最初の旅の最中奇妙な会話があったことも思い出した。彼らは黒人同行していた時、セント・ジョンが知るメリルラッセルという名前ではなくブラウンハミルトン呼ばれていた。セント・ジョン当局連絡してノーサップと面会し1841年列車の中で初対面したことを確認した。この身元確認元になり、メリルラッセル居場所突き止められ逮捕された。 ニューヨークで裁判は、ノーサップとセント・ジョン原告として1854年10月4日始まった。この裁判では、国内奴隷貿易における多数不法行為明るみ出された上、証拠積み重ねてノーサップの経験に関する証言裏付けられた。弁護人たちは、犯罪が行われたのがニューヨークであれワシントンであれ、ニューヨーク裁判所司法管轄の外にあると主張した2年間の法廷闘争の末、ニューヨーク新し州検察官裁判続行できないとし、1857年5月閉廷したワシントンD.C.では訴え却下され、ノーサップを奴隷にしたメリルラッセルには、これ以上法の咎め言い渡されることは無かった

※この「訴訟と回想記」の解説は、「ソロモン・ノーサップ」の解説の一部です。
「訴訟と回想記」を含む「ソロモン・ノーサップ」の記事については、「ソロモン・ノーサップ」の概要を参照ください。

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