批判と実験的検証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/23 14:42 UTC 版)
「エントロピック重力」の記事における「批判と実験的検証」の解説
ヴァーリンデにより提案されたエントロピック重力理論は、アインシュタイン方程式を再現し、ニュートン近似では重力の 1/r ポテンシャルも再現する。とはいえ現時点において、この理論はニュートン力学や一般相対論を超える新しい物理的な予測をするわけではないため、この理論を既存の実験的方法によって反証することはできない。 それでも現段階の形のエントロピック重力は、正式な根拠を強く批判されている。ニュージーランドのウェリントン大学の数学教授のマット・ヴィッサー(Matt Visser)は、「Conservative Entropic Forces」の中で、一般のニュートン力学の場合の保存力のモデル化する試みの中から(つまり、任意のポテンシャルと無制限の数の離散的な質量)、要求されているエントロピーが非物理的な要求であることを導き、異なる温度の熱浴の不自然な数値を意味することを導いた。ヴィッサーは次のように結論付けている。 エントロピック重力が物理的な現実であることについて合理的な疑いがあり、また、古典的(準古典的)一般相対論が熱力学に密接に関係しているということについて合理的な疑いがある [52–55]。ヤコブソン(Jacobson) [1-6] やタヌー・パドマナブハン(英語版)(Thanu Padmanabhan) [7– 12] や他の仕事に基づいても、完全な相対論のアインシュタイン方程式が導出可能であるとする熱力学的解釈も疑うにたる合理的な理由がある。ヴァーリンデの特別な提案 [26] はどこでも基本に近いということは理解できない --- ヴァーリンデの設定のような n-体のニュートン重力を正確に再現することを必要とする、むしろバロック的な構成は、暫く止めておく。 エントロピック重力の見方からアインシュタインの方程式を導出するため、タワー・ワン(Tower Wang)は、 で、エネルギーモーメント保存と宇宙の等質性と等方性の意味は、厳しくエントロピック重力のポテンシャル的な変形を制限するし、そのうちのいくつかはアインシュタイン方程式のエントロピックモデルの特異性を持つことを超えた一般化に既に使われていることを示した。ワンは、次のように主張している。 ここに示したように、(2)の形の変形されたエントロピック重力(理論)は、完全に殺さないまでも、非常に狭い部屋を、エネルギーモーメント保存を確認し、等質で等方的な宇宙へ適用しようとするものである。
※この「批判と実験的検証」の解説は、「エントロピック重力」の解説の一部です。
「批判と実験的検証」を含む「エントロピック重力」の記事については、「エントロピック重力」の概要を参照ください。
- 批判と実験的検証のページへのリンク