火熾し(火おこし)方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:00 UTC 版)
木炭を着火するのは初心者には難しく、燃焼中の着火剤投入などで事故も起きているため、注意が必要である。いずれの場合でも木炭で調理が行えるようになるのは着火後10分から20分、場合によっては1時間ほど必要で、それを見越したスケジュールを組むのが望ましい。 バーナーを使う方法 カセットコンロのボンベや灯油を燃料とする「カセットバーナー(トーチバーナー)」「草焼きバーナー」を使っての着火が初心者には確実である。イワタニからは木炭着火専用の機種も発売されている。特に着火しにくい備長炭やオガ炭で有効であるが、長時間炙ることでの燃料費もかかるためケースバイケースである。珪藻土製七輪などではバーナーの強い直火があたると劣化が進むため注意する。 着火処理をした木炭を使う方法 「Quick Grill Briquette」「ラウンドストーブ」などの商品名の加工成型木炭は表面に着火剤が塗られており、簡単に調理可能な状態の熾き火になる。これらの加工成型木炭を着火剤として利用すれば、備長炭やオガ炭などの着火しにくい木炭も比較的簡単に着火することができる。 木質系着火材を使う方法 圧縮成形した木質繊維にワックスを染み込ませたタイプの着火材は、突然爆発する危険性がほとんどなく、メタノール剤のものより安価で火力が強く、木炭への着火性はかなり高い。もともとは薪や石炭の煙突式ストーブで焚き付けするためのものであるので、北海道のメーカーのものが多い。ジェル状のアルコール系着火材よりも強火力で、木炭を着火させる能力が高いが、周りへ広がる炎と煙も強く、それらに充分に注意したほうが良い。 チャコールスターターを使う方法 別名チャコスタ/ファイヤースターター/チムニースターターとも呼ばれる。欧米版の火熾し器であるが、日本のものより4倍から5倍は深い筒状になっている。近年はホームセンターでの取り扱いも多い。金属製の円筒、あるいは折り畳みできるように金属板を組み合わせた三角形や四角形の筒状になっており、日本の火熾し器のように筒ごと下から火で炙るか、この筒の中に木炭や薪、着火剤などを詰めて着火すると、煙突効果により比較的簡単に10分から30分ほどで、炭火で調理可能な状態にまで火熾しできる。火が熾ったら、バーベキューグリルやダッチオーブン、七輪などに炭を移せば良い。バーベキューの機会が多い場合はチャコールスターターがあると便利である。 ジェル状着火剤を使う方法 ホームセンターへ行くと透明な薄いピンク色のビニール状の小袋に小分けされたゲル状の着火剤や、チューブ入りの着火剤、固形の着火材などが市販されている。小袋に小分けされた着火剤は七輪であれば1袋から2袋ほど、バーベキュー台では5cmから10cm間隔で並べ、袋へそのまま火をつければ、袋が燃え上がりつつ木炭へ着火が行われる。チューブ入りの着火剤の場合は、火のついていない木炭の上にゲル状の着火材を塗布したのち、着火する。火のついている状態では絶対に着火剤を継ぎ足してはならない。着火剤が爆発的な燃焼を起こし、周囲にゲル状着火剤の火が飛び散り燃え盛りながらへばりつく場合がある。このような危険性から、チューブ入りの着火剤は最近はホームセンターでの販売が行われていない場合が多く、袋入りにしてもチューブ入りにしても、メタノールをゲル化したこのような着火剤は着火後、火がついた状態で突然飛び散る場合があるため、木炭への着火が完全に済むまでは注意が必要である。 火熾し器を使う方法 火熾し器は小型の深底フライパン鍋のような形状をしており、鍋底が金網状になっている(練炭・豆炭の火熾しもできるようになっている場合が多い)。まず、火熾し器に適切な大きさに切った木炭を入れた後、屋外の安全な場所で既に熾っているたき火や、練炭コンロ、固形燃料のゴトクの上で火熾し器を掛け、木炭が赤熱するまで炙る。木炭の継続的な燃焼(熾きた状態)が認められるようになったら、赤熱した木炭を七輪やバーベキュー台などに移し、火種とする。なお、カセットガスコンロの場合では、カセットガスボンベが炭からの輻射熱によって爆発する危険性があるため、カセットガスコンロでの火熾しは絶対に行ってはならない。火熾し器で炙る際には木炭が爆跳したり、炎や火の粉が細かく飛び散る場合も多いうえ、台所のガスレンジで熾す場合はレンジや換気扇の油汚れなどに引火の危険性もあるため、確実な安全性が保証できない場合は最初から屋内での火熾しは避けた方が良い。 松かさ、木片、紙を使う方法 松かさ(松ぼっくり)は、松脂成分を多く含み、よく乾燥したものは着火剤、及び燃料として優秀である。屋外で松かさが入手できる場合は1個から数個の松かさで、充分に木炭の着火剤となり得る。 木片の場合は下部に敷き詰めて、新聞紙や広告紙の場合は固く綱紐状にして、その上に木炭を置いて着火させる。その際、木炭は温度低下を避けるため釜状に間隔をあけずに密集させ、燃焼時に釜の内部に熱が篭るようにすれば良い。 七輪の場合は綱紐状の固く締めた紙をコンロ内側にバケツ状に敷き詰め、その内側に木炭が包まれている状態にする。この方法はYouTubeなどで複数紹介されているが、実際に行ってみると、着火剤などと比較して初心者での着火は非常に難しいうえ、紙の灰が大量に出て食材に付く場合がある。
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