競泳界の高速水着騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 14:34 UTC 版)
「山本化学工業」の記事における「競泳界の高速水着騒動」の解説
ウィキニュースに関連記事があります。競泳用水着の改善を求める - 日本水泳連盟 ゴム製水着の席巻 世間で話題となったSpeedo社のレーザーレーサー(LZR)を着用した海外の選手達の驚異的な新記録が続出したため、急遽日本水泳連盟は日本水泳連盟の契約メーカー(アシックス・デサント・ミズノ)に対して異例の五輪用競泳水着の改良を求めた。当時、山本化学工業は急遽記者発表を行い、日本代表競泳選手の為に無償で契約メーカー3社に対して素材「SCSファブリック」の提供を発表。その後、ミズノとデサントがこの素材を一部に使用した水着を発表した。しかし、2社共に「SCSファブリック」を水着全体の30%の使用に留まったためか、素材の効果が現れず、実際に着用した国内選手はほとんどいなかった。 海外での素材採用 一方、海外においては、まずニュージーランドのブルーセブンティー(Blueseventy)社が「SCSファブリック」を100%使用して商品化。(競泳用のpointシリーズ、neroシリーズは日本でも2008年6月、横浜市のアレッセコーポレーションを日本総代理店としての販売する。)アメリカ国内の五輪代表選考会の男子200メートルバタフライ決勝で、当時無名であったneroを着たギル・ストバルが自己ベストを3秒も縮め、北京五輪への代表入りを決める。またオランダ国内大会の男子200メートル自由形では、アテネ・シドニー五輪金メダリストのピーター・ファンデンホーヘンバンドもneroを着て優勝する。 国内の事態の変化 海外選手は自由に水着が選択出来、レーザーレーサー(LZR)や山本化学工業の「SCSファブリック」を使用した水着を着用して、多くの選手が大幅に記録を更新する一方、国内選手への水着供給が大手3社に決められていたため、日本国内水泳界の緊急事態として日本水泳連盟は、その制限を撤廃した。そこで国内の中小企業も山本化学工業の素材を100%使用して高速水着への参入を始める。大阪府和泉市の水着メーカースポーツヒグも2008年7月24日、「KOZ」(コーズ)の名で商品化し8月中旬から国内のスポーツ店などで販売すると発表した。アルペンからは「ティゴラ」 、ヴィエントからは「RECOBEAM(レコビーム)」、ハマデスポーツからは「YAMAHO」、小林ゴムからは「スイムアーマー」などの多くのメーカーで商品化され、販売を開始。 山本化学工業の素材の水着を着て泳いだ選手の一部には好成績を出した選手もおり、山本化学工業はそれを水着の効果であると称している。neroとKOZは2008年8月の高校総体に着用した選手がいた。 愛称 当時、同社の水着素材を使った水着を「タコヤキラバー」と呼ばれるようになった。その理由は、同素材表面に無数に気泡がたこ焼き器のように開いており、その穴に水分子をキャッチする様がたこ焼きに捉えられ、関西テレビのバラエティ番組、ナンボDEなんぼにおいて、社長曰くフジテレビの取材陣が勝手にタコヤキラバーと呼ぶようになり、その名前が広まったらしい。 認知された素材 2009年からは、同社は高速水着素材「バイオラバースイム マークⅡ」を発売し、国内外の水着メーカーが採用。イタリアのアリーナ社、ジャケド(Jacked)社、ニュージーランドのブルーセブンティー社、アメリカのTYR社などが商品化。2009年1月の国内の大会で、入江陵介選手(背泳ぎ)が同素材を使って国内メーカーが試作した水着を着て日本新記録を出す。2009年7月にローマで開催された世界水泳選手権大会ではアリーナ社の高速水着を着用した選手の多くが新記録を叩き出し、入賞を果たす。 織物素材への変更 バイオラバースイムも高撥水性を理由として、突如、国際水泳連盟より2010年以降競技用水着の素材にゴムを使用することが禁じられた。この措置により競泳水着は織物に限られた。ゴム製水着が禁止になったことにより、山本化学工業は競泳から撤退との報道も報じられたが、同社は織物素材の新商品「BRS-TX」を開発。国際水泳連盟の審査も合格し、MATUSE社より新高速水着「MATUSE-TX」として販売された。 その後の素材開発 国際水泳連盟に認められた水着としては、2011年には親水性と撥水性の両性機能を持たせた新商品としてMATUSE社より「MATUSE アルテミス」、2012年には新素材「BRS-TX3 Premium」を使用した「MATUSE アポロ」が販売される。2013年には、同年対応の素材「BRS-TX3 DUAL」を100%使用したマーリンブランドの水着「マーリンGAIA」が販売される。また、2014年は「BRS-TX3 nano」を2015年は「BRS-4TP」を開発し、マーリンブランドや国内外のメーカーの水着が国際水泳連盟の承認を得たことを発表。 競泳水着販売に本格参入 これまで国内外の水着メーカーに競泳用水着の素材の販売を行ってきた同社が、2015年10月1日に国産競泳用水着ブランド「マーリン」をバ プロジェクトから買収し、競泳用水着を販売することを発表(2015年10月26日発表)。研究開発から製造そして販売までの一貫して行うことでコストダウンと商品性能の向上を目指すとしている。またその販売の皮切りとして髙島屋大阪店から販売を開始する。
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