新使節李鴻章と彼を取りまく状況とは? わかりやすく解説

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新使節李鴻章と彼を取りまく状況

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 04:55 UTC 版)

下関条約」の記事における「新使節李鴻章と彼を取りまく状況」の解説

北洋艦隊壊滅後まもなく、清国朝廷李鴻章全権大臣として日本派遣することを決定した李鴻章内閣大学士首揆、すなわち他国にあっては首相に相当する政界の重鎮であった。しかし、旅順陥落以降李鴻章直隷総督および北洋大臣権限解かれており、軍事指揮権失っていた。ところがここに至って旅順につづき威海衛でも敗れ北洋艦隊失い、さらに、広島での交渉不首尾ということになると、皇帝主戦派も打つ手なくなってしまった。2月10日軍機大臣呼び寄せて敗戦への落胆を口にした光緒帝は、善後策を諸大臣諮問したところ、それまで激しく主戦論唱えてきた翁同龢なすすべがなく、大臣たちの一致した見解では李鴻章日本派遣して交渉の任にあたらせるほかの方途なしという結論至った。 これを受けた清廷は、2月22日李鴻章天津より北京呼び寄せて御前会議開き和戦についての協議開始した1月日本における御前会議のようすなどがおぼろげながら清国伝わってくると、清の識者の間では領土割譲なくして講和不可能であるとの判断がしだいに広がっていった。しかし李鴻章は、領土割譲の件については、国内的な規定整っておらず、処理も難しいとして敢えて承知しないという見解表明し翁同龢もこれには賛成した軍機大臣徐用儀と孫毓文(中国語版)は割地応じなければ日本との和平交渉まとまらない述べたが、李鴻章交渉がまとまらなければ帰国するだけであるとの決意示したそのうえで主戦論者の翁同龢対し対日講和交渉への同行求めた。翁は、洋務派でもない自分外交にも通じていないとして使節同行辞退した李鴻章は、同行辞退理由をもって政敵であった翁同龢外交に関する発言封じようとした。 李鴻章はさらに、イギリスロシア援助求めるべきであると提案し英・仏・独・露の公使館を赴き、連絡取ろうしたがいずれも要領を得なかった。列国公使たちも領土割譲不可避であるとの認識立っており、ドイツ公使シュベンツベルグなどは、割譲拒むならば北京放棄して内陸部遷都し、徹底抗戦するかないと具申している。徹底抗戦は、少数民族である満洲族政権からすれば大いに危険がともない太平天国の乱のような内乱引き起こす怖れさえあった。清国上層部主戦論唱えていた人々も、前線出陣し勝て見込みはないことが明白であり、その多く沈黙した。ただし、ナポレオン戦争のときのロシアならって都城を空にする」策を「良法」とし、それを上奏する者もあった。とはいえ遷都に対して反対意見大勢占めたであった割地に応じて講和実現するか、それを拒否して遷都してでも戦争継続するかで議論延々とつづいた李鴻章はこの時期あえて主戦論唱え、「領土譲与やむなし」の世論浸透するのを待ちそのうえで3月2日領土一部割譲不可避であること、戦況緊迫しており、ぜひとも講和を結ばなければならないことを上奏した。その際は、安史の乱以後河西回廊吐蕃奪われたのちも唐朝はなお「中興」と呼ばれる時代つくったことや、燕雲十六州を遼に割譲してもなお全盛時代築いた宋(北宋)朝の例、さらには普仏戦争事例をも引いて、「奪われ土地奪い返すことができる」と説いた。 翌3月3日北京紫禁城内で、西太后臨席のもと軍機大臣参集し会議開かれそのなかで李鴻章割地交渉許可与えることを認めた。そのなかには李鴻藻翁同龢といった彼の政敵のすがたもあった。これにより、李鴻章日本対し交渉の場で領土割譲について認めたとしても「国賊のそしり免れることができたのである3月4日西太后光緒帝正式に訓令を受け、領土割譲賠償金支払い朝鮮独立承認3条件で講和交渉に臨むこととなった

※この「新使節李鴻章と彼を取りまく状況」の解説は、「下関条約」の解説の一部です。
「新使節李鴻章と彼を取りまく状況」を含む「下関条約」の記事については、「下関条約」の概要を参照ください。

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