航空母艦への改装
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:40 UTC 版)
「グローリアス級航空母艦」の記事における「航空母艦への改装」の解説
カレイジャスとグローリアスの航空母艦への改装において手本となったのは、先に改装された準同型艦「フューリアス」の改装実績である。外観上で特徴的なのがフューリアスから取り入れられた「多段式飛行甲板」である。 イギリス海軍は、初期のイギリス空母の難点であった効果的な着艦装置を開発できなかった。このため1926年からイギリス海軍では着艦制動装置の使用を禁止してしまった。このため、着艦した艦載機を止めるために人員による制動を必要とした。そして着艦には飛行甲板の全スペースを使用するためにパリセイド(Palisaid)と呼ばれる転落防止のための柵を飛行甲板の周りに立てる始末であった。 着艦制動装置のない空母へ着艦するには、飛行甲板の全スペースを使用しなければならない。この欠点を解決する手段として、艦首に発艦専用の飛行甲板を設け、艦中央部から二段目の格納庫分だけ嵩上げして着艦専用の飛行甲板を設置した。これにより、一段高い上部飛行甲板で着艦作業を行いつつ、艦首飛行甲板からは小型で軽量な艦上戦闘機程度ならば発艦作業が行えた。ただし艦上爆撃機・艦上攻撃機クラスの航空機は、従来通り面積の広い上部飛行甲板で発艦することが必要であった。 また、艦載機数の少なさも難点の一つであったが、格納庫が二階建てとなった事により搭載機は改装前の10機から36機へと大幅に増えた。なお、格納庫の高さは1階・2階ともに4.6mであったが、艦載機の分解格納と折りたたみ機構の開発により水上機の搭載が可能となっており、水上機は艦尾からクレーンにより昇降して運用された。 この成功に気をよくしたイギリス海軍は、カレイジャスとグローリアスの改装にも同様のシステムを取り入れたのである。また、先に竣工したイギリス海軍の戦艦改造空母イーグル (HMS Eagle) 、軽空母ハーミーズ (HMS Hermes, 95) では、艦橋と煙突を一体化したアイランド型艦橋を装備した。カレイジャスとグローリアスも、先行艦にならってアイランド型艦橋となった。またイーグルとハーミーズでは三脚檣を採用したが、カレイジャスとグローリアスではトップヘビー対策に簡素な単脚檣へと改めた。また、大型軽巡洋艦時の細すぎる船体形状からくる横揺れ解消のため、艦体へ浮力用バルジを追加した。 本級は改装後は有力な航空母艦であった。しかし、次第に航空機が大型化すると艦首甲板から発艦できる艦載機が無くなってしまった。そのため、艦首甲板への格納庫ハッチを閉鎖して上部の飛行甲板を使用するしかなくなってしまった。 一方、空母の着艦制動装置は開発と進化が進んでいた。有効な鋼索横張り式着艦装置がフランス・シュナイダー社で開発され、これを導入したアメリカは改良を加えて横索式着艦装置を実用化した。イギリス海軍はこれを輸入し、1931年にはカレイジャスに英空母初の横索式着艦装置Mk1を装備した。また、艦載機の大型化に伴う滑走距離の問題は1935年~1936年頃に開発された空気圧式カタパルトを並列配置で2基を装備する事により解決され、新型機でも有効に運用できることとなった。このような状況から、本級は一線級航空母艦として第二次世界大戦をも戦う事となった。
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