色灯灯列式信号機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 03:00 UTC 版)
色と配列の両方を組み合わせた信号システムは、1920年代にボルチモア・アンド・オハイオ鉄道 (Baltimore and Ohio Railroad) によって開発され、後に傘下に入ったシカゴ・アンド・アルトン鉄道 (Chicago and Alton Railroad) でも導入された。このシステムは当初、その当時ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道の子会社で、後にメトロポリタン・トランスポーテーション・オーソリティ (MTA: Metropolitan Transportation Authority) により運営される高速通勤路線となったスタテンアイランド鉄道 (Staten Island Railroad) で試験的に導入された。CPL (Colour Position Lights) と呼ばれるこのシステムは、中央に円形の頭部があり、腕木式信号機の腕の位置を模擬した2つの色灯の組み合わせが点灯する。緑が縦位置、黄が右上がりの斜め位置、赤が横位置に点灯する(英語版のCSXトランスポーテーションでの使用例の写真を参照)。右下がりの斜め方向に白の点灯ができるものもある。この円形の頭部の周りに、最大6つのorbitalと呼ばれる灯火が、時計でいう、12時方向、2時方向、4時方向、6時方向、8時方向、10時方向に配置されている。メインの色灯配列は閉塞の開通状況を示し、緑が2セクション(もしくはそれ以上)、黄は1セクションの開通を示し、赤か白は開通区間なしを示す。orbitalは許容速度を示し、12時の位置の点灯が認可最高速度、順に速度が制限されて消灯が最減速を表す。 このシステムは、北アメリカでもっとも理論的に信頼できる信号システムである。北アメリカで赤の灯火を停止現示に使っているのはこのシステムだけである。また、地上に設置する(入換信号機のような)信号機と、主信号機とで同じ現示方式を使用している唯一のシステムでもある。明確さと視認性の高さという利点があるものの、設置とメンテナンスに多額のコストが掛かるため、他の鉄道会社には普及せず、CSXトランスポーテーション (CSX Transportation) も1990年代から徐々に色灯式信号機への置き換えを進めている。しかしながら2006年現在でもCSXの亜幹線ではまだまとまった数のこの方式の信号機を見ることができる。2005年にスタテンアイランド鉄道が信号システムを更新した時には、MTAはこのシステムを更新して利用し続けることを決めている。 ノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道とアムトラックでは、全て琥珀色の灯列信号機から色灯式信号機に置き換えたものを使っている。このシステムはアムトラックではPosition Colour Lightと呼ばれているが、ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道のCPLと混同されるべきではなく、色灯化された配列信号機 (colourized position light) とでも呼ばれるべきものである。
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