機械式信号機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 03:00 UTC 版)
最も古い形の信号機では、現示は信号機の一部分が物理的に動くことで行われた。最初期のものは、運転士から見えるように正対して向けるか、運転士から実質的に見えないように線路に平行して向けるか、回転させることのできるボードであった。 腕木式信号機は1840年代にジョセフ・スティーヴンス (Joseph James Stevens) によって特許が取得された。すぐに広範囲で使われる機械式信号機となっている。夜間に列車を運転できるようにするために、信号機にはライトが備えられている。通常は、常に点灯しているオイルランプと、その前で動作する色つきレンズの組み合わせで、外から見た光の色を変えられるようにしている。このため、運転士は昼間の現示と夜間の現示を組み合わせて覚える必要がある。腕木式信号機の腕は、異なる角度に回転する腕と、色つきレンズによって構成されている。通常は、これらの2つの部品が1つに構成されて一緒に回転するが、例えばソマーサルト信号機のように腕の中央部分を支点に回転するようになっていて、レンズと腕が分離している方式の信号機もある。腕木が水平に突き出している状態が最も制限的な現示に対応し、それ以外の角度になっている時は、より制限のない現示を意味している。腕木式信号機には下動作式のものと上動作式のものがある。制限が少ない現示になるにつれて、下動作式では腕が下に回転し、上動作式では腕が上に回転する。どちらの方式でも2現示または3現示を用途に応じて表示できる。アメリカの信号機では腕が下に下がった状態が進行である。インドでは真横に腕が出ている状態を"Die"、上か下に回転している状態を"Do"と呼んでいる。 色や腕の形を信号機の種類や表示できる現示の種類に応じて変えることは一般的に行われている。よく見られる方式は、赤い方形の腕を場内信号機に、黄色い魚尾状の腕を遠方信号機(通過信号機)に用いるものである。三番目の種類の、遠方信号機とは逆側に矢印状の腕を出した信号機もあって、「一旦停止した後制限速度で進行」という現示に用いられることがある(重貨物列車などに対してはしばしば一旦停止も免除される)。 初期には、腕木式信号機はリンク機構により制御されていた。信号扱所にてこが設置されており、てこからリンク機構により繋がっている分岐器と信号機を動かしていた。また電動機や油圧によって駆動されるものもある。信号機はフェイルセーフに設計されており、駆動する動力が失われたりリンク機構が破損したりすると、重力により腕が水平の位置に移動するようになっている。下動作式の信号機では、この動作を実現するためにはカウンターウェイトが必要であり、上動作式の信号機の方が広まる理由となっていた。 機械的な信号機は色灯式信号機に置き換えられたり、場合によっては路側に信号機を必要としない信号システムに置き換えられたりして、次第に消滅しつつある。 緑の灯火は安全側の現示とすることが一般的であるものの、歴史的にそうであったわけではない。鉄道の信号の歴史のごく初期では、進行に白が、停止に赤が使用されており、当初は緑は注意の現示であった。しかしながら、時隔法の使用が中止された時に緑は用いられなくなった。緑はその後白の進行現示を置き換えるようになった。これは、停止現示であるはずの赤のライトの色つきレンズが破損すると、運転士に白(進行現示)であると誤解させる恐れがあったためである。黄が注意に使用されるようになったのは、コーニング社が緑や赤の色合いを含まない完全な黄のガラスを発明してからのことである。
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機械式信号機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/13 00:16 UTC 版)
最初期の信号機は、現示を物理的な動作で示していた。最初期のものは、運転士から見えるように正対して向けるか、線路に平行した向きに向けて運転士から見えないようにするか、回転させることができるボードであった。この方式の信号機は現在でもフランスやドイツなどいくつかの国では使用されているが、機械式信号機として世界的に普及したのは腕木式信号機である。腕木式信号機には角度を変えることができる腕が備えられている。水平な腕が停止現示など、最も制限的な指示を伝える。 機械式信号機は、信号扱所のてこからワイヤで接続されて遠隔操作されることが一般的であるが、人間の力で動かすには遠すぎる場合には電動式や油圧式の装置も用いられる。
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