新函館北斗 - 札幌間(2030年度末開業予定)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 19:31 UTC 版)
「北海道新幹線」の記事における「新函館北斗 - 札幌間(2030年度末開業予定)」の解説
函館本線の函館駅 - 小樽駅間(藤城線含む)並びに大沼駅 - 渡島砂原駅 - 森駅間は、北海道新幹線新函館北斗駅 - 札幌駅間の開業時に経営分離される予定である。 新函館北斗駅以北については、フル規格による着工が本格的な議論にまで至らなかったこともあり、この区間の並行在来線問題についてはほとんど議論されなかったが、1990年代には「北海道新幹線の並行在来線は函館本線、室蘭本線、千歳線であり、このうち小樽駅 - 札幌駅 - 室蘭駅間を除く部分が経営分離される可能性がある」ことについて報じるメディアもあった。 2010年(平成22年)5月12日、JR北海道は函館駅 - 小樽駅間の経営分離を公式に表明した。これに対し、函館市議会は、函館駅 - 新函館駅(仮称)間についてJR北海道に引き続き運行を求める決議を全会一致で採択し、以後当該区間のあり方については協議がなされた。その他、後志管内の自治体の住民を中心に「JR函館本線の存続を求める住民の会」が設立され、新幹線札幌延伸後も函館駅 - 小樽駅間を引き続きJR北海道が経営継続するよう求める動きがあった。 函館商工会議所は、函館駅 - 新函館駅(仮称)間は地図上で新幹線と並行しているとは言い難く、特急列車の旅客が普通列車に移り、収益性が維持されるため、並行在来線の定義にはあてはまらないと主張した。しかし、北海道新幹線の新函館駅(仮称)- 札幌駅間の着工にはJR北海道が分離方針を示している函館駅 - 小樽駅間の全15自治体の同意が必要であり、2011年(平成23年)11月時点では函館市以外の14自治体は既に同意していたものの、函館市のみ回答を保留していたため、新函館北斗以北の北海道新幹線の認可・着工が滞っていた。2011年12月22日、工藤壽樹函館市長(当時)は函館駅 - 新函館駅(仮称)間の経営分離に同意し、2012年(平成24年)に未着工区間の認可・着工がなされた。 一方、小樽駅 - 札幌駅間は札幌都市圏輸送の使命を担っているため普通列車(快速含む)の本数・利用客共に多く、また、岩見沢方面や新千歳空港、さらには室蘭本線に乗り入れて苫小牧方面と一体的な運用を行っているなどの理由から、経営分離せずJR北海道が運営を継続する予定である。なお、新函館北斗 - 札幌間の着工に向けた試算では、函館 - 小樽間で在来線優等列車を運転せず、特急「北斗」は長万部 - 札幌間に運行区間が短縮されると想定している。 2022年2月3日、並行在来線となる函館駅 - 小樽駅間のうち、長万部駅 - 余市駅間については、鉄道を維持した場合に多額の維持費用により赤字が生じることから、沿線自治体の協議において鉄道存続を断念、北海道新幹線開業とともに在来線同区間を廃止し、バスに転換することで合意した。新幹線開業に伴う並行在来線の廃線は、第三セクター鉄道への転換を除けば1997年10月1日の長野新幹線(北陸新幹線)高崎駅 - 長野駅間先行開業に伴い廃止された旧信越本線の横川駅 - 軽井沢駅間以来、2例目となる。 一方、余市駅 - 小樽駅間については、小樽市への通勤、通学が多い余市町が第三セクター鉄道での存続を主張していることから、バス転換も視野に入れる小樽市との協議がまとまらず、小樽市側は住民説明会後に改めて態度を表明することになり、結論が先送りされたが、2022年3月26日に北海道と小樽市、余市町がバス転換で合意し、同年3月27日の沿線9自治体と北海道との協議で長万部駅 - 小樽駅間の廃止・バス転換が決定した。 函館駅 - 長万部駅間において、貨物列車を運行している日本貨物鉄道(JR貨物)北海道支社長の小暮一寿は2022年5月に同区間の存廃について、本州を結ぶ鉄道物流の大動脈となっていることから「第三セクターなどによる鉄道維持が望ましい」とし、「自社のみでの貨物路線の保有は困難」との見解を出している。 一方、七飯町や長万部町は需要がかなり少なく、バスの方が利便性に適っているため、並行在来線の旅客廃止を検討している。
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