火災事故による運休・臨時特急
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「国鉄キハ183系気動車」の記事における「火災事故による運休・臨時特急」の解説
2013年(平成25年)には、キハ183系を使用する特急「北斗」においてエンジントラブルが相次いだ。4月8日には八雲駅構内にて特急「北斗」20号の4号車エンジンが破損し、発煙する事故が発生。7月6日には函館本線の山崎駅 - 鷲ノ巣駅間を走行していた特急「北斗」14号の4号車(キハ182-2557)床下のDML30HZ形エンジンからエンジンブローに伴う出火事故が発生。JR北海道はこの問題を鑑み、7月8日に事故車両と同種のDML30HSJ・DML30HZ形エンジンを搭載する車両(N183系・NN183系の12気筒エンジン搭載車)36両の使用を当分の間休止し、当車両を編成する特急「北斗」4往復(下り5・11・15・19号/上り4・8・14・20号)と特急「サロベツ」1往復を全区間運休とすることを発表した。なお、「北斗」17号についてはキハ281系気動車による代走運転を実施。 7月13日から運休中の定期「北斗」を補完するため、臨時「北斗」をリゾート車両で運行開始。これに伴いキハ183系の運行は基本番台を連結する編成(最高速度110 km/h)の「オホーツク」と臨時特急「北斗」のみとなり、後期型車両(N183系・NN183系)は36両の他に専用編成(最高速度130 km/h)のみ連結可能なキハ183形3550番台も使用できない状況となっていた。これらは2014年(平成26年)7月31日まで続いた。 2013年11月1日のダイヤ変更では、特急「北斗」3往復の最高速度が130 km/hから120 km/hに引き下げられた。 使用停止車両・36両 キハ183形(5両):405, 406, 503, 504, 6001 キハ182形(26両):404 - 406, 413, 501 - 503, 507 - 512, 2551 - 2562, 6001 キロ182形(5両):504, 505, 2551 - 2553 臨時北斗 ← 函館 札幌 → 号車12345形式キハ183-0/1500/1550 キハ182-0 キハ182-0 キハ182-0 キハ183-0/1500/1550/4550 JR北海道は該当車両について調査を進めていたが、以下の原因が判明した。 原因 スライジングブロック破損原因 国鉄時代の1986年に製造したN183系は開発当時、高速化を目的に、燃料制御装置のサーボモーターを大型化したが、これによりノッチ切換時に発生するサーボモーターのピストン作動棒に大きな動きや、ピストンを動作させる油圧に急激な変化が発生し、燃料制御装置のサーボモーターのピストンストロークが必要な可動域を超え、大幅かつ急速に変位(徒動、しゃくり)が発生していた。 この異常な変位が、ノッチ切換の度に繰り返し発生し、スライジングブロックに設計想定を超えた大きな負荷が作用した。 エンジンブロック破損原因 スライジングブロックが破損した際に燃料噴射ポンプは燃料供給を続け、エンジンが過回転状態となったこと、また、過回転状態を検出してエンジンを止める機構がなかった。 JR北海道では下記の対策を講じた上で、運休となっていた「北斗」の一部列車と「サロベツ」を2014年8月1日から運行再開した。 措置 負荷軽減対策(スライジングブロック折損対策) 燃料制御装置サーボモーターピストン作動棒の可動域の調整機構(ストッパ)を新設。 燃料制御装置のピストン内圧の急激な変化を抑制するために油圧回路入り口部に絞りを追加。 多重防護対策(エンジンブロック破損対策) 燃料噴射ポンプコントロールラックに戻しばねを新設し、スライジングブロック折損時に過回転を防止する。 機関の過回転を検出し、機関を強制的に停止させるシステムを新設。 定期特急ではDML30HZ形エンジン搭載車のキハ182-2550番台車、DML30HSJ形改造のDML30HZ形エンジン搭載車のキロ182-2550番台車は順次新エンジンに換装された。お座敷車ではDML30HSJ形改造のDML30HZ形エンジンを搭載するキハ182-6001は廃車、キハ183-6001、キハ183-6101は塗装変更されお座敷の旅客運用は休止となった。ただし、回送車の牽引や試運転、締切扱いで定期特急の先頭車に使用することがある。
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