米帝侵略説(中国の主張)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 03:39 UTC 版)
「朝鮮戦争」の記事における「米帝侵略説(中国の主張)」の解説
2009年当時の中国の公式歴史教科書では朝鮮戦争を韓国側が発動した戦争とした上、国連軍の参戦には中国東北部への侵略の意図があると記しており、中国側は北朝鮮の歴史教育で中国人民志願軍の功績を意図的に無視していると不満を表した。 中国の習近平副主席(政治局常務委員)は2010年の講話で、朝鮮戦争を米帝国主義による侵略戦争であると評価し、志願軍の参戦は正義の行為と発言したため、韓国側からの抗議を受けた。2020年の記念式典でも習近平総書記(国家主席)が同様の発言をしたため、韓国の康京和外交長官と徐旭国防長官から批判を受けている。2020年10月23日に北京の人民大会堂で催された中国人民解放軍の朝鮮戦争参戦70周年記念行事で、習近平総書記(国家主席)が「参戦は帝国主義の侵略を防ぐためだった」という戦争を美化する発言があったが、韓国大統領の文在寅は抗議をしなかった。これについて韓国では「日本相手の歴史問題だとすぐ断固抗議とか非難声明とかいって、しょっちゅう大使を呼びつけているのに」などという不満がでており、『朝鮮日報』は「(韓国大統領の文在寅は)6・25当時、韓国の国土を蹂躙し、また統一を妨害している中国が『韓半島の平和を守るために戦った』と主張しても、これには一切口を閉ざしている」と批判している。 中国人民解放軍の朝鮮戦争参戦70周年となった2020年10月23日、f(x)のビクトリア、EXOのレイ、PRISTINのギョルギョン、宇宙少女のソンソなどの中国出身の韓国アイドルが、ウェイボーの「#支援軍の抗米援朝出国作戦70周年記念」というハッシュタグをシェアし、「英雄は永遠に忘れられない」「歴史を記憶し平和を大事に考え、英雄に敬意を示す」などと書き込み、「支援軍抗米援朝作戦70周年偉大な勝利を記憶しよう!」という中国中央電視台のウェイボーの書き込みをシェアしたことが韓国で波紋を呼んでいる。2020年10月24日、青瓦台に「中国の韓国戦争歴史歪曲に同調する中国人芸能人の韓国活動制裁を要請します」という国民請願が上げられ、「韓国でデビューし世界的に認知度を積んだ中国人芸能人がウェイボーを通じて中国の韓国戦争歴史歪曲を先に立って扇動している。f(x)のビクトリア、EXOのレイ、PRISTINのギョルギョン、宇宙少女のソンソなど、韓国エンタメ所属でお金と名誉を得た彼らが破廉恥な中国の歴史歪曲に同調した後に厚かましく韓国での活動をできないように、追放が難しいならば韓国活動に強力な制裁をかけるよう望む」と要求した。2020年10月28日、『朝鮮日報』は「“抗米援朝”を忘れるなという中国出身アイドル、韓国で活動するなら歴史をより勉強してほしい」という記事で、「彼らの政府(中国政府)がスターリンや金日成と組んでその“英雄”たちを朝鮮半島に送り、武力で地球上から抹殺しようとした国こそ、いま彼らが芸能活動で金儲けをしている国ではないのか?」と批判した。 中国政府は、朝鮮戦争を「抗美援朝戦争」(美国(米国)に対抗して朝鮮を援けることの意味)と称しているが、朝鮮戦争は金日成の武力統一野心から始まったことを前提に中国が参戦する過程を明らかにしたデビッド・チュイ(オックスフォード大学)は、2000年に中国人民解放軍から入手した機密文書を公開したことで処罰されたが、半世紀も過ぎた朝鮮戦争関連文書を公開したという理由で処罰を受けた本当の理由は、北朝鮮と中国が主張する戦争の性格が実際とは違うことを立証したためとされる。デビッド・チュイは、中国が朝鮮戦争参戦を「抗美援朝戦争」と公式規定するのは誤りであり、「抗美援朝戦争」という主張には、アメリカ軍が鴨緑江まで攻め込み、中国の安全保障を脅かしたから参戦したという主張が込められているが、中国は朝鮮戦争が勃発する前から参戦する準備を積極的にしていたと指摘している。『中央日報』社説は「中国政府の朝鮮戦争に対する公式立場は歴史的真実に反する内容一色だ。中国政府は政治的な目的のために歴史的事実を隠ぺい、歪曲するのはもうやめなければならない」「中国政府は朝鮮戦争関連文書を公開することで、歴史認識の誤りを清算しなければならない」と述べている。
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