蒲田調の完成とは? わかりやすく解説

蒲田調の完成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 16:01 UTC 版)

松竹蒲田撮影所」の記事における「蒲田調の完成」の解説

同年4月29日ヘンリー・小谷監督・脚本撮影の『虞美人草』が公開された。この作品は、新子安海岸中国風の大城砦のセット作り多く人数動員して項羽と劉邦合戦場面が撮影された。主演栗島すみ子デビュー作でもあり、この映画ヒットと共に栗島蒲田代表するスター女優となった。 『虞美人草公開後撮影所長の田口桜村本社貿易部に引き上げられ、代わって野村芳亭監督兼任撮影所長に就任した新派出身野村は、新派題材作品を製作路線とし、これらの作品大衆大受けした。この路線変更によってヘンリー・小谷田中欽之小山内薫らは松竹去っている。また、スター第一主義製作体制を行うためスター・システム導入し栗島すみ子川田芳子五月信子柳さく子など多くスター女優誕生した野村賀古残夢とともに多く新派悲劇映画作っていくが、伊藤大輔脚本撮った清水次郎長』(1922年)と『女と海賊』(1923年)では、「新時代劇映画」と銘打って旧劇映画現代劇俳優出演させるなど、従来歌舞伎調の旧劇映画とは異な写実的な時代劇映画作ったまた、池田義信は、後の妻となる栗島主演多く情話ものを撮りその中で1923年大正12年1月8日公開小唄映画船頭小唄』(共演岩田祐吉)は大ヒット記録した牛原虚彦は、妻の三村千代子主演感傷悲劇多く撮り、「センチメンタル牛原」と呼称された。一方島津保次郎は、ハウプトマンの『線路テール』を翻案した『山の線路番』 等の作品で、写実派監督として評価された。 1923年大正12年9月1日関東大震災によって撮影所壊滅東京での製作が困難になったため、京都市松竹下加茂撮影所建設してここに拠点移した野村をはじめ多くスタッフ俳優京都移ったが、島津保次郎少数スタッフ蒲田残った。そこへ代理所長として赴任したのが城戸四郎だった。機能京都移転した中、城戸島津らと『蕎麦屋の娘』『お父さん』の製作に協力した。翌1924年大正13年1月蒲田での映画製作本格的にスタートするが、7月野村下加茂撮影所所長異動2年後蒲田復帰)し、柳さく子清水宏大久保忠素河村黎吉志賀靖郎らが野村行動を共にした。それにより、城戸蒲田撮影所所長就任した城戸は、従来新派的な路線や、スター優先製作体制排し明朗健康的な近代的感覚の映画作り目指した。監督主導体制採用し母性愛を主とした女性映画の製作を推進させ、青春映画喜劇映画路線加えて庶民日常生活から題材求めた小市民映画スタイルとして確立した。これらは蒲田調と呼ばれ、後に大船撮影所移転してからもスタイル引き継がれた。また、城戸シナリオ重要性着目し脚本部を強化した島津保次郎は、サラリーマン喜劇の『日曜日』で蒲田調の先陣を切り、写実派として『嵐の中の処女』(1932年)、『隣の八重ちゃん』(1934年)などを発表牛原虚彦は、鈴木傳明コンビ組んで明朗快活青春映画製作して人気得た五所平之助は『からくり娘』(1926年)や田中絹代主演で『伊豆の踊子』(1933年)、『人生のお荷物』(1935年)等を発表清水宏は『若旦那シリーズなどの娯楽映画撮りロケーション多用した実写作品で後に評価された。小津安二郎は『東京の合唱』(1931年)、『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』(1932年)などの喜劇作品撮り蒲田代表する監督となったまた、ナンセンス喜劇呼ばれるスラップスティック・コメディ映画意識した短編喜劇映画作られ斎藤寅次郎らがその分野で活躍した。 やがて、土橋武夫・晴夫兄弟撮影所内でトーキー研究取り組み1931年昭和6年8月1日五所平之助監督の『マダムと女房』を「国産初の本格的トーキー」と銘打って帝国劇場公開した

※この「蒲田調の完成」の解説は、「松竹蒲田撮影所」の解説の一部です。
「蒲田調の完成」を含む「松竹蒲田撮影所」の記事については、「松竹蒲田撮影所」の概要を参照ください。

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