法規制に関して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 00:22 UTC 版)
前述のとおりダガーは、そのシンメトリー性から美術要素が見出され、愛好者が存在する。しかしながら対人殺傷に有効であるという点には変わりは無い。2008年6月8日に発生した秋葉原通り魔事件を契機として、事件で使用された殺傷性の高いダガーに対する規制を強化する動きが高まり、同年11月28日に刃渡り5.5cm以上の剣を所持禁止対象とする銃刀法改正案が国会で成立した。 ただ、ダガーが問題視されたのはこれが初めてではなく、以前にダガーによる警官殺害事件や、それと同時期に海外旅行者により購入されたダガーが税関の持ち物検査で没収され、旅行者とトラブルになる事例が相次ぎ、警察関係者らと輸入業者が輸入基準について協議を行った。その結果、規定以上の刃渡りの場合は規定内の長さの部分まで鋸刃にした状態にし、「ダイバーズナイフ」という名目であればとりあえず許可されるとされ、その輸入品が武器か否かの判断は、実際に輸入許可に携わる税関担当者の裁量に任されるとされた[要出典]。 銃器の規制に関しては世界で厳しい部類に入る日本だが、刃物の販売・単独所持への規制に関しては他先進国に比べあまり厳しくない事情も見出せる。例えばイギリスではバタフライナイフのようなナイフや一部のクボタンのような護身具は販売を規制されているが、日本国内では有害玩具として青少年保護育成条例により未成年者への販売・所持の規制がされている程度である。 なお、これを報じた産経新聞によれば、事件前より7県で18歳未満へのダガーの販売が禁止(有害玩具扱いなど)されていたが、同事件以降には12府県が同様の禁止へ、9県が規制を予定している模様であるという。また、警察庁ではダガーを含め全ての諸刃の刃物を許可なく所持できなくする銃刀法改正法案を提出すること決めた。 2009年1月5日には銃砲刀剣類所持等取締法の一部が改正後、施行され、刃渡り5.5cm以上の剣(ダガーなど左右均整の形状で両側に刃がついた刃物)は原則として所持が禁止された。またこれらは6か月後の2009年7月5日までに輸出または廃棄しなければならない。 この改正に伴い、同年7月5日までに回収ないし廃棄処分となったダガーは1万1千本を超え、また規制対象外ではあったものの「ダガーではないか」として自主的に提出されたナイフも19,500本に及び、一部には殺傷性が問題視され有害玩具としても扱われるバタフライナイフの他にスローイングナイフ(投げナイフ)やスライディングナイフが含まれていたという。このほか3,200本が販売業者側で廃棄ないし加工されたり輸出用として処理された。経済産業省筋では2007年度内だけでも約3,500本の同種ナイフが販売されたと見ており、警察庁ではどの程度が国内に残っているか不明だとしながらも、数万本規模で残っていると見積もっている。なお警察庁側では2009年7月5日をもって猶予期間が終了したことを受けて、不法所持を取り締まる方針であるが、自主的に届けられたものに関しては今後も摘発しない方針だとしている。 その一方、この改正に伴い養蜂で蜜蓋の切除に使う蜜刀やカキの貝柱を切断してこじ開ける為の加工用のカキ剥きナイフが規制対象となり提出されるなどの事態も発生した。北海道警は2009年7月23日に規制対象となる1,367本の両刃の5.5cm以上の刃物を回収したが、内過半数の735本はこういった食品加工用の産業用ナイフだったという。これは刃物の形状によるもので、産業用ナイフでも両刃部分が5.5cm以上の刃物(剣)の提出が求められたものだが、徳島県警生活環境課では「分かりにくい物が多いと思うので、警察署で確認を」とコメントしている。 この規制では、ダイバーズナイフでも形状によって規制されうる。このため、先端の鋭くないダイバーズナイフが販売されている。 なお製造・製作は海外輸出用に限り当局に許可を取れば行えるので、海外メーカー製品のOEM生産やカスタムナイフ製作等は現在でも行われている。
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