色灯式信号機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 03:00 UTC 版)
電球の導入によって、日中でも十分視認できる明るさの色のついた光を出すことができるようになり、多くの鉄道事業者で色灯式信号機への移行が行われた。 頭部 (signal head) は信号機の現示を行う部分で、多数の現示を行う信号機では1つの信号機で複数の頭部を持っていることもある。信号システムによっては、単一の頭部に補助灯火を組み合わせることで、基本現示からの意味の変化を持たせることもある。 色灯式信号機には2つの形態がある。よく用いられている形態は複数灯火式のもので、電球とレンズが、交通信号機のようにそれぞれの色別に分離している。通常、ひさしがそれぞれの灯火に取り付けられて、外部から日光が差し込んで現示を誤解させることを防いでいる。また、色つきのフレネルレンズが使われて、光を集中させるようになっている。ただし、反射材は日光を反射させて誤認を招くため普通は使わない。灯火は垂直に並べられるか、三角形に配置され、通常は緑が一番上、赤が一番下に配置される。3現示以上の信号機では、色の組み合わせ表示のために複数の頭部を持っていることもある。 サーチライト式信号機も、あまり一般的ではないが用いられている。各頭部に1つだけ電球があり、ソレノイドにより色つきレンズ(ラウンデル roundel)が電球の前に動かされて現示を行う。この方式では日光により色を誤認する恐れがないので、レンズと反射材を一緒に使用する。正しく表示するには慎重な調整が必要である。3現示以上の表示には、複数灯火式と同様に複数の頭部を使うことが多い。サーチライト式信号機は、機械装置にとって条件の悪い場所に可動部を使わなければならないという短所があり、定期的なメンテナンスが必要となる。イギリスで現在でもサーチライト式信号機が用いられている場所としては、コルチェスター (Colchester) - クラクトン (Clacton) 線が挙げられる。 この方式の変形として、セーフトラン・システムズ社 (Safetran Systems Corporation) のユニレンズ (Unilens) がある。ユニレンズでは、3つまたは4つのハロゲンランプと反射材が組み合わされ、カラーフィルターから光ファイバーを通り、レンズの焦点で一まとめにされている。これにより従来型のサーチライト信号機の仕組みでは不可能であった、単一の頭部で4つの異なる色を出す(通常は赤・黄・緑・白)ことができるようになった。 さらに、高輝度の発光ダイオード (LED) が出現したことにより、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災の復旧には電球・レンズ・反射材の組み合わせの代わりに、大阪駅 - 神戸駅間でLED信号機が実用化された。LEDはよりムラのない光を出し、低消費電力で、10年以上にも及ぶ長い寿命を持っており、長期的なコスト削減に繋がる。1つの灯火用の穴に様々な色のLEDを設置してどの色でも出せるようにするということも行われており、それゆえに現代のサーチライト式信号機とも呼ばれている。 多くの色灯式信号システムでは、電球や機構の故障を検知する回路を備えており、故障した際に現示をより制限的なものに切り替えるようになっている。接近表示 (Approach lighting) 式の信号機では、列車が実際に接近してくるまで点灯しない。これは複数の信号機が設置されている場所でどの信号機を視認すればよいか確実にするとともに、電球の寿命を延ばすために行われている。 イギリスでは、ほとんどのフィラメント方式の色灯信号機で2本のフィラメントを使用している。メインのフィラメントが切れると、自動的に予備のフィラメントが使われると共に、メインのフィラメントが切れたことが技術者に(信号扱手にではなく)通知され、電球の交換の手配が行われる。両方のフィラメントが切れると消灯するが、信号扱所にいる信号扱手にも通知される。 信号機の現示方式は、国によって大きく異なり、同じ国の中でも鉄道会社によって大きく異なることさえあるが、典型的な現示は以下の通りである。 緑: 路線の最高速度で進行。次の信号機は緑か黄。 黄: 注意。次の信号機が赤であることに備える。 赤: 停止。 色灯式信号機で、機械式信号機の夜間のライトと同じ現示を使用している鉄道会社もある。 信号機の二重化も、腕木式信号機の時代に倣って採用されていることがある。2組のライトが点灯しており、上のライトがその信号機の現示を、下のライトが次の信号機の現示を中継している。下に小さなランプを併設していることがあり、これは徐行を継続する指示である。 二重信号機は以下のような指示を表す。 緑と緑: 進行。 緑(上)と黄(下): 次の信号機は緑(上)と赤(下)である。注意。 緑(上)と赤(下): 次の信号機は停止現示である。注意。 赤と赤: 停止して待機。 赤と赤(小さなランプが点灯): 25km/h以下で徐行。
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色灯式信号機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/13 00:16 UTC 版)
現代のほとんどの鉄道では、色灯式信号機が機械式信号機を置き換えている。色灯式信号機は昼でも夜でも同じ現示方式を使用することができ、機械式信号機に比べてメンテナンスの手間が少なく済む。
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