火災事故の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 06:55 UTC 版)
当該店舗は日頃から消防局の警告を無視し、訓練も実施されず、防火シャッターは整備不良だった。 火災発生当時は、隣接する櫻井総本店ビル3階-8階への増築および改装工事をしながら年末に向けての書き入れ時の中での営業だった。出火原因は、タバコの火の不始末か放火かまたは改装工事の際の火花なのか、様々な憶測は出たが現在に至るまで判明していない。 出火場所は、2階から3階の階段の踊り場に置いてあった段ボール箱と言われる。パート店員が階段シャッター前の天井付近に薄い煙を認め店員に連絡、4、5名の店員が駆け付けたが消火ホースは水圧が足りず、粉末消火器は薬剤が放出されず残っていた。1階からバケツ20杯ほど水を運んだが消火に失敗、階段室の防火シャッターの操作ボタンを2回押すとゆるやかに降りたものの、シャッター前に座布団が高く積まれており引火した。3階は寝具売り場で、大量の可燃物があり火勢が強まった。 階段部分が事実上『従業員の通路』と化し、大量の荷物で通路幅が狭くなり避難を困難にした。さらにスプリンクラー設備などの防火設備などが工事中で作動せず、被害を大きくした。避難が始まってまもなく停電したとの証言が多い。燃えだしてから布団類の黒い綿をちぎったようなすすが出て暗くなった。 この火災を消防に通報したのはデパートの従業員ではなく、道路向かいの理髪店の店主であった。デパート側は3階寝具売り場からの知らせで主任が119番にダイヤルしたと証言したが、消防機関にはそのようなデパートからの通報記録はなかった。店内の緊急放送は上司の許可が要るものの、連絡がとれなかった。電話交換手の部屋からは、3階の様子が分かるが、従業員は階段から逃げてしまっていた。結局、デパートから消防に通報されなかった原因としては、大規模な混乱の中で従業員全員が互いに「誰かが通報するだろう」と思い込んでしまった傍観者効果の可能性が指摘されている[誰によって?]。 従業員の誘導で従業員60名・客70名ほどが屋上に避難して助かった。はしごで救出された人数は67名であった。また増築用の足場を利用して25名が救出された。この火災で3階以上延べ1万3500平方メートルを全焼し、年末に向けての買い出し客や従業員や工事関係者ら104人が死亡、124人が重軽傷を負ったという、日本のビル火災では大阪市の千日デパート火災(1972年5月13日)に次ぐ大惨事となった。 当時は衛星回線を使ったテレビの全世界中継が始まっており、ヨーロッパでも火災現場の実況放送が放映された。 社団法人日本損害保険協会の予防時報 第97号(1974年4月1日)に大洋デパート火災の問題点が指摘されている。 火災後直ちに現場を視察した日本大学の塚本孝一教授は「ごく普通にみる百貨店であるから、こういった事態は他でも起こりうる」としている。 なお、NHKアーカイブスにて大洋デパート火災当時のニュース動画を見ることができる。
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