異形の神・怪物
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始原の神や、または神やその子孫のなかには、異形の姿を持ち、オリュンポスの神々や人間に畏怖を与えたため、「怪物」と形容される存在がいる。例えばゴルゴーン三姉妹などは、海の神ポントスの子孫で、本来は神であるが、その姿の異様さから怪物として受け取られている。 ゴルゴーン三姉妹はポルキュースとケートーの娘で、末娘のメドゥーサを除くと不死であったが、頭部の髪が蛇であった。また、その姉妹である三柱のグライアイは生まれながらに老婆の姿であったが不死であった。ハルピュイアイはタウマースの娘たちで、女の頭部に鳥の体を持っていた。ガイア(大地)が原初に生んだ息子や娘のなかにはキュクロープス(一眼巨人)や、ヘカトンケイル(百腕巨人)のような異形の者たちが混じっていた。またガイアは独力で、様々な「怪物」の父とされる、天を摩する巨大なテューポーンを生み出した。 エキドナは、上半身が女、下半身が蛇の怪物で、ゴルゴーンたちの姉妹とされるが出生には諸説がある。このエキドナとテューポーンのあいだには多数の子供が生まれる。獅子の頭部に山羊の胴、蛇の尾を持つキマイラ、ヘーラクレースに退治されたヒュドラー(水蛇)、冥府の番犬、多頭で犬形のケルベロスなどである。またエジプト起源のスピンクスはギリシアでは女性の怪物となっているが、これもエキドナの子とされる。 それらの多くは、神、あるいは神に準ずる存在である。ポセイドーンとデーメーテールが馬の姿となって交わってもうけたのが、名馬アレイオーンである。他方、ポセイドーンはメドゥーサとのあいだに有翼の天馬ペーガソスや、クリューサーオール(「黄金の剣を持つ者」の意)をもうけた。 セイレーンは『オデュッセイア』に登場する海の精霊・怪物であるが、人を魅惑する歌で滅びをもたらす。ムーサの娘であるともされるが、諸説あり、元々ペルセポネーに従う精霊だったとも想定される。『オデュッセアイア』に登場する怪物としては、六つの頭部を持つ女怪スキュラと渦巻きの擬人化とされるカリュブディスなどがいる。
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異形の神・怪物
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「ギリシア神話の固有名詞一覧」の記事における「異形の神・怪物」の解説
【 】内は、単純な長音の省略以外の別表記。 巨人 総称アローアダイ - 怪力の巨人。オリュンポスの神々に挑んで滅ぼされる。 ギガース - 【複数:ギガンテス】ガイアの子ら。ギガントマキアーで打倒される。 キュクロープス - 英語ではサイクロプス。単眼の巨人。ポリュペーモス - 『オデュッセイア』に登場するキュクロープス。 ヘカトンケイル - 【複数:ヘカトンケイレス】50の頭と100の腕を持つ巨人。 ライストリューゴーン族 - 『オデュッセイア』に登場する人食い種族。 個人名アトラース - 世界の西の果てで天空を背負う。 アルゴス - 100の目を持つ巨人。 ゲーリュオーン - 三頭、または三頭三体の怪物。ヘーラクレースと戦い、敗れて殺害された。 テューポーン - ゼウスに比肩する強さを持つ巨人。 その他 エキドナ - 上半身は美女、下半身は蛇、背には翼がある。多くの怪物を生んだ。 オルトロス - 双頭の犬。ゲーリュオーンの牛の番犬。 キマイラ - 【英:キメラ】ライオンの頭、山羊の胴、毒蛇の尻尾を持つ。 グライアイ - 3姉妹の老婆で、1つしかない歯と目を三人で共有している。 ケートス - 犬の頭に魚の下半身を持つ巨大な海獣。ペルセウスに退治された。 ケルベロス - 3つの頭を持つ犬。冥界の番犬。 ゴルゴーン - ステンノー、エウリュアレー、メドゥーサの3姉妹。 スキュラ - 上半身は美しい女性、下半身は魚、腰からは6つの犬の首と12本の犬の足が生えている。 スピンクス - 【スフィンクス】獅子の身体、美しい女性の上半身に翼をもつ。 セイレーン - 【仏:シレーヌ】上半身が人間の女性、下半身が鳥、あるいは魚。美しい歌声で船乗りを惑わす。 ネメアの獅子 - 人や家畜を襲ったライオン。ヘーラクレースにより退治された。 ハルピュイア - 【英:ハーピー】胸から上が人間の女性、翼と下半身が鳥。 ヒュドラー - 【ヒドラ】9、あるいは100の首をもつ大蛇。ヘーラクレースにより退治された。うみへび座の由来。 ミーノータウロス - 牛頭人身の怪物。テーセウスに退治された。 ラードーン - ヘスペリデスの園で黄金の林檎を守っていた、100の頭を持つ竜。ヘーラクレースに退治された。 ラミアー - 体の一部が蛇の女性。もとは人間であった。
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