船体の破損状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:16 UTC 版)
武蔵は沈没時に爆発を起こした為に、船体は大きな破損を受けた。船体は1番主砲の後方で切断され、大きく2分割した状態で沈んでおり、両者の距離は100m程度離れている。大和の沈没時と同様に機関部に流れ込んだ多量の海水による機関内水蒸気爆発に加え、その爆発が火薬庫にまで及び、その結果艦体が分断され、構造物が本体から四散する程の大破壊が及んだと推察される。 艦首部分 - 艦首側は海底に水平の状態で沈んでいる。1番主砲塔は脱落しており、バーベットの穴が確認されている。その直後から切断されているので2番主砲塔のバーベットは確認されていない。艦首の菊の紋章は残っていない(脱落したか腐食したと考えられている)。左側のアンカーは、左舷への傾斜を回復させるためにアンカーチェーンと一緒に海中投棄されたので、記録の通り船体には残されていなかった。右側のアンカーは残されている。船体下部には複数の魚雷による破壊孔が確認されている(出典の書物には左側だけで4か所確認されている)。 船尾部分 - 船尾部分は上下逆になって沈んでいる。半分程度が泥に埋まっており、艦底とスクリュー、舵などしか確認できない。切断部分はタービン室付近で、タービンが切断面から観察できる。2枚の舵は正中に固定された状態で海底に直立しているが、主舵については「くの字」の変形が確認された。一部で4枚羽への換装論があったスクリューは、武蔵においても建造時の3枚羽のままであることも確認された。スクリューは1基に変形を認めるが、3基は外観が保たれている。魚雷の命中孔については情報が得られていない。 艦橋などの構造物 - 前後の艦橋や15m測距儀、煙突などの最上甲板の構造物は、丸ごと船体から脱落し船首より500m離れた場所に横倒しで沈んでいる。艦橋は爆弾によって右舷側が酷く破壊されている。今まで資料で指摘のなかった後部艦橋基部の見張り台などの新発見があった。煙突は損傷が激しい。マストと後部艦橋の上部は脱落して発見されていない。 その他のパーツ - 海底まで1000mあったために、パーツは直径1kmの広範囲に落下している。艦橋よりもさらに離れた場所に酷く破損した2番主砲塔の給弾室などの残骸が発見されている。破損の程度は高度であり、2番主砲塔付近の船体が見当たらないことからも、2番主砲の火薬庫が沈没後に誘爆して船体を破壊したと判断されている。1番主砲や3番主砲は発見されていない。 艦橋と船首部分の間500mには、比較的大きな船体構造物やボイラー、カタパルト、対空兵器のシールド、三式弾などが広範囲に散らばって沈んでいる。副砲も1基のみ発見されているが、全体の大部分が泥に埋もれており後部のハッチや片方の測距儀などしか確認できない。 アレンが公表した映像は一部に過ぎなかったが、NHKは100時間にも及ぶ動画の提供を受け、それらを三次元的に画像データとして再構成し、2016年12月4日放送のNHKスペシャル「戦艦武蔵の最期」で公開した。
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