影響とリメイク
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「羅生門 (1950年の映画)」の記事における「影響とリメイク」の解説
本作における視点を変えて同じ出来事を繰り返して描くという物語手法は、海外で「ラショーモン・アプローチ」と呼ばれ、非線形アプローチや多視点のテクニックによる映画が作られるきっかけとなった。 アラン・レネ監督の『去年マリエンバートで』の複雑な話法は本作からヒントを得ている。ブライアン・シンガーは監督作『ユージュアル・サスペクツ』を「『深夜の告白』と『羅生門』が出会ったような作品」と語っている。この手法は他にも、スタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』、クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』、トム・ティクヴァ監督の『ラン・ローラ・ラン』などで用いられた。2021年の『最後の決闘裁判』では共同脚本・出演のマット・デイモンがリドリー・スコットに監督を引き受けてもらうために、複数視点から一つの事件を描く本作の特徴をしきりに話していた。 イングマール・ベルイマン監督の『処女の泉』も本作からヒントを得ている。ベルイマンは『処女の泉』に取りかかる前に「今度はクロサワで行こう」と述べ、この作品を「黒澤の観光気分のあさましい模倣」と述べている。 リメイク作品も幾つか作られた。アメリカの劇作家マイケル・ケニンとフェイ・ケニンは舞台用に脚色し、1959年にブロードウェイで舞台化された。配役は盗賊役にロッド・スタイガー、妻役にクレア・ブルーム、その他にオスカー・ホモルカやエイキム・タミロフなどだった。この戯曲は1960年にシドニー・ルメット演出でテレビドラマ化され、1964年にはマーティン・リット監督で『暴行』として映画化された。この作品では舞台をアメリカ西部に置き換え、盗賊役はポール・ニューマン、妻役は舞台と同じブルーム、下人役はエドワード・G・ロビンソンが演じた。タイでもククリット・プラーモートが舞台用に翻案した脚本を書き、2011年にそれを原作にした映画『ウモーン・パー・ムアン-羅生門(タイ語版)』が作られた。
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影響とリメイク
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1964年公開のセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタン『荒野の用心棒』は、本作を非公式にリメイクした作品である。1963年に本作を鑑賞したレオーネがこれを西部劇に作り変えようとして制作した。しかし、ストーリーが酷似していることから、東宝は黒澤や菊島とともに著作権侵害で告訴した。黒澤もレオーネに権利料の支払いを求める手紙を送ったが、レオーネは黒澤から手紙をもらったことに感激し、周りの人たちに見せびらかしていた。最終的にイタリア側が盗作を認めたため日本側が和解に応じ、交渉には川喜多長政がかかわった。1965年11月に著作権保有者の黒澤と菊島は、『荒野の用心棒』の日本・台湾・韓国の配給権と、世界配給収入の15%を受け取ることでイタリア側と合意した。これを受けて東宝は、黒澤と菊島が日本配給権を獲得した『荒野の用心棒』を傍系の東和を通じて配給し、同年11月25日に公開した。 1966年公開のセルジオ・コルブッチ監督のマカロニ・ウエスタン『続・荒野の用心棒』も本作を下敷きにしているが、レオーネに『荒野の用心棒』として翻案するアイデアを提案したのはコルブッチだった。また、1996年にはウォルター・ヒル監督の『ラストマン・スタンディング』でリメイクされた。この作品は1998年11月15日に『日曜洋画劇場』でテレビ放送され、黒澤と親交の深かった淀川長治の最後の解説作品となった。 リメイクではないが、1992年公開のケヴィン・コスナー主演作『ボディガード』で、主人公たちが映画館で見る作品として本作が登場し、1シーンがそのまま使われている。作品のタイトル自体が本作のアメリカ公開時の英題であり、他にも劇中で本作を含む黒澤作品へのオマージュが見られる。 三船は他監督の作品でも三十郎と同様の役柄を演じている。1970年公開の岡本喜八監督作『座頭市と用心棒』では、三船が同じような衣装で用心棒として登場するが、役名は佐々大作となっており、役作りも異なる。同年公開の稲垣浩監督作『待ち伏せ』では本名不明の用心棒を演じている。1971年公開のテレンス・ヤング監督作『レッド・サン』では日本使節団の一員の侍役を演じたが、随所に三十郎を彷彿とさせるシーンが見られる。
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