概歴・沿革とは? わかりやすく解説

概歴・沿革

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/03 01:56 UTC 版)

松竹動画研究所」の記事における「概歴・沿革」の解説

松竹アニメーション事業への参入古く1933年に『力と女の世の中』を松竹蒲田撮影所製作する経済的事情により、わずか3作で終わる(いずれも現存せず)。 その後当時漫画映画ブーム着目した松竹大谷常務提案で、1941年昭和16年5月に「松竹漫画映画部」を東京本社設置した。この時に政岡憲三制作責任者選ばれ就任する。しかし、松竹漫画映画部の設立7ヶ月後に太平洋戦争勃発松竹日本海軍省より国策アニメ映画製作の命を受ける。 松竹は「松竹漫画映画部」を「松竹動画研究所」に改称して『フクちゃん奇襲』(原作横山隆一)を1942年昭和17年3月公開それ以降戦時下にも拘わらず6作のアニメ映画作品を製作・発表している。第二次世界大戦迎えそれまで個人工房により乏し予算小規模に行なわれて来た日本のアニメーション制作に対して軍部より予算投下されており、この時期軍部提供した潤沢な予算アニメーション技術の向上に繋がったとの評価がある。 日本最初のフルセルアニメーション『くもとちゅうりっぷ』(1943年)は、ミュージカル仕立て作品となっており、その叙情性あふれる豊かな内容から政岡憲三代表作1つであるのみならず日本のアニメーション史に名を残す傑作みなされている。制作され当時戦争真っ只中であり、完成され作品大阪映画館1館のみで上映された。戦時中多く作られ明らかなプロパガンダ目的国策映画ではなく童話のような教訓ミュージカル仕立て描いている点で特異な作品とされている。 戦時色の強い戦意高揚目的とする内容ながら、『桃太郎 海の神兵』1945年)といった破格作品制作された。この作品日本初長編アニメーション位置付けられており、当時日本アニメとしては74分という史上最長大作となっている。この作品は、作画撮影録音など技術の粋を集め応召徴用スタッフ次々と欠けていく状況の中ようやく完成こぎつけている。この作品松竹動画研究所最後作品となった。 この時期戦況悪化一途をたどり、若いスタッフ次々と徴兵徴用されて減っていった。その上スタジオで空襲警報が鳴る度に機材動画などを持って地下避難し警報解除後にまた作業再開するなど非常に困難な状況連続であり、また物資不足も深刻で、製作に必要な資材調達がままならなくなり質の悪いザラ紙動画用紙利用が終わると消して新たな動画描きセル絵具洗い落として再使用するなどの大変劣悪な制作環境のもと『桃太郎 海の神兵』製作されている。 手塚治虫は、『桃太郎 海の神兵』封切り初日大阪松竹座でこの作品を観ている。封切当時、彼は大阪帝国大学附属医学専門部学生で、この日は勤労動員休日だった。手塚当時海軍意図した戦意高揚演出中に隠され希望や平和へ願い解し感涙感激しアニメーション製作の決意抱いたと後に述べている。実に終戦の4ヶ月前のことであった『桃太郎 海の神兵』公開後政岡憲三瀬尾光世などのスタッフは、残され乏し機材で『僕等海軍志願兵』に着手するが、未完のまま終戦迎え松竹動画研究所松竹株式会社統合される形で廃止閉鎖され松竹アニメ事業事実上終焉迎えたその後独立した政岡憲三設立した日動映画東映吸収合併する形で東映動画(現:東映アニメーション)が発足している。一方松竹アニメ事業分野本格的に再度参入したのは、つい近年のことである。

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