批判と問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/12 21:53 UTC 版)
「マイクロファイナンス」の記事における「批判と問題点」の解説
このように、貧困解決を目的として華々しく登場したマイクロファイナンスであるが、新規参入者が大幅に増加した2007年ごろから方向性が大きく変わりつつあり、様々な問題点が浮き彫りとなってきた。 弱者の味方であったマイクロファイナンスは膨大な利益を上げる事業に変貌し、急成長をとげはじめた。 2007年にメキシコのマイクロファイナンス業者・コンパルタモスバンコ(Compartamos Banco)が4億6700万ドル規模のIPOを行った際、慈善事業としてのマイクロファイナンスを支持する人々から非難を受けた。 主な批判者には、マイクロファイナンスの創設者の一人であるムハマド・ユヌスも含まれる。批判者の中には「コンパルタモスバンコが貧困者に年率100%以上という高利貸しと何ら変わらない金利を課している」と非難している。コンパルタモスバンコを支援している慈善団体は、IPOによる事業拡大はマイクロファイナンスに資金を集めるためには不可欠であり、集まった資金による事業拡大が結果的に金利を下げる方向に向かわせるとしている。 また、ユヌス自身が創業しマイクロファイナンスの中心的存在であるグラミン銀行自体も上述の通りバングラデシュにある他の高利貸し業者に比べて「金利が低い」のであって、先進国における金融取引にかかる金利と比較しても決して低いとはいえない。 ユヌスは、マイクロファイナンスで利潤を得ることは否定しないながらも慈善事業という本質から逸れて大もうけを狙う業者を厳しく非難している。 2010年8月にはインドのマイクロファインナンス最大手SKS(en)が163億ルピー規模のIPOを行っており、出資者の中には著名な投機家として名高いジョージ・ソロスのファンドも出資するなど、マイクロファイナンスは「旨味のある事業」として機関投資家・投機家から注目を集めている。 多くの業者がマイクロファイナンスに参入したものの、中には実態が旧来の高利貸しと何ら変わらない悪質な業者も存在する。 インドの貧困州の一つでマイクロファイナンス事業が活発なアーンドラ・プラデーシュ州では2010年3月1日から11月19日までにマイクロファイナンスによる借金などを苦に70人余りが自殺を図った。堪りかねた同州政府は10月15日、個別訪問による取り立ての禁止、貸出金利の上限設置、週1回の返済期日を月1回に制限、返済は政府指定場所のみで行う、など悪質な債権回収業者に対する規制に乗り出した。 こうした悪質な業者は、マイクロファイナンスの皮を被り、借り手の返済能力を調査することなく高金利で融資、返済が滞ると過酷な取り立てに走るなど高利貸しと何ら変わらないものが多い。立場の弱い債務者は返済のため次々に別の業者から借り、結果的に多重債務者となっている。 また、アーンドラ・プラデーシュ州政府による規制により、マイクロファイナンス業者は貸出金利を引き下げざるを得なくなり、同州のマイクロファイナンスによる融資総額約20億ドルの返済は実質的に停止した。これによりマイクロファイナンス関連業者の株価が軒並み下落した。 ただ、マイクロファイナンス事業に詳しく世界の貧困層に対する金融アクセス改善を目指すコンソーシアム、貧困層支援協議グループ(Consultative Group to Assist the Poor(CGAP))が2010年12月10日に発表した報告書によると、マイクロファイナンスが興隆をむかえる前よりアーンドラ・プラデーシュ州では悪質な高利貸し業者が多く存在し、もとより州内には多重債務者が多かったという事実もある。また、同報告書では同州におけるマイクロファイナンスに対する以下の課題点を指摘している。 金融機関に対し信用調査と顧客ケアを行わせるために、効果的なインセンティブの付与とスタッフ全員に対する訓練の必要性がある。情報の共有や信用審査の適切なコントロール、金利や融資条件の透明性増大、顧客に対し十分な情報を提供し、融資制度を理解してもらう必要性。また返済のための手段を明確化し、そのための適切な規制の必要性も出てくる。
※この「批判と問題点」の解説は、「マイクロファイナンス」の解説の一部です。
「批判と問題点」を含む「マイクロファイナンス」の記事については、「マイクロファイナンス」の概要を参照ください。
批判と問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 04:54 UTC 版)
人権委員会の構成国を巡っては、幾度にわたって批判がなされた。自国において深刻な人権侵害が存在すると疑われている国が人権委員会の構成国となる矛盾や議長国の適格性さえ問題視されることが度々あった。 人権問題を扱うNGOの多くは、ロシア、中華人民共和国、キューバ、ジンバブエ、サウジアラビア、パキスタンなどには人権委員会の構成国たり得る資格がそもそもないと批判していた。過去には、リビア、シリア、アルジェリア、ベトナムなどにも同様の批判が為された。これらの問題国家に対しては、国内における何らかの深刻な人権問題の存在が指摘されており、人権委員会の決議や報告をも歪める恐れがあると警戒されていた。
※この「批判と問題点」の解説は、「国際連合人権委員会」の解説の一部です。
「批判と問題点」を含む「国際連合人権委員会」の記事については、「国際連合人権委員会」の概要を参照ください。
- 批判と問題点のページへのリンク