横濱ベイサイドラインとは? わかりやすく解説

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横濱ベイサイドライン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/13 05:06 UTC 版)

横濱ベイサイドラインの2階建バス
2代目車両 (3-4003)
ヨンケーレ・モナコ
U-RG620VBN 1994年式
ブルーラインからの転用車
港の見える丘公園にて

横濱ベイサイドライン(よこはまベイサイドライン)は、横浜市交通局横浜市営バス)が2016年9月まで運行していた定期観光バスである[1]横浜市営バス保土ケ谷営業所が担当していた。

本項では、横浜市営交通における市内遊覧バスの歴史についても記述する。また、横濱ベイサイドラインの前身となった市内遊覧バス「みなとヨコハマ2階建バス ブルーライン[1]についても述べる。いずれも2階建バスが使用されていたが、すでに除籍されている。

歴史

市内遊覧バスの始まり

横浜市の定期観光バス事業開始は、横浜市電気局時代の1935年昭和10年)に遡る[2]関東大震災の瓦礫埋立のため造成された山下公園で、この年の3月26日から5月24日まで復興記念横浜大博覧会が開催された[3]

横浜市電気局はこれを契機に、同年12月23日から、横浜駅桜木町駅から伊勢山皇大神宮野毛山公園横浜競馬場杉田梅林など15カ所を周遊する市内遊覧バスの運行を開始した。戦前に運行していた市内遊覧バスは、現在の浅間町営業所が担当していた。

1937年10月19日より日中戦争によるガソリン不足のためより運行休止[2]。戦後の1946年5月31日、横浜市電気局は横浜市交通局へ改称した。

横浜市交通局は、1953年1月1日に市内遊覧バスの運行を再開した[2][4][5]

ブルーライン

ブルーラインの2階建バス
初代車両
日産ディーゼル・スペースドリーム
GA66T 1984年式
1993年頃、横浜駅東口バスターミナルにて

1984年4月1日[1]より「みなとヨコハマ2階建バス ブルーライン」の名称で市内定期遊覧バスの運行を開始[1][2][6][7]。運行開始に先立ち、同年3月に横浜スタジアム前で2階建バスお披露目式が開催された[8]。こちらは滝頭営業所が担当していた。

これは関内駅から馬車道大さん橋山下公園横浜中華街港の見える丘公園など、横浜中心部の観光名所を巡回するもので[1]、のちの「あかいくつ」と同様に道路上の停留所で乗降扱いを行う路線バスであった[1]

専用乗車券は200円で、乗車券の提示で横浜マリンタワー氷川丸横浜開港資料館横浜人形の家で入場料割引が受けられた[1]

運行開始にあたり、専用車両として国産初の2階建バスである日産ディーゼル・スペースドリームの試作車(GA66T)が3台[8](3-4001~4003[注釈 1])導入された[2]。横浜市経済局が車両を購入し[2]、交通局(横浜市営バス)が運行していた[2]。スペースドリームの導入例としては日本初となり、また複数台導入したのも横浜市のみである。

1984年の運行開始時の経路は以下のとおり[1]。関内駅を起終点とし、港の見える丘公園で折り返していた。

1989年平成元年)には、横浜博覧会 (YES'89) の開催に合わせ、会場のみなとみらい21地区に近い桜木町駅が起点となった[1]

さらに、1990年には横浜駅東口が起点となり、横浜ベイブリッジ横浜スカイウォーク)で折り返すようになった[1]。1990年時点の運行経路は以下のとおり。高速道路首都高速横羽線湾岸線)経由で横浜駅東口とスカイウォークを結ぶ直行便もあった。

運行開始後10年が経過したため、1994年には専用車両が2代目の2階建バス、ヨンケーレ・モナコ(U-RG620VBN[2])に置き換えられ、3台が新製配置された(3-4001~4003[2][注釈 1][9]。61人乗りのサブエンジン式冷房車ABSを装備していた[2]

1996年3月31日、路線再編により廃止[1]。横濱ベイサイドラインに引き継がれた。

なお、2008年に路線愛称が導入された「横浜市営地下鉄ブルーライン」との直接の関係はない[1]

横濱ベイサイドライン

横濱ベイサイドライン専用車(新塗装)
3代目車両 (8-3011)
日野・セレガSHD 2008年式、リフトバス
横浜赤レンガ倉庫前にて
8-3011号車の車椅子用リフト
神奈川県バス協会「バス利用感謝デー2018」にて

1996年5月1日、愛称を「横濱ベイサイドライン」(濱は旧字体表記)に変更。それまでの路線バスから、乗降地とコースが決められた定期観光バスとしてリニューアルし運行開始[1]。午前コース・午後コース・夜コースの3コースがあり、「バスコンパニオン」と呼ばれたバスガイドも添乗していた。

専用車両は「ブルーライン」で使用されていた2階建バスのヨンケーレ・モナコ3台を転用[2]。担当は滝頭営業所から保土ケ谷営業所へ移管され、専用車両も同時に転属した[1]。書類上の系統番号は151系統であった。

しかし、2005年に運行開始した周遊バス「あかいくつ」に押され、利用者が低迷した。

2008年12月には、新車として日野・セレガ(座席数49、補助席11[10]、PKG-RU1ESAA、スーパーハイデッカー車椅子リフト装備車)を導入し、車体の塗装を赤色に変更。同時にコースをリニューアル[11]。1日コース「横濱ストーリー」、午前コース「ノスタルジック横濱」、平日午後コース「横濱シーサイド・アフタヌーン」、土休日午後コース「横濱アフタヌーン・クルーズ」の4種類とした[11]

2009年の「開国博Y150」会期中は、桜木町駅発の短時間コース「横濱クイック・ビューイング」や博覧会を組み合わせた特別コースが設定された[12]

2013年度には上向きに転じ、土休日限定の1日コース「とことん横濱」を新設、午前・午後コースをそれぞれ「まるごと早まわり」「開港ものがたり」にリニューアルした。しかし2014年度の年間利用者は約1万3千人で、10年前に比べ3割ほど減少し、乗客ゼロの日もあった[4]

2015年3月末をもって、予備車として1台残っていたヨンケーレ・モナコが除籍となり[9]、これを記念して同年3月末にバスツアーが開催された[9]

2016年9月30日をもって横濱ベイサイドラインの運行を終了。これに代えて「あかいくつ」の増便と「ぶらり野毛山動物園BUS」(既存の89系統。毎日運行)、「ぶらり三溪園BUS」「ぶらり赤レンガBUS」(土休日運行)を開設した[13][14]。横濱ベイサイドライン用の車両は、今後は貸切バス[10]として使用される[15]。同年10月29日には、横浜市交通局のイベントで横濱ベイサイドラインが復活運行された[16]

ヨンケーレ・モナコ 車両ギャラリー

見学コース

2016年9月の廃止時点では、下記の3コースが運行されていた。

いずれも横浜駅東口バスターミナル発着(「横濱夜景」はスカイガーデンで解散)。「まるごと早まわり」はみなとみらい・関内地区の指定ホテルで乗車可能。「開港ものがたり」は横浜駅到着後、関内地区の指定ホテルまたは横浜中華街へ送ってもらうことができる。○印は下車見学。

脚注

注釈

  1. ^ a b 横浜市交通局の車両に付される局番は、最初の数字が購入年度の西暦下1桁、次の数字が車両のシャーシメーカーを表す。2階建バスはそれぞれ1983年度・1993年度購入の日産ディーゼル車のため、局番が同じになっている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 以前に走っていた「ブルーライン」という二階建てバスは廃止になった?”. はまれぽ.com (2013年10月4日). 2016年9月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k バスジャパン ニューハンドブックシリーズ 28 横浜市交通局』BJエディターズ/星雲社、1999年8月1日。ISBN 4-7952-7781-8 
  3. ^ 内藤春雄「埋め立てて創られた山下公園、その理由とは?はまれぽ.com、株式会社アイ・ティ・エー、2011年4月18日。
  4. ^ a b “横浜最古の観光バス終了へ「横濱ベイサイドライン」”. 神奈川新聞カナロコ. (2016年9月6日). http://www.kanaloco.jp/article/197325/ 2016年9月16日閲覧。 
  5. ^ 定期観光バス「横濱ベイサイドライン」さよならキャンペーン』(プレスリリース)横浜市交通局、2016年7月11日http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/newstopics/2016/news/20160707151528.html2016年9月16日閲覧 
  6. ^ 横浜市営バス90周年 路線の歴史”. 横浜市交通局. 2020年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月2日閲覧。
  7. ^ 横浜市営交通の歴史 (PDF)”. 横浜市. 横浜市交通局 (2022年1月31日). 2022年3月19日閲覧。
  8. ^ a b 横浜の個性的なラッピングバスを追跡!”. はまれぽ.com (2016年2月23日). 2021年2月13日閲覧。
  9. ^ a b c “横浜のベテラン二階建てバス、引退へ 長寿の理由はその「生まれ」”. 乗りものニュース. (2015年3月22日). http://trafficnews.jp/post/38954/ 2016年9月16日閲覧。 
  10. ^ a b 貸切バス”. 横浜市交通局. 2016年9月16日閲覧。
  11. ^ a b “横浜市内定期観光バス「横濱ベイサイドライン」がリニューアル”. ヨコハマ経済新聞. (2008年11月17日). http://www.hamakei.com/headline/3613/ 2016年9月16日閲覧。 
  12. ^ 「開国博Y150」記念!「横濱ベイサイドライン」特別コースの運行決定!!』(プレスリリース)横浜市交通局、2009年4月24日http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/newstopics/2009/n20090424.html2018年11月12日閲覧 
  13. ^ “横浜巡り効率アップ 市、10月に観光バス再編強化”. 神奈川新聞カナロコ. (2016年2月25日). http://www.kanaloco.jp/article/154911 2016年9月16日閲覧。 
  14. ^ この秋、横浜観光の楽しみ方が変わります! ~ひと目でわかるラッピングバスも登場~』(プレスリリース)横浜市交通局、2016年8月17日http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/newstopics/2016/news/n20160817-8711-01.html2016年9月16日閲覧 
  15. ^ 2016年10月に「あかいくつ」が2倍に値上げ! その理由は?”. はまれぽ (2016年4月3日). 2016年11月21日閲覧。
  16. ^ 特別企画! あの「横濱ベイサイドライン」はまりんフェスタで“復活運行”!!』(プレスリリース)横浜市交通局http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/event/hamarin2016/20160926134315.html2016年11月21日閲覧 
  17. ^ 【午前コース】まるごと早まわり”. 2016年9月14日閲覧。
  18. ^ 【午後コース】開港ものがたり”. 2016年9月14日閲覧。
  19. ^ 【夜景コース(土曜日限定)】横濱夜景”. 2016年9月14日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


横濱ベイサイドライン

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「横濱ベイサイドライン」の記事における「横濱ベイサイドライン」の解説

1996年5月1日愛称を「横濱ベイサイドライン」(濱は旧字体表記)に変更それまで路線バスから、乗降地とコース決められ定期観光バスとしてリニューアル運行開始午前コース午後コース・夜コースの3コースがあり、「バスコンパニオン」と呼ばれたバスガイド添乗していた。 専用車両は「ブルーライン」で使用されていた2階バスのヨンケーレ・モナコ3台を転用担当滝頭営業所から保土ケ谷営業所移管され、専用車両も同時に転属した。書類上の系統番号151系統であった。 しかし、2005年運行開始した周遊バスあかいくつ」に押され利用者低迷した2008年12月には、新車として日野・セレガ座席数49補助席11、PKG-RU1ESAA、スーパーハイデッカー車椅子リフト装備車)を導入し車体塗装赤色変更同時にコースリニューアル1日コース横濱ストーリー」、午前コースノスタルジック横濱」、平日午後コース横濱シーサイド・アフタヌーン」、土休日午後コース横濱アフタヌーン・クルーズ」の4種類とした。 2009年の「開国博Y150会期中は、桜木町駅発の短時間コース横濱クイック・ビューイング」や博覧会組み合わせた特別コース設定された。 2013年度には上向き転じ土休日限定1日コースとことん横濱」を新設午前・午後コースそれぞれまるごと早まわり」「開港ものがたり」にリニューアルした。しかし2014年度年間利用者は約1万3千人で、10年前比べ3割ほど減少し乗客ゼロの日もあった。 2015年3月をもって予備車として1台残っていたヨンケーレ・モナコが除籍となり、これを記念して同年3月末にバスツアー開催された。 2016年9月30日をもって横濱ベイサイドラインの運行終了。これに代えてあかいくつ」の増便と「ぶらり野毛山動物園BUS」(既存89系統毎日運行)、「ぶらり三溪園BUS」「ぶらり赤レンガBUS」(土休日運行)を開設した。横濱ベイサイドライン用の車両は、今後貸切バスとして使用される同年10月29日には、横浜市交通局イベントで横濱ベイサイドラインが復活運行された。

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