弟子への暴言・暴力行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 04:43 UTC 版)
2020年7月10日、行き過ぎた指導があったとして日本相撲協会が引退勧告以上の処分を検討していると報じられた。 6月の部屋での稽古中に暴言などのパワハラがあり、その様子を録音していた力士が協会に訴えたという。相撲協会コンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)が調査したところ、3人の力士たちに殴る蹴るなどの日常的な暴力や差別的な暴言を繰り返していたことが分かった。ちゃんこを運ぶ弟子を注意した際に顔面を殴打する、宿舎の荷物を転送する手配に不手際があったと背中を蹴る、「(浴衣の)帯の結び方が汚い」と頭部を殴る、正座させて説教中の弟子の腹を蹴るなどの暴力があり、さらに日常的に「殺すぞ」「ボンクラ」などと不適切な発言を繰り返していたという。15代中川は協会に退職願を提出していたが、調査の途中であることから預かりとなった。 7月13日の臨時理事会で、15代中川は委員から平年寄へ2階級降格処分、中川部屋の閉鎖が決定した。15代中川は時津風部屋付きとなった。解雇などの厳罰が避けられたのは、本人が深く反省し、弟子も処分の軽減を求めていたためであったという。パワハラ問題を受けて審判部を外れて指導普及部に異動した。巡業部・指導普及部の13代枝川が後任として審判部も兼ねることとなった。 処分決定後に週刊文春が力士が録音していた音声データを入手し、オンライン上で公開しており、弟子を「障害者」呼ばわりするなどのその内容から「処分が軽すぎる」と批判の声が上がった。週刊新潮は、稽古の指示や食事、LINEでのやりとりの際などに弟子を蔑称で呼んでおり、さらに相撲協会が2019新型コロナウイルス感染拡大への懸念から各部屋にタニマチとの会食などを控えるよう通達していたにも関わらず、それを無視して2020年3月場所中に大阪場所宿舎で連日ちゃんこ会を開き、売り上げを懐に入れていたと報じている。 15代中川の現役時代を知る元力士そして部屋の近隣住民は「起こるべくして起こった」事態と捉えており、元力士は「とにかく、手が早くて口が悪い。現役時代から“馬鹿野郎!”が口癖でよく後輩を小突いていたよ」と証言していた。 師匠不在となった春日山部屋から緊急で弟子を引き受ける経緯を辿った部屋継承で、自らスカウトし師弟関係を築いてきている他の部屋よりは心の絆が弱かったのでは、と指摘する後援会関係者もあった。「春日山親方の方が良かった」と言う旧春日山部屋力士もいたという。昔から目上の力士や親方には諂うという悪評があり「協会の親方衆に謝罪してまわり、多少なりとも脛疵のある幹部たちに媚びを売り、処分軽減を図ったと疑われても仕方ない」とまで話す知人もいたという。 朝日新聞は、2017年に日馬富士が貴ノ岩への傷害事件により引退に追いこまれ、親方や地位の高い力士にはより重い処分を科す方針も打ち出されたことを引き合いに「過去の事例との均衡を欠き、内外への誤ったメッセージにもなりかねない」と社説で非難している。 一方、「今は軽く叩いても『暴力』で、ちょっとでも厳しく言うと『パワハラ』になる。これでは何も教えられない」と本音を吐露する協会幹部、「全部をクビにしていたら、協会から親方が誰もいなくなってしまう」と降格処分に理解を示すベテラン親方も存在し、通報を主導したと見られる人物に対して「やり過ぎだ」と非難する声まで上がっていると伝える報道もある。
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