自然界の青
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 06:29 UTC 版)
人々が自然の中で最も身近に接する晴れた空の青色は、光の波長より小さな空気分子が短い波長をより多く散乱するレイリー散乱によるものである。日中は太陽の光のうち波長の短い青色が多く散乱されてわれわれの目に届くため青く見える。この青空の色の原因については、それがあまりに日常的であったため古代にはあまり注目されてこなかった。それが説明されるべきものと考えられるようになったのはルネサンス以降である。 晴れた日に海など屋外の水面を斜めから見たときそれらは青く見え、通常海は青いものと思われている。こうして目にする青さのほとんどは、青空が映っているからであり、他の状況では海はさまざまな色を呈する。ただし、水は長波長の可視光をより多く吸収するので、海中で物は青っぽく見え、また、海中の浮遊物や、ある程度の深さのあるサンゴ礁のような明るい海底に当たって反射してきた光もそれそのものが青く見える。 詳細は「水の青」を参照 花の色素としては青色は比較的まれである。とくにカーネーションやバラなどにおいては交配によって青い花を咲かせる品種を作り出すことが困難であり、近年では遺伝子操作によって作り出そうとする研究が行われている。青いバラについては、不可能・幻を表す代名詞ともなっている。ちなみに、花色という色名は青色の一種であるが、これはツユクサの花の色とされる。 鳥の羽の鮮やかな色は様々な方法で作り出されているが、青色の場合は青空と同じように選択的な散乱を用いていることが多い。ただしクジャクの羽はチョウと同じく光の干渉をもちいたイリデッセンスによる色である。色名の孔雀青は緑がかった青色を意味するが、実際のクジャクの羽は光線の状態や角度により様々に輝きを変える。 月は極めてまれに青みがかって見えることがある。過去に大規模な森林火災や火山噴火で上空にチリが巻き上げられたときに観測されており、1μm程度のチリが赤や黄色の長波長の光を多く散乱するために起こる。火星の夕焼けも同様の理由で青い。こうしたことから、英語でブルームーン (blue moon) は極めてまれなことを意味することになった。なお、誤解からひと月に2度目の満月も実際の色にかかわりなくブルームーンとよばれる。 青色が寒色であるというイメージとは裏腹に、オリオン座β星・リゲルなど青みがかって見える星は、通常、他の星より温度が高く質量が大きな若い青色超巨星や青色巨星である。寿命は数千万年かそれ以下と短く、われわれの太陽のようなより長い寿命の星からみれば、ひと時だけ激しく輝いて去っていく星である。最後には超新星爆発を起こして中性子星やブラックホールになると考えられている。リゲル同様青白く輝くおおいぬ座α星・シリウスは超巨星や巨星ではなく主系列星だがやはり表面温度は高温で、その青白い輝きから「青星」という和名を持つ。また炎でも、比較的温度の高い(酸素供給量が多い)ほうが青く見える。 食物の色としての青については、着色料でチョコレートやこんぺいとうなどの菓子を青く着色することはあるが、自然界に存在するものとしては青魚ぐらいしかなく、青野菜は緑色である。
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