フッ化物の過量摂取による慢性中毒症としては、歯のフッ素症と骨フッ素症が疫学的に確認されています。
歯のフッ素症は、エナメル質の石灰化期間に過量のフッ化物を継続的に摂取した場合に生ずる特異的な歯の形成障害で、エナメル質の審美上の変化(不透明な縞模様、白斑、小陥凹など)を症状とします。その発症の程度および部位は、エナメル質の石灰化時期におけるフッ化物摂取量、フッ化物摂取の持続期間(回数)などに左右されます。したがって、エナメル質が完全に形成された後で過量のフッ化物を摂取しても歯のフッ素症は発生しません。石灰化時期にある出生~8歳までの小児に対して、「0.1mg/kg体重/日」のフッ化物を毎日摂取することがModerate型歯のフッ素症の最小影響レベル(LOAEL)とされています。
骨フッ素症は、インドなどの熱帯地方や中国の乾燥地帯でフッ化物濃度が高い飲料水を利用している地域での報告が多いです。病態は4段階に分けられ、症状が進行すると脊柱靱帯骨化などを原因とする四肢麻痺が進行し、運動障害性フッ素症という病態が報告されています。このような病態は、10~20ppmのフッ化物を含む飲料水を少なくとも10年以上毎日摂取している場合に生ずる、と推定されています。また、温暖な地域で飲料水中のフッ化物濃度が4~8 ppm の場合、骨フッ素症の徴候や症状はほとんど現れないことが確認されています。
まんせい‐ちゅうどく【慢性中毒】
慢性中毒
【英】:chronic poisoning
慢性中毒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/09 14:24 UTC 版)
「人体へのエタノールの作用」の記事における「慢性中毒」の解説
詳細は「アルコール依存症」を参照 慢性期の毒性は、おもに肝臓と神経系(特に脳)に対する障害である。アルコール性肝臓疾患(と酒しか口にしなくなることによる栄養失調)により、身体の栄養状態は極端に悪くなる。栄養失調もまた神経系に障害を与える。慢性アルコール中毒は精神的依存と身体的依存の双方を示すので身体だけでなく精神あるいは環境面でのケアも必要となる。 長期間にわたり一定以上のアルコールの摂取を続けると、アルコール性肝炎を併発することがある。また、糖質をもとにしたアルコールにも当然カロリーがあるので、酒の肴やつまみなどの食品を摂ることでカロリーの摂り過ぎとなり、脂肪肝を招くことがある。そして飲酒は急性膵炎の主原因の一つでもある。また精神疾患であるアルコール依存症(慢性アルコール中毒)になる危険性がある。アルコール依存症患者は偏食となることが多く、栄養失調による障害も併発することが多い。また栄養障害も長期間にわたるエタノールの直接作用によっても末梢神経は恒久的なダメージを受け、痺れなどの感覚異常を引き起こす。 ヒトの脳は、通常グルコースをエネルギー源として利用するが、大酒家の場合にはグルコースの代わりにエタノールから代謝される酢酸を主要なエネルギーとして利用する場合がある。アルコール依存症を治療するために厳格な断酒を実行した場合、主たるエネルギー源である酢酸を失い、アルツハイマー症を悪化させる可能性があり、別途の酢酸摂取の必要性の指摘がなされている。また、大酒家が好んで酢を摂取することも指摘されている。 (Jカーブ効果#飲酒量と死亡率も参照のこと。)
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