製造装置メーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 00:28 UTC 版)
半導体産業全体の中でも半導体そのものを設計製造する企業に次いで大きな業種を構成しているものに、半導体製造装置を作る企業群がある。 半導体の製造には、微細な光学的加工や真空やガスを扱い、常に純度の高い清浄な環境が求められる。他の製造業とは異なるこういった特徴によって、多いものでは600もの工程を必要とする半導体の製造に用いられる主要なものだけでも100種類以上にのぼる装置類の多くは、これらの高い要求を満たす高度な技術力を備えた専業の半導体製造装置メーカーによって作られ、半導体を設計製造する企業に販売される。 半導体製品の微細化が進めば量産時のコストが削減できるという半導体産業特有の事情によって、数年の周期で半導体製造装置の微細化が大きく進められ、多くの場合、ユーザーである半導体製造企業との共同によって先端科学技術による次世代の製造プロセスが開発され、これに基づいて新たな世代の装置が生み出される。また、これらの装置では数世代ごとに扱えるウェハーの直径が拡大されて、生産効率を高める工夫も行われている。 常に革新的な技術の導入が求められているため、いくつかある大企業の下には大学や企業からスピンアウトした無数の企業家による小さな新興企業群が存在する典型的なIT産業を構成している。 半導体の製造は、「フォトマスク(レチクル)作成工程」、「前工程」、「後工程」に大別され、製品の性能や製造コストを主に支配する前工程での製造装置が単体価格や技術レベルでも高くなるため、産業規模で見ても前工程製品の占める割合が大きい。 フォトマスク(レチクル)作成工程 レイアウト設計と回路パターンとフォトマスク(多くの場合がレチクル)の作成工程がある。フォトマスク類はレーザー描画装置や電子ビーム露光装置によって細かな画像が描かれ作成される。詳細はフォトマスク#製造工程と使用法を参照のこと。フォトマスクもアウトソーシングによる請負会社が現れている。 前工程 前工程では、洗浄装置で洗浄されたウェハーは、まずCVD装置やイオン注入装置、PVD装置等によって必要な箔膜を表面に形成し、次にコータ・アンド・デベロッパのようなフォトレジスト液の塗布と加熱定着を行う装置によって露光処理の準備が施される。そしてステッパとも呼ばれる露光装置が何十枚ものレチクルやフォトマスクをが順次装着して、シリコンウェハー上に回路パターンを光学的に転写してから、エッチングによって不要部分を溶かすことで洗浄後は必要な層だけが残る。このように微細な回路を構築してゆく。21世紀からは回路上の膜の積層度も上がってCMP工程によって回路表面の平坦化が何度も行われ、CMP装置が研磨剤(スラリー)と研磨布(パッド)でウェハー表面を研磨によって削ってゆく。 後工程 後工程は大きく分けると検査と組立の工程からなる。検査工程も、製品価格や用途に応じて出荷直前に通電するだけのものから、ウエハーの状態でLSIテスターにより電気的な動作を確認するもの、パッケージに仕上げてから数日間の間に駆動電源と動作信号を掛け続け周囲環境を高温と低温に変化させるようなバーンイン検査など多種の検査がある。組立工程では、ダイシング工程とマウンティング工程(ダイボンディング工程)を経て、多くの場合はワイヤーボンディング工程によって外部との接続端子であるリードフレームやインターポーザーの配線に繋がれる。多くの半導体ではプラスチックによってトランスファーモールディング方式で射出成形される。最後に検査とマーキングの後、静電気除去処理の施されたトレイやチューブに収納され梱包されて製品となる。マーキングは、シルクスクリーン印刷によるものと、レーザーマーキングによるものがある。
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