衛星基幹放送事業者認定に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 09:46 UTC 版)
「ザ・シネマ」の記事における「衛星基幹放送事業者認定に関する問題」の解説
東北新社の役職員による総務省の幹部を接待していた問題に絡んだ形で、2021年3月5日に行われた参議院予算委員会の質疑において、立憲民主党議員の小西洋之から、東北新社のBS4Kチャンネルの衛星基幹放送事業者の認定に際し、放送法で規定されている外資規制に違反しているという指摘があった。 詳細は「東北新社役職員による総務省幹部接待問題」を参照 衛星放送を含めた基幹放送事業者として事業認定を受ける際には、放送法第93条第1項第7号で掲げられた要件の一つとして、外資からの出資比率が20%未満である事が規定されており、20%を超えている場合は同法第103条第1項に基づいて認定を取り消すことが可能となっている。小西の指摘によれば、東北新社は2017年1月24日に総務省からBS4K放送の認定を受けたが、同年3月31日付の有価証券報告書では外資比率が21.23%とされており、この時点で外資規制違反に当たるとしている。だが、総務省は認定を取り消さず、東北新社は同年10月に子会社の東北新社メディアサービス(以下、メディアサービス)に事業移管を行っていた。小西の指摘に対し、総務大臣の武田良太は答弁で「外資規制に違反していた可能性が高いと考えられる」と認め、「東北新社からの確認を得て、ルールにのっとって必要な対応を取りたい」と回答した。 その後、事実関係の調査の実施とともに東北新社から説明を求めたところ、東北新社から「2016年10月の申請から2017年1月の認定までの間の正しい外資比率は20.75%であり、20%未満で申請したのはミスであった」と回答を受け、また提出資料を精査した結果放送法の規定要件を満たしていなかったことも確認された。これを受けて武田は2021年3月12日に行われた記者会見で、総務省による東北新社への放送事業の認定について重大な瑕疵があったと判断、事業を承継したメディアサービスに対し「ザ・シネマ 4K」に関する衛星基幹放送事業者としての認定を取り消す行政処分(以下、本処分)の方針を明らかにし、メディアサービスに対して同年3月時点で約700世帯の契約者への周知を行うよう要請する方針を示し、総務省に対しても事態を重く受け止め審査体制の強化を検討していくとした。 総務省は2021年3月17日に非公開の聴聞を行った上で、3月26日に5月1日付で本処分を執行することを発表した。これを受けて、東北新社とザ・シネマは4月30日24時をもってBS Ch.4K 203「ザ・シネマ 4K」の放送を終了することを発表した。これによりザ・シネマは新4K8K衛星放送史上初の完全撤退(試験放送を除く)と相成った。更に、衛星基幹放送事業者の認定取り消しの行政処分が下されるのは現行制度では史上初、旧制度の委託放送事業者を含めても2006年10月31日の放送を最後に翌11月1日から長期間にわたり放送休止となり、放送再開の目処が立たぬまま2007年11月14日に出された電波監理審議会からの答申(9月12日諮問)をもって即日執行されたWorld Independent Networks Japan(WINJ)以来2例目の事案であり、最終放送日基準で実に14年半ぶりの不祥事であった。 なお衛星基幹放送事業者の認定はチャンネル(法令上は「番組」)毎に行われるため、同じメディアサービスが放送している「ザ・シネマ(HD)」(CS Ch.227)「ファミリー劇場」(CS Ch.293)「スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメ」(CS Ch.310)、同じ東北新社系列であるがメディアサービスとは別の衛星基幹放送事業者として直営放送している「スターチャンネル(HD)」(BS Ch.200-202)と「囲碁・将棋チャンネル」(CS Ch.363)は、いずれも認定時点で同様の瑕疵が無かったとして本処分の対象から外されている。 本処分が執行される5月1日以降は、テレビ受像機の誤作動回避のため、放送設備の撤収(最長で6月30日)までは、黒画面もしくはテロップの表示が認められる。 ケーブルテレビでは、本処分執行後の明暗が分かれた。日本デジタル配信(JDS)が実施しているCATV向けCSデジタル放送配信サービスでは本処分とは無関係に「ザ・シネマ 4K」の配信を継続するため、「ザ・シネマ 4K」をJDSで放送しているCATVは5月1日以降も放送を継続することが出来るが、BS再放送で放送していたCATVは4月30日の放送終了をもって強制終了されたためである。JDS利用局であれば信号元をBSからJDSへ切り換えることで強制終了の回避や強制終了後の放送再開が(少なくとも技術的には)できるが、本処分が下された時点でジャパンケーブルキャスト(JCC)が実施しているJC-HITSでは「ザ・シネマ 4K」を配信していないため、JC-HITS単独利用局はBS再放送で放送するしかなく、同時点でJC-HITSでの配信を開始する動きも見られないまま4月30日に強制終了された。 本処分が下された時点で既にJDSで放送していたため、5月1日以降も放送を継続しているCATV局は以下の通り。 JCOM(本処分執行当時はジュピターテレコム、J:COM)各局 - 各局自体はJ:COMから配信されるが、J:COM本体がJDSの全国光NWを利用。 横浜ケーブルビジョン(YCV) - J:COM系列であるが、別途JDSの首都圏光NWを利用。 ケーブルテレビ株式会社(栃木県) 愛媛CATV - 武田が本処分の方針を示した翌3月13日には、本処分が自局での視聴には影響しないことを告知していた(そもそもBS再放送では放送しておらずJDSのみで放送していた)。なお同局はJDSとJC-HITS併用。
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