東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響
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「常磐自動車道」の記事における「東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響」の解説
東日本大震災、とりわけ福島第一原発事故の影響により工事区間への立ち入りが厳しく制限された関係で、2011年度(平成23年度)中に開通を予定していた常磐富岡IC - 南相馬IC間(延長32.7 km)、及び2012年度(平成24年度)の開設を予定していた、ならはPAは、施工スケジュールの見直しを余儀なくされ、供用開始は2014年度(平成26年度)までずれこんだ。 同原発から半径20 kmの警戒区域外については震災から約3か月後の2011年5月に建設が再開されたものの、同原発から半径20 kmの警戒区域内においては、浪江IC - 南相馬IC間(延長18.4 km)が1年後、常磐富岡IC - 浪江IC間(延長14.3 km)については2年後の工事再開となった。震災前に工事中だった箇所の盛土や構造物は、地震の揺れによる損傷に加えて長期間放置された事によって雨水による斜面の浸食や鉄筋の錆などの被害が拡大し、急ピッチで復旧作業が進められた。しかし、この頃には常磐道以外でも被災地の復旧工事が本格化した事で慢性的に作業員が不足し、放射能の影響で作業時間の制限や作業員の離脱も相次いで継続的な作業に支障をきたした。また生コンクリートなど建設資材も不足し、同じく放射能の懸念から資材搬入が拒否される事もあったという。工事再開が最も遅れた羽黒川橋では、打設予定日の悪天候に備えてエアドームや単管パイプでの架設屋根を設置するなどして乗り切った。道路舗装用の砕石は遠く静岡県や三重県から調達し、受け入れ港である相馬港では周辺住民協力のもと稼働時間を延長するなどして対処した。 除染作業は環境省直轄のもと、2012年3月から7月まで先行事業として「常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業」が、同年12月3日から2013年(平成25年)6月28日にかけて本格的に「常磐自動車道除染等工事」が実施され、その結果低減率19~55%が確認された。この結果について環境省は、2013年度内に開通を目指すとしていた広野IC - 常磐富岡IC間(延長16.4 km)については“概ね当初の方針どおり線量を低減”とし、その他の区間についても“一部で線量の高い区間があるものの一定程度低減”としている。 その後、除染の達成状況を確認するため、2014年(平成26年)10月に同省がモニタリングカーによる走行サーベイを実施したところ、浪江IC - 南相馬ICでは2014年(平成26年)10月21日測定時点で平均0.6~0.7µSv/h、広野IC - 常磐富岡ICでは2014年(平成26年)10月29日測定時点で平均1.3~1.5µSv/h、常磐富岡IC - 浪江ICでは2014年(平成26年)10月21日測定時点で平均0.5~2.4µSv/hと同省が常磐自動車道での除染方針の目標で挙げた3.8µSv/h以下(9.5µSv/h超の線量の場合は概ね9.5µSv/h以下)を下回ることが確認された。 2011年(平成23年)3月11日 : 東北地方太平洋沖地震の発生により全線通行止。この内、那珂IC - 水戸IC間の上り線の一部区間で本線が崩壊する被害があった。本震により本線部分まで被害が出たのは唯一である(他の地域でも路肩部分の崩壊や余震による崩壊はあった)。 3月16日 : 三郷IC/JCT - 水戸IC間復旧。 3月21日 : 水戸IC - いわき中央IC間復旧。 3月24日 : 山元IC - 亘理IC間復旧。 4月1日 : いわき中央IC - いわき四倉IC間復旧。 4月28日 : いわき四倉IC - 広野IC間復旧により同IC - 常磐富岡IC間を除く開通区間が応急復旧完了。 6月20日 : 東日本大震災の被災者支援、東電福島第一原発事故による避難者や復旧・復興支援を目的に一部車両を対象に通行料金を無料とする措置を水戸IC - 広野IC間及び山元IC - 亘理IC間で開始。 8月31日 : 復旧・復興支援を目的に中型車以上の車両を対象に通行料金を無料とする措置を打ち切り。 9月5日 : 広野IC - 常磐富岡IC間を除く開通区間が東日本大震災の本復旧工事を開始。 12月1日 : 東日本大震災の復興支援として全車種に無料措置を実施開始。 2012年(平成24年)3月31日 : 東日本大震災の復興支援として全車種に無料措置が終了。 4月1日 : 東電福島第一原発事故による警戒区域等から避難している人が乗車する車両(ETC車を除く)のみで無料措置を実施開始。 4月8日 : 南相馬IC - 相馬IC間が開通。同区間は全車無料措置のため2014年12月6日の相馬IC - 山元IC間開通まで無料通行となり、最高速度も60 km/hに規制されていた。 12月22日 : 広野IC - 常磐富岡IC間および南相馬IC - 相馬IC間を除く開通区間の本復旧工事が完了。 2014年(平成26年)2月22日 : 東日本大震災以来通行止めとなっていた広野IC - 常磐富岡IC間が3年ぶりに再開通(通行再開)。 12月6日 : 浪江IC - 南相馬IC間および相馬IC - 山元IC間が開通し、鳥の海PAが開設。これに伴い南相馬IC - 相馬IC間の全車無料措置が終了。 2015年(平成27年)2月21日 : 南相馬鹿島SA/スマートICが供用開始。 3月1日 : 常磐富岡IC - 浪江IC間開通に伴い常磐自動車道が全線開通し、同時にならはPAが供用開始。 6月12日 : 大熊IC及び双葉ICを、追加インターチェンジとして連結許可。大熊ICは2018年度、双葉ICは2019年度に、それぞれ供用開始予定となった。 2016年(平成28年)3月31日 : 東電福島第一原発事故による警戒区域等から避難している人が乗車する車両(ETC車を除く)のみでの無料措置が終了。 2019年(平成31年/令和元年)3月21日 : ならはスマートICが供用開始。 3月31日 : 大熊ICが供用開始。 2020年(令和2年)3月7日 : 常磐双葉ICが供用開始。
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