親引けの歴史とは? わかりやすく解説

親引けの歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/17 12:51 UTC 版)

親引け」の記事における「親引けの歴史」の解説

1960年代後半増資在り方既存株主に対して実施する額面発行増資から広く投資家公募する時価発行増資変更させていくことが経済界検討されていた。これに対して1967年機関投資家である生保業界銀行業界の業界団体である生命保険協会全国銀行協会から、制度変更を行うのであれば機関投資家に対して募集売出しにかかる株券等優先的に割り当てることを求め意見書公表された。この意見書対し野村證券大和証券日興證券及び山一證券大手証券4社の引受部門担当者構成され引受部長会では、時価発行増資に関する引受けあり方について検討行った上で1972年12月証券界の自主調整ルール作成し上記機関投資家要望踏まえた株主優先入方式を導入のうえで、既存株主優先的に配分受けられるような業界慣行として親引け認めこととする一方で親引け数量については配分数量全体50%以内収めることとした。 その後1970年代中盤以降増資方式額面発行増資ではなく時価発行増資主流となっていくなかで、前述株主優先募入に代わり発行会社引受証券会社に予め配分先を指定する行為頻繁に行われることとなった。これは、前者既存株主全員優先的な割当を受ける権利生じるのに対し後者発行会社指定された者にしか優先的な配分なされないこととなり、機関投資家優先的に配分を受けやすい形となった一方でこの間証券業界側では、投資家等が「親引けは、発行者選んだ特定の株主投資家ディスカウントによる利益享受させる不当な行為受け止め」ていることを踏まえ配分数量全体占め親引け可能な数量割合段階的に引き下げていた。 1980年代には、公募増資時価比較して大幅なディスカウント価格での割当が行われているという実態から、「増資は儲かるもの」という考え投資家の間で一般的なものとなったそのような中で1982年11月大蔵省証券取引審議会では、時価発行増資在り方引受証券会社役割について、引受審査価格設定安定操作割当及び増資後のモニタリングなどの観点から議論なされたその中で公募人気商品として証券会社営業目的使われることが多く一般個人投資家にとっては、その取得容易ではない。」あるいは「公募の相当部分が発行企業売り先指定等により、金融機関取引先法人など募集販売されており、個人株主増大努力が必ずしも十分に行われていない。」とする指摘なされた。さらに、親引けについて、証券会社引受け行い公募増資が行われる銘柄株価上昇する傾向広く見られていたことが、特定の株主投資家利益享受させる結果産んでいたという実態について、投資家などからも強い批判寄せられていた。これら指摘などを踏まえた証券業界では、1983年2月、各証券会社引受部長構成される引受部長会開催し、「時価発行増資に関する考え方」を取りまとめ親引け原則禁止することとした。この時、合わせて金融機関を含む法人への配分比率30%以下とすることとし、これを業界自主ルールとした。 このような歴史踏まえ原則禁止とされた親引けではあったが、以下の要件満たす場合親引け許容された。 連結関係又は持分法適用関係にある支配株主がその関係を維持するために必要な場合企業グループ全体での持株比率維持するために必要な場合業務提携関係にある株主がその持株比率維持するため又は業務提携関係を形成しようとする者が一定の株式保有するために必要な場合持株会等を対象とする場合発行会社役員従業員等にストックオプション目的新株予約権配分する場合1989年官庁御用納めに当たる12月26日当時証券取引法上は必ずしも違法とは言い切れなかったとされる「にぎり」「とばし」と呼ばれる証券会社による大口顧客等への損失補填利益供与問題受けて証券会社自己判断運用する営業特金」の解消主眼に、大蔵省証券局が蔵相通達証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」を証券業界の業界団体ある日本証券業協会会長に対して発出するこの中で、「公募等については、従業員持株会等を対象とする場合除き発行会社指定する販売先への売付けいわゆる親引け)は行わないなど、公正を旨とした販売を行うこと。」(原文ママ)が求められる1992年7月親引け原則禁止うたっていた「時価発行増資に関する考え方」が廃止された。これを受け、親引け規制日本証券業協会新たに作成した有価証券の引受けに関する規則受け継がれた。その後2003年10月には、親引け同様の効果を持つ並行第三者割当実施に関して親引け規制の趣旨尊重するよう証券会社発行会社要請する規定新設する等され、規制はより強化された。 2012年1月、「親引け例外的に許容される要件個別具体的に列挙するではなく引受証券会社適正判断する場合については親引け例外的に許容するという、より柔軟な規制改めるべき」という意見が、募集株券等配分係る規制あり方に関する検討分科会にて示された。これを踏まえ親引けに関する規制を持つ日本証券業協会では、有価証券の引受けに関する規則など改正し親引け原則禁止されているという規制の趣旨尊重割当先によるロックアップ確約を得ること及び親引け先の選定理由等について適切な開示を行うことなどを条件しながらも、親引け可否については引受証券会社判断委ねるよう規制なされている。

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「親引けの歴史」を含む「親引け」の記事については、「親引け」の概要を参照ください。

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