現在の精神医学での概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 05:29 UTC 版)
「ペドフィリア」の記事における「現在の精神医学での概念」の解説
「精神障害#定義」も参照 現在、米国精神医学会 (APA) の診断・統計マニュアルDSM-5では小児性愛障害 (Pedophilic Disorder) に関して以下の記述がある。DSM-IV-TR以前では小児性愛 (pedophilia) の診断名が使われていた。 規準A : 少なくとも6ヶ月間にわたり、思春期前の子どもまたは複数の子ども(通常13歳以下)との性行為に関する強烈な性的に興奮する空想、性的衝動、または行動が反復する。 規準B : これらの性的衝動を実行に移したことがある、またはその性的衝動や空想のために著しい苦痛、または対人関係上の困難を引き起こしている。 規準C : その人は少なくとも16歳で、基準Aに該当する子どもより少なくとも5歳は年長である。注記 : 青年期後期の人が12-13歳の子どもと性的関係をもっている場合は含めないこと。 また、WHOの国際疾患分類改定第10版であるICD-10では、ペドフィリアに関して以下の記述がある。 F65.4 小児性愛 Pedophilia 小児、通常は思春期前あるいは思春期早期の年齢の小児への性的愛好で、ある者はただ少女だけに引きつけられるが、またある者は少年にだけ、またある者は両性に興味をもつ。 成人と性的に成熟した青年との接触は、とくに両者が同性の場合は社会的に承認されていないが、しかし必ずしも小児性愛と関連するものではない。ただ1回の出来事は、特に加害者自身が青年の場合には、診断にとって必要な持続的あるいは支配的な傾向の存在を証明するものではない。しかしながら、小児性愛者のうちには、成人の性的パートナーを愛好し続けながらも適切な接触を得るのに慢性的に挫折しているため、習慣的にその代理として小児に向かう者が含まれている。思春期以前の自分の子供を性的にからかう者は、時に他の子供たちにも同様な近づき方をするが、いずれの場合も彼らの行動は小児性愛を示唆するものである。 (注:DSM-IV-TRは「このマニュアルには精神障害の分類を提示しているが、「精神障害」の概念に対して、正確な境界を設定するに十分な定義は与えていない」と述べている通り、DSM-IV-TRの記述を単純に厳密な定義と捉えてはならない。診断規準の提示はあくまで参考の為で、資格のない一般人が診断を行う為ではない。 なお、日本では医学上18歳未満(17歳以下)の者を小児に含めているが、18歳未満への性的愛好のすべてが小児性愛とみられるわけではない。日本の学齢では、13歳に達するのは中学校1年生~2年生、5歳年長の18歳に達するのは高等学校3年生~大学1年生。11歳に達するのは小学校5年生~6年生、5歳年長の16歳に達するのは高等学校1年生~2年生。16歳以上の人と年齢差が4歳の場合は規準に含まないため、12歳~13歳の人と16歳の人、13歳の人と17歳の人、また16歳未満の人と13歳以下の人の関係はペドフィリアの定義に含まない。 性的に成熟する平均年齢をめぐっては男女共に低下傾向にあり、1880年の約18歳から、1980年には12.5歳にまで低下している。性交渉を初めて経験する年齢と38個の遺伝子変異との間には関連性があり、遺伝子的な要因により「人が性交を始める年齢差の約25%を説明できる」。総合的臨床見地によって診断が行われるのは前述の通りであるが、16 - 17歳の者への性的愛好が小児性愛とされるのはむしろまれである。 年齢・学齢早見表児童満年齢学年満年齢学年11歳以下 小学校5年~小学校6年以下 16歳以上 高等学校1年~高等学校2年以上 12歳以下 小学校6年~中学校1年以下 17歳以上 高等学校2年~高等学校3年以上 13歳以下 中学校1年~中学校2年以下 18歳以上 高等学校3年~大学1年以上
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