日本における浮体式洋上風力発電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 14:09 UTC 版)
「浮体式洋上風力発電」の記事における「日本における浮体式洋上風力発電」の解説
日本の排他的経済水域は世界6位という広大な面積となり、洋上風力発電のポテンシャルは非常に大きい。また。日本は欧州などと異なり遠浅の海岸が少ないため、浮体式の実用化が洋上風力発電普及の鍵になると見られている。潜在的に最も主要なマーケットは日本であると、Hywindを供用したエクイノール社は主張している 日本では、2011年に初の実証試験が長崎県五島市の椛島沖で実施された。 2012年には、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故が発生した福島県の復興支援のため、産学官連携で日本初の浮体式洋上風力発電所をつくる福島洋上風力コンソーシアムが立ち上がった。13年には2MW風車が福島県楢葉町沖20kmに設置された。15年12月には7MW風車、17年2月には5MW風車を増設し、浮体式ウィンドファームの実証を行った。2017年7月~18年6月までの結果として、2MW風車では稼働率が94.1%、設備利用率が32.9%で、商用水準に達していると認められた。5MW風車の稼働率は61.3%、設備利用率は18.5%。初期の不具合により稼働率が一時低迷した期間もあったが、運転時間の経過とともに改善しており、今後信頼性が高くなると見込まれ、引き続きデータを取得し、安全性・信頼性の実証を行っていくことが必要と判断された。一方、7MW風車は、稼働率16.4%、設備利用率3.7%と、油圧システムの初期の不具合などで稼働率は低い水準に留まったため、撤去の準備を進めるべきと判断された。 実証実験であったが、不採算を理由に2021年以降の継続が困難になり、引き継ぎを希望する企業連合もあったが、国が設けた長期事業性などの条件を満たさず終了・撤去することが決まった。9年間で計621億円の国費を投じた巨大プロジェクトは批判も大きかったが、担当した資源エネルギー庁は「得られたデータは価値がある」と実証研究の成果を強調した。 2019年5月、バージ型浮体と呼ばれる小型の浮体に風車を搭載したタイプの“次世代浮体式洋上風力発電システム実証機”を設置し、運用を開始している。なおこの実証運転は、2021年度まで行われる予定。 2020年、政府は洋上風力で2030年に1000万kWを目標に掲げた。2021年、NEDOによる技術開発ロードマップでは、風車・浮体・ケーブル等の一体設計を行った実海域での実証を2025年前後に行うことにより、 商用化に繋げるとしている。
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