料理としての黒豆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:46 UTC 版)
黒豆の煮豆は江戸時代の江戸の高級料亭だった八百善が正月向けに考案したとされており、正月料理(おせち料理)には欠かせないものとされる。労苦をいとわず物事にはげむこと、また、そのさまや、からだのじょうぶなことを「まめ」と呼ぶことから、これからの一年をそのように過ごせるようにという験担ぎである。 黒豆(黒大豆)の煮豆には、軟らかめに煮るものと硬めに煮るものがあり、軟らかめに煮るものには、含め煮(軟らかく煮た茹で豆をさらに砂糖蜜で煮含めたもの)と一般的に普及している軟らか煮(予め調味液に浸漬したものを弱火で長時間かけ煮たもの)の二種類がある。一方、歯ごたえがなく物足りないとして、硬めに煮るかた煮(豆の表面にシワができるのでしわ煮ともいう)を好む人もいる。 黒豆の調理法には様々な方法があるが、調味液(塩、砂糖、醤油、重曹)に8 - 10時間浸漬しておき、その漬け汁ごと鍋で5 - 6時間弱火で煮含める。調理には鉄鍋を使ったり錆びた古釘を用いることがあるが、表皮のアントシアン系色素のクリサンテミンと結合してつくりだす錯塩により黒色の発色を良くするためである。 煮豆に味を含まる方法は難しく、板前は少し煮詰めては火を止めることを何度も繰り返す手法をとっていたが、この方法は一般家庭には不向きであった。そこで料理研究家の土井勝は家庭でもできる新しい方法を考案し1978年12月27日付朝日新聞東京本社版(大阪本社版では同年12月29日付)の「黒豆の煮方 調味料は量って先に」の記事で紹介した。土井式は、なべに分量の熱湯と調味料、重曹を合わせたところに洗った黒豆と錆びた鉄釘を入れて数時間放置し、そのあと一旦煮立て、煮立ったらあくを丁寧に取って弱火でことこと煮詰め、煮あがったらなべのままおいてゆっくり味を含ませる。黒豆の表皮に皴が生じないように、調味料の分量をきちんと量って最初に全て入れておき、冷たい空気に触れないよう豆が煮汁に浸った状態を保つ。このような家庭での調理法の普及もあり、1980年代には丹波産黒大豆の販売先が関西地方だけでなく関東地方にも広がり、さらに1990年代には日本全国の主要都市にも広がっていった。 なお、煮豆のほか、普通の枝豆同様塩茹でした黒豆は手軽に大変に美味しく黒豆独特の味を堪能することができる。
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