生態系との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 07:09 UTC 版)
詳細は「火災生態学(英語版)」を参照 山火事が頻発するような地域に生える植物には山火事に適応した形態や生態を持つものがある。防火として典型的なものでは樹皮を厚くし枝や表面が燃えても枝が下から生える胴ぶき(英語版)するものがある。また、地下部の温度は地上部に比べて上がらないことから、地上部が焼損しても生き残れるように地下部に栄養を蓄えるリグノチューバ(英語版)をもつもの、地上部が損傷しても残った根や幹から芽を出して再生する萌芽再生の能力を高めたものなども知られる。 また、親となる植物の個体が焼損しても次世代に託す仕組みをもつものがあり、火災の熱で果実が割れて種子を散布したり、火災による温度上昇を地中で休眠中の種子が感知して発芽に至るような仕組みをもつものがある。山火事直後の土壌は競合する植物や病原菌が少なく、苗木にとって好適な環境であるため自身の生存ではなく次世代に託す戦略を持つ植物も多い。地中海沿岸やオーストラリアに成立する森林は硬葉樹林と呼ばれ、夏季の乾燥と山火事の多さが特徴である。 フトモモ科(学名:Myrtaceae)ではオーストラリアを中心に分布するユーカリ属(Eucalyptus)やブラシノキ属(Callistemon)などに火災に適応した種が見られる。厚い樹皮を持ち、萌芽力も高く火災後いち早く再生する。種子が厚い樹脂に包まれ、保護されるとともに樹脂が溶けないと発芽できないようにもなっている。 ヤマモガシ科(Proteaceae)ではバンクシア属(Banksia)などで知られる。火災で開くタイプの果実を付ける。 マツ科(Pinaceae)ではアメリカ大陸や地中海沿岸に分布するマツ属(Pinus)の一部の種で火災への適応がよく知られるが他の属では知られていない。火災で開くタイプの果実(球果)を付けるものと厚い樹皮や高い萌芽能力を付けたもののどちらも知られる。 ヒノキ科(Cupressaceae)ではアメリカ西部のセコイア属(Sequoia)、セコイアデンドロン属(Sequoiadendron)、イトスギ属(Cupressus)の一部の種、オーストラリアで進化したCallitris属(和名未定)とActinostorbus属(和名未定)のすべての種などの一部のグループに火災で開くタイプの果実(球果)を持つものが知られる。 ウルシ科(Anacardiaceae)では日本にも分布するヌルデ属(Rhus)は地中で長期の休眠が可能で熱を感知する種子を付け、火災後いち早く生えてくる。 マメ科(Fabaceae)では東北地方ではヤマハギ(Lespedeza bicolor)が高い萌芽性を持ち火災跡地に繁茂するという。また、オーストラリアの森林火災跡地でもマメ科草本のSwainsona greyana(和名未定。英名darling pea)が繁茂しこれを食べた家畜が中毒死する事件が起こっている。 ブナ科(Fagaceae)では地中海沿岸に分布するコルクガシ(Quercus suber)が厚い樹皮を備えて山火事に強いことで有名である。日本でもミズナラが高い萌芽力で火災跡地で迅速に再生する。 菌類ではマツ類に寄生するツチクラゲ(Rhizina undulata)の胞子が山火事後などの地温が高温の時に発芽することが知られている。また。アミガサタケ属(Morchella)のうち、北米産の一部の種では山火事の後に豊作になるといい、灰によって土壌がアルカリ性に傾くことなどが原因として考えられている。 火災の強熱を受けないと開かないバンクスマツの球果(松かさ) 樹上に何年も付いたままのマツの一種Pinus muricataの球果 火災後の土壌で発芽したダイオウマツ(Pinus palustris) 山火事で生存し幹から萌芽を伸ばすマツの一種Pinus canariensis 火災後一斉に生えてきたコントルタマツPinus contrta 焼損した幹から萌芽を伸ばすユーカリの一種 火災後にみられるバンクシアの発芽 ヒノキの仲間Actinostrobus pyramidalisの球果も火災の熱で開くタイプ 火災後に現れることが多いツチクラゲ 山火事後に豊作になるという北米産アミガサタケの一種M. tometosa
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生態系との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 00:18 UTC 版)
菌糸体を介して、真菌は周囲の環境から栄養素を吸収するが、このプロセスは2段階で行われる。第1段階で、菌糸は酵素を栄養源に分泌し、酵素が生体ポリマーをモノマーのようなより小さな単位に分解する。第2段階で、分解生成物は拡散及び能動輸送で菌糸体に吸収される。 菌糸体は、陸上生態系及び水圏生態系で不可欠であり、植物を構成する物質などを分解する役割を担っている。菌糸体は土壌の有機成分に寄与し、その成長プロセスで二酸化炭素を大気中に放出する(炭素循環を参照)。外菌根外部菌糸体ectomycorrhizal extramatrical mycelium、およびアーバスキュラー菌根菌の菌糸体は、ほとんどの植物において水分及び栄養分を吸収する効率を高め、植物病原菌に対する耐性を付与する。菌糸体は多くの土壌無脊椎動物にとって重要な食料源となる。菌糸体は農業に不可欠であり、多くの植物が菌糸体と共生している。菌糸体は植物の健康、栄養素の摂取、成長の主要な要因であり、菌糸体は植物の健康の主要な要因である。
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