日本における浸透
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「むすんでひらいて」の記事における「日本における浸透」の解説
日本におけるメロディの初出は、1874年前後にバプテスト教会が発行した「聖書之抄書」に掲載された賛美歌「グリーンヴィル」としてであり、キミノミチビキという日本語の歌詞がつけられた。明治、大正と歌われつづけたが、1931年(昭和6年)以降は賛美歌集に掲載されていない。海老沢敏は著書「むすんでひらいて考」の中で、賛美歌として掲載しようにも唱歌や軍歌として知られすぎてしまったのが要因ではないかと述べている。日本国外では現在も「現役の」賛美歌として歌われている。 賛美歌として紹介された7年後の1881年に、同じメロディーが「見渡せば」という新しい題名と歌詞で、文部省音楽取調掛(後の東京音楽学校、現東京藝術大学)が発行した「小学唱歌集」初編に掲載された。著書「むすんでひらいて考」によれば、「見渡せば」の解説者の原稿にルソーが作曲者である旨が記されている。この歌の歌詞は、国文学者であり音楽取調掛に勤務していた柴田清照と稲垣千頴が、平安時代の古今和歌集にある素性法師の和歌 「みわたせば柳桜をこきまぜて宮こぞ春の錦なりける」を基本にしている。しかし『見渡せば』も賛美歌同様、広まる前に消えてしまった。これは優雅な歌詞が小学生には格調高すぎたことと、日本の軍国色が濃くなり、風流を詠った「見渡せば」よりも軍歌調の「戦闘歌」が持てはやされる時勢になったためである。 「戦闘歌」は東京音楽学校(現東京藝術大学)教授である鳥居忱が作詞し、1895年に軍歌集「大東軍歌」に掲載される。冒頭の「見渡せば」は同じだが、その後はまったく異なる歌詞となっている。この戦闘歌は歌うだけでなく、歌詞に合わせたふりつけがあり、小学校において遊戯曲として用いられていた記録が残っている。この時期吉本光蔵が戦闘歌を編曲した軍隊行進曲、「進撃追撃行進曲」を作っている。また同じメロディーで韓国では唱歌「植松」、中国では軍歌「尚武之精神」が作られており、前者は「見渡せば」後者は「戦闘歌」の影響を受けたものと思われる。 第二次世界大戦の終戦から2年経った1947年、小学一年向けに刊行された最初の音楽の教科書「一ねんせいのおんがく」に、新しい歌詞で登場したのが「むすんでひらいて」であった。 以来今日まで「むすんでひらいて」は歌い続けられ、童謡、唱歌として完全に定着している。近年は小学校よりも保育園や幼稚園の手遊び歌(お遊戯)として歌われている。「その手を上に(下に、前に、横に)」という挿入部分があるバリエーションが存在する(歌詞を参照のこと)。また、保育園や幼稚園、小学校等をイメージさせる曲として、テレビ番組などでBGMとして使われることがある[要出典]。2007年には「日本の歌百選」に選ばれた。 「RAMU」による新たな挿入部分をつけた「むすんでひらいて〜サバンナ編〜」が制作され、2013年6月20日にキングレコードに製造を委託しひかりのくにから発売されたCD「コミュニキッズ☆ 8月号」にて音源化された。その後は2015年6月10日にキングレコードから発売されたCD「2さいあそび〜体をいっぱいうごかそう〜」にも収録されている。 フジテレビの子供向け番組「じゃじゃじゃじゃ〜ン!」で、町あかりが「歌のお姉さん」として替え歌「おちゃらかしちゃう?! むすんでひらいて」を歌い、2019年発売のアルバム「あかりおねえさんのニコニコへんなうた」に収録された。 また松田聖子の歌曲「Rock'n'roll Good-bye」」の間奏部分において、当曲のメロディーがアレンジされたものが使用されている。
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