積み荷による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:47 UTC 版)
在来型貨物船 (Cargo Ship) 汎用の船舶。荷役に時間はかかるが、特殊な設備を持たない分運賃は安い。船艙に障害物がないので、特殊な形状の貨物を運ぶのに適する。 ロールオン・ロールオフ貨物船 (roll-on/roll-off ship) 詳細は「RO-RO船」を参照 セミトレーラーのような車輌やそれに乗っている海上コンテナ(単に「コンテナ」と略される)を運搬するための船。車輌は自走によって船艙内に入るため、迅速に荷役を済ませることができる。一般にRORO船(ローローせん)と標記される。カーフェリーと異なり客室がない。規則によって旅客定員12人まで旅客運搬することが可能で、客室を持つRORO船もあるが、多くが一般旅客を乗船させることはなく貨物運搬専用で運航する。 ロールオン・ロールオフ・コンテナ貨物船 (roll-on/roll-off Container ship) 自動車のロールオン・ロールオフ荷役と海上コンテナのクレーン荷役をできる船。 混載自動車専用船 (CGC) 詳細は「自動車運搬船」を参照 自動車と一般貨物のロールオンロールオフ荷役をできる船舶。 自動車専用船 (Pure Car Carrier; PCC) 自動車を運搬するための船舶。船積みの効率化を図るために、ランプウェイや船艙内の各階の高さなどが最適化されている。 鉄道連絡船(鉄道車両のみ航送する車両渡船が貨物船に該当。) 鉄道車両と旅客、自動車を航送する車載客船については 詳細は「鉄道連絡船」を参照 詳細は「フェリー」を参照 鉄道車両を航送するための船舶。鉄道車両を航送できるように車両甲板に線路が敷かれている。また、自動車航送設備を有するものもある。 コンテナ船(Container Ship) 「海上コンテナ」を輸送するための船。 詳細は「コンテナ船」を参照 フル・コンテナ船(Full-container Ship、フルコン船) ISO規格の海上コンテナだけを輸送する船ロールオン・ロールオフ貨物船に比べて荷役時間は少し長いが、従来型の一般貨物の荷役方法と比べれば4分の1以下の時間で済む。貨物の積付効率が高いために輸送効率は高く、陸上でのトレーラーや鉄道輸送との連携による効率化も合わせて、海上貨物輸送の主要な地位を占めている。規格に沿った大きさの海上コンテナを効率的に積付ける「セル構造」を持つ船がほとんどである。港ではガントリー・クレーンと呼ばれる大型の海上コンテナの荷役用クレーンを備えた専用コンテナ埠頭を利用するため、自らはクレーンを持たない船がほとんどである。 セミ・コンテナ船(Semi-Container Ship、セミコン船) 規格化された海上コンテナとコンテナ以外の一般貨物を輸送する船で、コンテナ専用の積載設備を備えるもの。コンテナ積載用の設備を備えない一般貨物船がコンテナを運搬してもセミ・コンテナ船とは呼ばれない。クレーンのない港湾での荷役用に自らクレーンを備えていることがある。 コンバルカー(Con-Bulker) 従来型の一般貨物船の船艙内に海上コンテナと他の貨物とを混載する船。多用途貨物船の一形式。海上コンテナ専用のセル構造を備えたコンバルカーも例外的に存在したが、バルクとコンテナは同時には搭載しない設計であった。 多目的船 (Multi-purpose Cargo Ship) 多目的に使える船舶。車両のロールオンロールオフ荷役やコンテナや一般貨物のクレーン荷役などをできる。 重量物運搬船(Heavy Lifter, Heavy load carrier) 詳細は「重量物運搬船」を参照 重量物を運搬するための船。船艙や甲板、クレーンが強化されている。ヘビー・デリックを使い重量貨物を搭載するLOLO(Lift on / Lift off)方式や、車輌を船艙内に乗り入れることで搬出入するRORO(Roll on / Roll off)方式、自ら甲板を水面下に沈めて浮かぶ貨物を搭載するFOFO(Float on / Float off)方式の船がある。 冷凍・冷蔵運搬船(リーファー、Refrigerated Cargo Carrier) 詳細は「冷凍船」を参照 断熱材で囲われた船艙と冷蔵冷凍設備を持つ船。 木材専用船(Log Carrier, Lumber Carrier) 原木や製材などの木材を専門に運搬する船。 ばら積み貨物船(Bulk Carrier、Bulker) 詳細は「ばら積み貨物船」を参照 バラ積みによりそれぞれ専用の貨物を運搬する船。巨大な貨物を積載するために船艙を全開することのできる船は、オープンハッチ・バルカーと呼ばれる。新聞紙やパルプ、製材といった林産品は、貨物に直接釘を打つことができない。オープンハッチ・バルカーならば、船倉がでこぼこのない箱型であるので、貨物をぎっしり詰め合わせることで荷崩れを防げる。UFOキャッチャーのようなガントリークレーンを装備しており、鉛直方向に貨物を積んでゆける。かつては保有する船会社が少なかったので、それらが輸送を寡占していた。ギアバルク、en:Star Shipping など。穀物運搬船(Grain Carrier) 比重の小さい粉流体である穀物を専門に運搬するための船。 鉱石運搬船(Ore Carrier) 比重の大きい鉱石の荷役のための専用設備を持つ船。鉄鉱石を専門に運搬する鉱石運搬船が多いが他にも、ニッケル鉱、ボーキサイト、銅鉱、燐鉱石などを専門に運搬する船がある。 チップ専用船(Chip Carrier) 木材パルプの原料となる木材チップを専門に運搬する船。 セメント・タンカー(Cement Carrier) 詳細は「セメントタンカー」を参照 セメントをバラ積みで運搬するための船。 ばら積み兼用船(Combination Carrier) 全く性状の異なる貨物をどちらでも積んで運搬できる船。鉱炭兼用船(Ore Coal Carrier) 可燃物である石炭の安全な運搬・荷役のための専用設備を持つ船。 鉱油兼用船(Ore Oil Carrier) 比重の大きい鉱石と石油類を専門に運搬するための船。 石油タンカー(油槽船、Tanker、Oil Carrier) 詳細は「タンカー#油槽船」を参照 原油や燃料油などの液体可燃物を荷役・輸送するための設備を持つ船舶。20万トンをこえるものをVLCC,30万トンをこえるものをULCCと呼ぶ。 ケミカルタンカー (Chemical Tanker) 詳細は「ケミカルタンカー」を参照 危険性の高い化学薬品を安全に荷役・輸送するための装備を持つ船舶。 LPGタンカー(LPG Tanker、LPG Carrier) 詳細は「LPG船」を参照 LPG(液化石油ガス)を安全に輸送するための配管、タンク、保安装置を持つ船。 LNGタンカー(LNG Tanker、LNG Carrier) 詳細は「LNGタンカー」を参照 LNG(液化天然ガス)を輸送するための船。液化天然ガスを低温のまま輸送するための断熱構造タンクか、加圧によって輸送するための加圧タンクを持つ。 バージ・キャリア(Barge Carrier) 詳細は「ラッシュ船」を参照 数十艇の「バージ」(Barge、はしけ)を積んで運搬する船。船尾にリフト機構を備え、水上のバージをFO方式で引き上げる。次に屋根のない船艙内にある1層から3層程度の格納部にレールで横移動させて搭載する。LASH(Lighter Aboard Ship)やSeeBeeが主な形式である。 プッシャー・バージ(Pusher Barge) 一から十数艇程のバージを押して進む船。バージを含めた全体は「バージ・ライン」と呼ばれる。欧州の河川や運河を進む小型のものから、外洋を渡る全体で数万トン級の「オーシャン・バージ」まである。
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