新館の建設とコレクション形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:45 UTC 版)
「東京都美術館」の記事における「新館の建設とコレクション形成」の解説
開設当時の建物が老朽化した上、来館者や使用団体の増加に対応できなくなったので、1968年(昭和43年)に今後のあり方を検討すべく、東京都は1968年(昭和43年)に新館建設の準備委員会を設け、次の3つの機能を掲げた。 美術館が主体性をもって企画展を進め、現代美術の秀作を収集し、常設展示を充実させる「常設・企画機能」 公募団体の要請に応えられる規模と設備を整え、作家の技量を発揮できる場とする「新作発表機能」 都民の文化活動を促進するために、美術研究、創作活動、美術普及の場を提供する「文化活動機能」 これ以降、独自の現代美術コレクションを構築・展示し、都民への教育活動もあわせて行う機能をもつ美術館をめざすことになり、専門職として学芸員が配置されることとなった。 1971年(昭和46年)、美術館に隣接する野球場に新館を建設することが決定した。そして1975年(昭和50年)に前川國男設計・大林組建設により総工費50億円の新館が完成した。これ以降、新聞社等とともに行う特別展とともに、学芸員が立案する自主企画展として国内外の近現代美術を紹介する企画展を開催。作品収集にもより力を注ぎ、収蔵作品展を精力的に開催した。また、美術文化事業として造形講座や公開制作を行い、展示・収集事業と有機的に関連をもたせた。この取組は現在の美術館ワークショップの源流とされる。1976年(昭和51年)には日本初の公開制の美術図書室が館内にオープンし、専門の司書も配された。そして日本で初めての美術図書室の運営などを行うようになった。なお、開設当時からあった旧館の建物は取り壊しとなり、1977年(昭和52年)に解体が完了、上野恩賜公園の敷地となった。 1995年(平成7年)に東京都現代美術館 (江東区三好)が開館すると、現代美術コレクションの収蔵品や常設展示や関連図書はそちらに移管され、再び公募展への貸し館とマスコミとの共催による企画展を中心に行うようになった。1996年(平成8年)から東京都教育文化財団が運営を行い、1999年(平成11年)からは同財団が組織変更した東京都生涯学習文化財団が運営を行った。 2002年(平成14年)以降は東京都歴史文化財団が運営を行っている。なお、東京都美術館はまたもや公募展数の増加や作品数の増加などで、展覧会を十分に捌く物理的能力に限界をきたしたことから、公募展側の要望もあって、国が巨費を投じて六本木に新しい貸し会場となる国立新美術館を設置・運営することが決まり(ナショナル・ギャラリー構想)、国立新美術館は2007年に開館した。
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