あさましい
「あさましい」とは、下劣・品性が卑しいことを意味する表現である。
「あさましい」とは・「あさましい」の意味
「あさましい」とは、「品性が卑しいこと」「下劣なこと」「見苦しく情けないこと」を意味する表現だ。同義語として「さもしい」という言葉もある。1942年に文芸雑誌の「文學会」に発表された中島敦の「山月記」という作品の中で、「あさましい」という言葉が使われている。そもそも「山月記」とは、詩人になる夢を叶えられずに虎になってしまった男が、自身の苦悩や後悔を唯一の友人に告白することで完全に虎になる前に人間としての尊厳を回復する物語だ。この物語の中で、「こんなあさましい身となり果てた今でも」(こんな見苦しく情けない身となってしまった今でも)というように用いられている。「あさましい」は「人間の根本的な性格の卑しさ」を表す言葉なので、ネガティブな意味で用いられることが多い。しかし、実は「あさましい」の本来の意味は、現在使われている意味とは全く異なっている。古文では、「あさましい」は「あきれ返る」「思いがけない」などの意味で用いられていた。現代語では悪いニュアンスが含まれる言葉だが、「あさましい」は本来、日常的な様子を表す言葉として使われていたのだ。
その他にも、「あさましい」と発音が似ている表現として「あずましい」という言葉がある。この「あずましい」は北海道の方言で、「余裕があって満足」「気持ちが良い」などの意味がある。「あずましい」は、「あさましい」と違って良い意味で使われるのが特徴だ。
「あさましい」の熟語・言い回し
浅ましい人間とは
「浅ましい人間」とは、態度や言動などに品性が全くない人を意味する表現である。例えば、食事をする際には平気で咀嚼音を立てたり、自分の非を認めずに平気で嘘をついたりする。周囲の人たちは不愉快な思いをしているのに、本人はみっともないとは全く思っていない。また、言葉遣いに関しても丁寧ではなく、目上の人と話す際にも敬語を使うことはない。さらに、自分の気に食わない人間、自分の意に反する人間がいれば、空気を吸うがごとく悪口を言って人を貶したり、人の印象を悪くしたりする。本人は冗談のつもりでも相手を傷つけるような言い方を平気でするのも、浅ましい人間の特徴である。
「あさましい」の使い方・例文
「あさましい」という表現はネガティブな意味合いなので、人に対して軽々しく使うと相手の尊厳を大きく傷つけてしまうことになる。よって、「あさましい」を日常会話で用いる際には注意が必要だ。・自分の都合が悪くなるとすぐに話をでっち上げて誤魔化そうとする彼の行動は、心根があさましいことを意味していると思う。
・自分の稼ぎが少ないからと言って平気で親や友人にお金をたかってしまうのは、彼のあさましい心の表れだ。
・おしどりカップルだと思われていた人が離婚したり、ギャンブルで大金を失ったりというように、人の不幸を楽しむ行為はあさましいという他ない。
・人間なら誰しもがあさましい心を持っていると思うが、なるべくなら自身のあさましさを見せることなく生きていきたいと思う。
・彼氏の浮気を疑ってドアに耳をあてて会話を盗み聞きするというようなあさましい行動を取ってしまい、今ではすごく恥ずかしいと感じている。
・自分の非を認めたくないからと言ってだんまりを決め込むことは、卑怯であさましいことだと思う。
・明らかにイケメンの男性と全くイケメンではない男性に対する態度が全然違うことに気づいて、彼女は本当にあさましい性格だと感じた。
・私の彼氏は付き合う前は高級料理店へ連れていってくれたのだが、交際が始まった今では安いチェーン店にしか連れて行ってもらえず、あさましさを感じる。
・素直に謝れない人間は、あさましい性格だと思う。
あさまし・い【浅ましい】
あさましい
「あさましい」の例文・使い方・用例・文例
- あさましい卑劣漢
- あさましい姿になったものだ
- あさましい奴
- あさましいことをしてくれた
- 彼はあさましい姿になったものだ
- あさましい身なりをして旧友を訪ねまわる
- 人の物を盗むとはあさましい了簡になったものだ
- どうしてそんなあさましい心を出したか
- そんなあさましい心を出すものじゃない
- 無知文盲の徒はあさましいものだ
- ロシアの現状はあさましいかな
- 彼はあさましい身なりをして親友を訪ねまわる
- お前はどうしてそんなあさましい了簡になったか
- 人の物を盗むとはお前もあさましい了簡になったものだ
- そんなあさましい了簡を起こすものでない
- 心や性質が卑しくあさましい様子
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