秋田貨物駅とは? わかりやすく解説

秋田貨物駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/24 23:46 UTC 版)

秋田貨物駅*
総合事務所(2023年3月)
あきたかもつ
Akita Kamotsu
泉外旭川 (0.5 km)
(3.5 km) 土崎
所在地 秋田県秋田市泉菅野一丁目19-1
所属事業者 日本貨物鉄道(JR貨物)
所属路線 奥羽本線
キロ程 302.3 km(福島起点)
電報略号 アツ
駅構造 地上駅
ホーム なし
開業年月日 1964年(昭和39年)10月1日[1]
備考 貨物専用駅
* 1990年平成2年)3月10日秋田操駅から改称[2]
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秋田貨物駅(あきたかもつえき)は、秋田県秋田市泉菅野にある、日本貨物鉄道(JR貨物)の貨物駅奥羽本線所属で、秋田県最大の貨物駅である。

歴史

旧事務所があった当時(2008年)
  • 1944年昭和19年)3月31日八幡田信号場(はちまんでんしんごうじょう)として開設[1]
  • 1960年(昭和35年)8月1日秋田操車場開設(操車場に昇格)[1]。駅中心が100 mほど土崎駅寄りに移転[1]
  • 1964年(昭和39年)10月1日:車扱貨物の取扱いを開始して貨物駅に昇格、秋田操駅(あきたそうえき)となる[1]
  • 1965年(昭和40年)10月1日:コンテナ貨物の取扱いを開始[1]
  • 1974年(昭和49年)10月1日:小荷物の取扱いを開始[1]
  • 1978年(昭和53年)9月26日:小荷物の取扱を廃止[1]
  • 1984年(昭和59年)2月1日組成駅(本社指定組成駅)の指定を解除、新たに輸送基地に指定される。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:輸送基地の指定を解除。これにより、貨車操車場としての機能を廃止。
  • 1987年(昭和62年)4月1日国鉄分割民営化により、JR貨物の駅となる[1]
  • 1990年平成2年)3月10日秋田貨物駅に改称[2]
  • 1993年(平成5年)6月21日:現在地に移転、開業式挙行[3]。着発線荷役方式(E&S方式)を導入[4]。移転前の駅住所は秋田市外旭川水口170。
  • 1994年(平成6年)12月:秋田貨物駅と秋田機関区(乗務員基地・貨車検修基地)等を統合し、秋田総合鉄道部を設置[5]
  • 1995年(平成7年)1月19日:阪神・淡路大震災で休止していた関西方面の貨物列車が、2日ぶりに運行を再開[6]
  • 2022年令和4年)
    • 8月3日:大雨による災害の影響により、奥羽本線東能代駅 - 大館駅間が不通になる。
    • 8月5日:秋田貨物駅-大館駅間と仙台貨物ターミナル駅-秋田貨物駅間のトラック代行輸送を開始[7]
    • 8月23日秋田港 - 石狩湾新港間の船舶代行輸送を開始[8]
    • 9月15日:この日をもって船舶代行輸送を終了[9]
    • 9月21日:秋田貨物駅-東青森駅間でのトラック代行輸送を開始[9]
    • 10月6日:この日をもって秋田貨物駅 - 大館駅間・東青森駅間・仙台貨物ターミナル駅間のトラック代行輸送を終了[10]
    • 10月7日:秋田貨物駅 - 大館駅間の運転を再開[7]
  • 2023年(令和5年)
  • 2024年(令和6年)
    • 4月1日:構内にコンテナと一般トラックの積替ステーションを開設[14]
    • 4月:クリアーウォーター津南(新潟県中魚沼郡津南町)で製造した「ファミマル 新潟県津南の天然水(370ml、600ml)」の秋田県向け出荷を、トラック輸送から南長岡駅発当駅着の貨物鉄道輸送に切り替え[15]

駅構造

地上駅。南東から北西へ通り抜ける奥羽本線の南側に施設が置かれている。構内は1.5キロメートルほどの長さをもつ。

屋根のないコンテナホームが2面、屋根付きの貨物ホームが1面設置され、荷役線は合計4線敷設されている。コンテナホーム1面は着発線荷役方式(E&S方式)を導入しており[4]、北東側および南西側に隣接して400メートルほどの長さをもつ着発線兼荷役線(北東側が着発4番線、南西側が着発5番線)が引かれている。着発4番線と本線の間、すなわち着発4番線の北東側には着発線が3線(着発3番線 - 着発1番線)存在する。

E&S 対応の南側には側線があり、その南側に屋根付きの貨物ホームが置かれている。ホーム北側に接する荷役線の長さは128メートル。この屋根付ホームの南東に隣接して1面のコンテナホームが設置されており、長さが200メートルの荷役線がホーム北側に接している。構内の土崎駅寄り(北西側)には仕分線が並ぶ。E&S に対応していないコンテナホームと屋根付きの貨物ホームに接する2本の荷役線は、この仕分線群から分岐する。

駅舎(総合事務所)は、コンテナホームの東端近くで、2面のコンテナホームに挟まれた場所にあり、秋田総合鉄道部の事務室・乗務員基地及び秋田営業所等が入居する。隣接する場所に貨車の検修庫・検修線が設置されている。旧事務所は駅舎南側の駅出入口近くに所在し、秋田保全区や日本通運の事務所なども入居していた。

2024年3月のダイヤ改正まで、本線・着発線や一部の側線を除き、多くの線路は電化されておらず、入換作業にはディーゼル機関車が使用されてきたが、このダイヤ改正までに構内の電化が行われ、以後は入換作業は電気機関車[注釈 1]で行われるようになり[16]、ディーゼル機関車の常駐は廃止された。それまでは、仙台総合鉄道部に所属するDE10形機関車が常駐していた[17]。常駐する機関車は入換作業のほか、2021年(令和3年)3月の秋田臨海鉄道廃止までは当駅 - 秋田港駅間における貨物列車の牽引も行っていた[注釈 2]。同鉄道廃止後は構内入換のみとなり、常駐機は入換動車仕様機となっていた[17]

かつては駅の秋田駅寄りに車両基地・乗務員基地として秋田機関区[19][20][21][注釈 3]があった。国鉄分割民営化に伴い、現業機関は旅客・貨物の業務別に分離することとなり、1987年3月1日付で、秋田機関区は機関車車両基地部門・旅客関係乗務員部門を分離の上、秋田貨車区を統合し、同年4月1日付で日本貨物鉄道(JR貨物)の所属となった[22][23]。1994年(平成6年)12月には、秋田機関区と秋田貨物駅等の機能を統合し、秋田総合鉄道部が設置された[5]。機関車車両基地の部門は、1987年3月1日付で秋田運転所秋田支所となり[24][25][26]、4月1日付で東日本旅客鉄道(JR東日本)東北地域本社秋田支店(現・秋田支社)の所属となった。1991年5月1日に同支所は南秋田運転所に統合されたが、機関車の配置区として名称だけが残り、1993年12月1日に機関車配置も同運転所に統合された[24][27][注釈 4]後も、敷地には機関庫および事務所が残っていたが、後にそれらは撤去された。その後、JR秋田泉太陽電池発電所が運用され、土崎側は泉外旭川駅として変わっている。なお、このエリアの東端には変電設備と、本線から独立し架線が張られた訓練用の線路、JRバス東北仙台支店秋田乗務員宿泊所が、いずれも1993年に移設された下り本線の旧線跡に建っている。

取扱う貨物の種類

当駅は、コンテナ貨物と臨時車扱貨物の取扱駅である。

コンテナ貨物は、JR規格の12 ft・20 ft・30 ftコンテナと、ISO規格の20 ft海上コンテナ(総重量は24トンまで)を取り扱っている。主な取扱品は、発送貨物では建築材料ビール瓶金属など[28]秋田臨海鉄道の廃止後は、日本製紙秋田工場の紙の出荷も当駅に移行した(工場内でコンテナに積載し当駅へトラック移送)。到着品目では、仙台西港駅郡山貨物ターミナル駅等からのビール類が多い[28]。ISO規格のタンクコンテナも到着している。

なお、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の取扱許可を得ており、これらが入ったコンテナの取扱いも可能である。

貨物列車・トラック便

(2023年3月改正ダイヤ)[29]

高速貨物列車
日本海縦貫線の列車が1日上下各5本停車する(運転停車を除く)。そのうち上り列車1本が当駅終着、下り列車1本が当駅始発となっている。列車の行き先は下りが大館駅(1本)・東青森駅(1本)・札幌貨物ターミナル駅(2本)・仙台貨物ターミナル駅(1本)、上りが隅田川駅(1本)・百済貨物ターミナル駅(1本)・吹田貨物ターミナル駅(1本)・名古屋貨物ターミナル駅(1本)である。
専用貨物列車
臨時列車が数本設定されているのみである。2007年3月18日のダイヤ改正まで、濃硫酸などの化学薬品を輸送する貨物列車(JR東日本秋田車両センター(現・秋田総合車両センター南秋田センター)所属のED75形機関車が牽引)が酒田駅との間に毎週金曜日に1往復運転されていた。甲種輸送列車が時折運転されるが、当駅で長時間停車することが多い。なお、JR東日本秋田支社向け車両を輸送する場合は秋田駅までであり、当駅までは乗り入れない。
トラック便
横手新営業所との間で1日2往復運行されている。

駅周辺

隣の駅

東日本旅客鉄道(JR東日本)
奥羽本線
泉外旭川駅 - 秋田貨物駅 - 土崎駅

脚注

注釈

  1. ^ 仙台総合鉄道部所属EH500及び富山機関区所属EF510[16]
  2. ^ 当駅にディーゼル機関車の基地機能はなく、北上線や秋田港線の貨物列車運行のために東新潟機関区DD51が常駐していた当時も、給油や仕業検査は、秋田港駅へ貨物列車を牽引して乗り入れた際に秋田臨海鉄道により行われていた[18]
  3. ^ 秋田機関区は、秋田駅構内にあったが、1971年8月の奥羽本線秋田 - 青森間交流電化および1972年8月の羽越本線新津 - 秋田間電化(交流電化区間は村上 - 秋田間)に対応する交流機関車基地化のために、秋田操駅(現・秋田貨物駅)の秋田駅寄り(泉外旭川駅から南東の部分)の一帯を整備して、そこに秋田機関区機関車部門が移転(移転の正確な時期は不明)、同時にELとDLがそこに移転した[19][21]
  4. ^ 南秋田運転所統合後は、秋田車両センター→秋田総合車両センター南秋田センターへと名称が変更された。
  5. ^ 構内を横断していた地下道(市道)が現在の鉄道敷地のほか住宅街区の下も往時のまま通過しており、橋上の旧路盤の一部は車道に転用されている。
  6. ^ 当駅へのトラック出入りのため建設された短距離県道で、全線片側2車線となっている。かつては終点が秋田操車場出入口に直結していたが、貨物駅区域縮小・住宅地化により解消し、現在は秋田市道につながっている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、535頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ a b “ダイヤ改正から秋田操など6駅名変更 JR貨物”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年10月21日) 
  3. ^ 『秋田貨物駅 あす開業式』平成5年6月20日読売新聞朝刊22面秋田読売
  4. ^ a b 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '94年版』ジェー・アール・アール、1994年7月1日、191頁。 ISBN 4-88283-115-5 
  5. ^ a b 鉄道ピクトリアル』2000年1月号(No.680)p.36
  6. ^ 「県内にも影響じわり JR貨物 大阪以西はストップ」『秋田魁新報』秋田魁新報社、1995年1月20日、朝刊、2版、1面。
  7. ^ a b JR奥羽線の運休2か月、物流守ったトラック代行”. LOGISTICS TODAY (2022年10月18日). 2024年2月19日閲覧。
  8. ^ JR貨物「船舶代行」秋田~石狩で開始 寸断の「日本海ルート」補完図る”. 乗りものニュース (2022年8月25日). 2024年2月19日閲覧。
  9. ^ a b 貨物列車・日本海ルート「船舶代行」終了 秋田~青森はトラック輸送に切り替え”. 乗りものニュース (2022年9月17日). 2024年2月19日閲覧。
  10. ^ 奥羽線は7日早朝に運転再開、JR貨物|短報”. LOGISTICS TODAY (2022年10月5日). 2024年2月19日閲覧。
  11. ^ 佐藤優将「DOWAエコシステム空コンテナ活用 段ボール原紙、首都圏へ 日本製紙秋田工場製 輸送効率よく、複線化」『秋田魁新報』秋田魁新報社、2023年2月16日、4面。
  12. ^ a b 大谷好恵「2024年問題への対策 鉄道輸送の利点説明 秋田貨物駅で見学会」『秋田魁新報』秋田魁新報社、2023年9月14日、4面。
  13. ^ 「コメ専用貨物列車「全農号」運行開始 八戸から本県経由、大阪へ」『秋田魁新報』秋田魁新報社、2023年11月7日、5面。
  14. ^ 日本貨物鉄道株式会社 2024年3月29日付ニュースリリース『八戸貨物駅・秋田貨物駅 「積替ステーション」の開設について(東北支社)』(2024年4月2日閲覧)
  15. ^ ~プライベートブランド「ファミマル 新潟県津南の天然水」で実施~』(プレスリリース)株式会社ファミリーマート、2025年6月3日。オリジナルの2024年6月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20240603032153/https://www.family.co.jp/company/news_releases/2024/20240603_03.html2025年7月14日閲覧 
  16. ^ a b 貨物時刻表』2024年3月ダイヤ改正版、鉄道貨物協会、2024年、p.227・238
  17. ^ a b レイルマガジン』No.455、ネコ・パブリッシング、2023年、pp.76-78
  18. ^ 鉄道ファン』2008年4月号(No.564)pp.111-113
  19. ^ a b 鳥取彰(元国鉄本社運転局計画課)「国鉄 車両基地のあゆみ」『鉄道ジャーナル昭和58年10月号 特集●輸送の中枢-車両基地』第17巻10号(通巻200号)、鉄道ジャーナル社、1987年7月1日、63頁。 
  20. ^ 「国鉄の車両基地一覧」『鉄道ジャーナル昭和58年10月号 特集●輸送の中枢-車両基地』第17巻10号(通巻200号)、鉄道ジャーナル社、1987年7月1日、66頁。 
  21. ^ a b 編集部「変化をつかめ!61-11 改正機関車運用のポイント Part I EL 秋田機関区」『鉄道ファン1987年2月号 特集:国鉄機関車』第27巻2号(通巻310号)、交友社、1987年2月1日、45 - 46頁。 
  22. ^ 鉄道ジャーナル』1987年5月号(No.246)pp.34-35
  23. ^ 『鉄道ジャーナル』1988年2月号(No.256)p.33
  24. ^ a b 結解学「シリーズ車両基地 Vol.47 JR東日本 秋田車両センター」『鉄道ダイヤ情報2018年1月号 DJ2018 1 No.405[特集]ビュフェ&食堂車 今昔』第47巻1号(通巻429号)、交通新聞社、2017年12月15日、70頁。 
  25. ^ 「JR東日本の車両基地」『鉄道ジャーナル昭和62年7月号 特集●未来へ羽ばたくJR・東日本旅客鉄道〈第一部〉』第21巻8号(通巻248号)、鉄道ジャーナル社、1987年7月1日、83頁。 
  26. ^ 小榑宏明「JRの車両基地 車両基地の概況と車両検修体制 JR東日本」『鉄道ジャーナル 1990年7月号 特集●JRの車両基地'90』第24巻10号(通巻288号)、鉄道ジャーナル社、1990年10月1日、48 - 49頁。 
  27. ^ 太田浩道 編「JR現業機関一覧表 東日本旅客鉄道 秋田支社」『JR気動車客車編成表 2021』発行人 横山裕司、交通新聞社〈ジェー・アール・アール編〉、2021年6月17日、223頁。 ISBN 978-4-330-02921-4 
  28. ^ a b 鉄道ダイヤ情報』2001年3月号(No.203)p.24
  29. ^ 『貨物時刻表』2023年3月ダイヤ改正版、鉄道貨物協会、2023年、pp.112-115・p.145

関連項目

外部リンク


秋田貨物駅(秋田操車場)

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日本の貨車操車場」の記事における「秋田貨物駅(秋田操車場)」の解説

奥羽本線羽越本線結節点1960年昭和35年8月1日開業1984年2月1日機能停止1990年跡地秋田操駅貨物設備移転し秋田操駅は秋田貨物駅に改称した

※この「秋田貨物駅(秋田操車場)」の解説は、「日本の貨車操車場」の解説の一部です。
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