派遣期間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 00:12 UTC 版)
平成27年9月30日時点で既に締結されている労働者派遣契約については、その契約に基づく労働者派遣がいつ開始するかにかかわらず、改正前の法による期間制限がかかる。すなわち、期間は原則1年。延長は最長3年まで可能だが、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)の意見を聴取する義務がある(派遣法第40条の2)。ただし、派遣契約締結から派遣開始までにあまりにも期間が空いている場合は脱法行為と認定される可能性がある。 平成27年9月30日以降に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、全ての業務で次の2つの期間制限が適用される。 派遣先事業所単位の期間制限 派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、上限3年となる。起算日は、新たな期間制限の対象となる労働者派遣を行った日である。3年の間に派遣労働者が交代したり、他の労働者派遣契約に基づく労働者派遣を始めた場合であっても、起算日は変わらない。延長しようとする場合、その事業所の過半数労働組合等からの意見を聴く必要がある。延長期間も上限3年であり、また延長しても、個人単位の期間制限を超えて同一の有期雇用の派遣労働者を引き続き同一の組織単位に派遣することはできない。 ここでいう「事業所」とは、雇用保険の適用事業所と同一である。雇用保険の事業所非該当承認を受けている場合、原則、期間制限を受ける事業所単位の事業所としては認められない。こうした一の事業所としての独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所として取り扱うこととなる。 派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされる(クーリング期間)。派遣先が延長手続を回避する目的でクーリング期間を空けて派遣受け入れを再開する行為は、法の趣旨に反し、行政指導等の対象となる。 過半数労働組合等からの意見聴取は、期間制限の抵触日の1ヶ月前(起算日から2年11か月後)までに、十分な考慮期間を設けたうえで行わなければならない。また派遣先は、過半数労働組合等が意見を述べる参考となる資料を提供しなければならず、意見の内容を書面に記載して3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければならない。意見を聴いた結果、過半数労働組合等から異議があった場合には、派遣先は対応方針等を説明しなければならず、またその意見を十分尊重するよう努めなければならない。 最初の受け入れの際には、派遣先は過半数労働組合等に受け入れの方針を説明することが望ましいとされる。 派遣労働者個人単位の期間制限 同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、原則、上限3年となる。組織単位を変えれば、同一の事業所に引き続き同一の派遣労働者を派遣することができるが、3年を超える場合は事業所単位の期間制限を延長する必要がある。 ここでいう「組織単位」とは、業務としての類似性・関連性があり、組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断される(一般的な企業の「課」「グループ」に相当する)。派遣労働者の従事する業務が変わっても、同一の組織単位内である場合には、派遣期間は通算される。 派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者をふたたび派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされる(クーリング期間)。 期間制限を受けない場合 以下の場合は期間制限はかからない。派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合 60歳以上の派遣労働者を派遣する場合 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合(平成27年改正前は「3年以内の有期プロジェクト」とされていたが、改正後は終期が明確であれば3年を超えてよい) 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合 かつて派遣法施行令第4条で定めていた業務(俗称26業務)については専門的な業務であるか、特別の雇用形態が必要とされることにより、派遣期間制限はないとされてきたが、平成27年改正により、26業務についても他の業務と同様の期間制限がかかることとなった。なお改正法の施行を理由に26業務に従事していた有期雇用者に雇い止めを行ってはならない(派遣労働者にも労働契約法第19条(雇い止め法理)が適用される)。 日雇い派遣の制限 詳細は「日雇い派遣」を参照 登録型派遣のうち、その雇用する日雇労働者を派遣するものを特に「日雇い派遣」と呼ぶ。ここでいう「日雇労働者」とは、「日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者」をいう。2012年の派遣法改正により、「派遣法施行令第4条で定める業務」「60歳以上」「雇用派遣の適用を受けない学生(いわゆる昼間学生)」「世帯収入が500万円以上」「主収入が500万円以上の者が副業として従事する場合」の例外を除いて原則的に禁止となった(派遣法第35条の4、派遣法施行令第4条)。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}派遣法施行令第4条で定める業務(俗称26業務) body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}情報処理システム開発 機械設計 機器操作 通訳、翻訳、速記 秘書 ファイリング 調査 財務 貿易 デモンストレーション 添乗 受付・案内 研究開発 事業の実施体制の企画、立案 書籍等の制作・編集 広告デザイン OA インストラクション セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
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