料理と民族性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 06:52 UTC 版)
ダイナーでは、ハンバーガー、フライドポテト、アメリカンクラブハウスサンド、グリルドチーズサンドイッチ等、いわゆる一般的なアメリカ料理をメニューとして提供する。初期のダイナーがグリルで提供できる料理を主としたことから、多くの料理は焼きものである。オムレツを含む卵料理、ワッフル、パンケーキ、およびフレンチトースト等の朝食の料理を売り物としていることが多々あり、これらの「朝食料理」を1日中提供するダイナーもある。多くのダイナーには、カウンターの後ろにデザートのショーケースがある。新しいダイナーでは、回転するケースでデザートを陳列するのが一般的である。 イギリスの労働者階級向け安レストランのように、典型的なアメリカのダイナーは多くの揚げ物やグリル料理を供する。例えば目玉焼き、ベーコン、ハンバーガー、ホットドッグ、ハッシュドポテト、ワッフル、パンケーキ、オムレツ、フライドチキン、ソーセージなどである。これに副菜として、しばしばベイクドビーンズ、フライドポテト、コールスロー、トーストが添えられる。 ダイナーでは、その地域独特の料理を提供することがある。ギリシャ、マケドニアおよびアルバニア系移民によって起業されたミシガン州とオハイオ川流域のコニー・アイランド式レストランでは、コニードッグ(チリドッグ。牛肉のソーセージに肉だけのチリコンカーン、刻みタマネギとマスタードをかけたホットドッグ)や、ギロピタ、シシカバブ、スブラキ、サガナキ、グリークサラダなど数種のギリシア料理を供する。インディアナ州では、豚ヒレ肉のフライのサンドイッチがメニューにあることが多い。北東部では魚介類に重点が置かれ、メイン州では貝の剥き身と小エビのフライが一般的である。ペンシルベニア州では、チーズステーキ・サンドイッチとスクラップルがほとんどのダイナーの定番である。南西部の州ではタマーリが定番である。米国南部の定番料理には、グリッツ、グレイビーがけビスケット、チキン・フライド・ステーキがある。ニュージャージー州では、ポークロール、卵とチーズのサンドイッチが定番である。 コーヒーは高品質とはいえなくとも常に販売されている。アルコール飲料は通常販売しないが、ビールと安価なワインを提供するダイナーもある。 アメリカのダイナーで一般的なデザートはパイで、特にアップルパイおよびチェリーパイであり、ショーケースに陳列され、注文に応じてカットされる。 料理は通常かなり安価であり、最低賃金でも1時間から1時間半ぶんの給料でサンドイッチ、副菜、飲み物から成るちゃんとした食事が取れる。 ダイナー業界は幾つかの民族から強い影響を受けている。大多数のダイナーがギリシャ系アメリカ人によって経営または営業されており、特にニュージャージー州、ニューヨーク、ペンシルベニア州、コネチカット州で顕著である。ポーランド人、ウクライナ人、および東欧ユダヤ人に代表される、東欧系の経営者によるダイナーも多い。イタリア系アメリカ人も重要な存在である。これらの影響は、ギリシャ料理からムサカ、スラヴ料理からブリンツ、ユダヤ料理からマッツァーボールのスープ(アシュケナジム風クネーデルのスープ)等といった民族料理がダイナーの定番メニューへ加わったことに見てとれる。
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