日本の漁獲および輸出入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 01:32 UTC 版)
2016年度の日本の漁獲量は約49万トンで、1位の中国(約50万トン)に次ぐ世界2位である。このうち半分の約25万トン(2018年度)を海外に輸出している。一方、日本への輸入は約7万トン(2018年度)であり、そのうちの9割がノルウェー産である。 県別にみると、2017年度の水揚量の一位は「茨城常磐のマサバ」で有名な茨城県で、125,522トン。福井県では1974年には12,697トンの水揚げがあったが、2017年には203トンになった。 ヨーロッパ諸国では資源管理が行われているため、小型のサバ(未成魚)は漁獲されず、漁獲されるのは大型のみとなるが、日本は資源管理が機能していないため、漁獲されるのは小型のサバがメインである。しかし2018年に漁業法が改正されたことを受けて状況は変わりつつある。 ヨーロッパ産は高価であるが、脂が乗っておいしいため、日本にはノルウェー産が輸入されており、日本のスーパーで販売されるサバのうち7割(2018年度)がノルウェー産である。一方、日本で主に漁獲される小型のサバは、主に缶詰(サバ缶)に加工される他、「生餌」としてブリやマグロなどの養殖魚のエサに使われる。小型のサバは脂が乗っていないので日本の消費者には好まれないが、安価であり、アフリカ諸国の人でも購入しやすいため、日本の漁獲量の半分が輸出に回され、そのうち6割(2018年度)がナイジェリアやエジプトを中心とするアフリカ諸国に輸出され、残りの4割はアジア諸国を中心に輸出されている。川商フーズが「GEISHA」ブランドの鯖缶を海外で販売しており、特にガーナやナイジェリアを中心とする西アフリカでは国民食とも言える人気となっている。 マサバ及びゴマサバは資源の減少のため、1997年より日本で漁獲可能量(TAC)が設定されているが、設定された漁獲可能量(2018年度は812,000トン)を実際の漁獲量(2018年度は約50万トン)が下回る状態が続いており、あまり資源が回復していない。また輸出されるサバのキロ単価でも、ノルウェー産が約195円なのに対して日本産は106円と、約半分となっており、漁獲者はあまり儲かっていない。その理由としては「未成魚の漁獲圧」、つまりノルウェーでは30cm以下のサバを食用で漁獲することができないのに、日本では「ローソク」と呼ばれる子供のサバが盛んに水揚げされていることなどが考えられている。 日本でサバの資源量が少なくて未成魚しか獲れず、しかも未成魚を漁獲しても安く買いたたかれるにもかかわらず、未成魚が乱獲されている理由としては、日本でサバの資源量が減少していて未成魚しか獲れず、しかも未成魚は安く買いたたかれるので、ますます未成魚のサバを大量に漁獲せざるを得ないという悪循環が考えられている。また、日本では「資源管理が機能していない」、つまり海外では漁獲を制限するために漁獲可能量の数字が設定されるため、漁獲量が漁獲可能量の数字に達した時点で漁獲をストップするが(そのため、毎年の漁獲量は漁獲可能量と同じ数字となる)、日本では漁獲可能量がとても大きく設定されており、どれだけ漁獲しても漁獲可能量に達することがなく、乱獲の歯止めとならないのも理由の一つと考えられている。 日本近海のサバの資源量(水産庁による推測)は、1990年代以降に10万トン台まで落ち込んだが、2000年代以降に回復基調にあり、特に2010年代以降に大きく回復し、2016年には約72万トンにまで回復したと評価されている。その背景として、漁獲抑制と、2011年の東日本大震災で漁港が壊滅して漁獲圧が減ったことが考えられている。そのため、サバの漁獲可能量も増やされているが、それでもまだ1980年代の水準(140万トン程度)には戻っておらず、漁獲可能量の見直しが再び乱獲を招くとの批判がある。 資源管理がなされたうえで漁獲されたサバは、乱獲ではないことを証明するために海洋管理協議会(MSC)の評価を受け、パッケージに「海のエコラベル」と呼ばれる「MSC認証シール」が貼ってある。「MSC認証」の存在も日本でノルウェー産サバのブランド価値を高めている要素の一つで、日本の小売り大手のイオンでは自社ブランドで「MSC認証さば」を販売しており、2017年に500万パックを販売したと言う。しかし2019年はノルウェーでもサバを獲りすぎ、MSC認証が停止された。
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