島田美術館本とは? わかりやすく解説

島田美術館本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 16:13 UTC 版)

武州伝来記」の記事における「島田美術館本」の解説

島田美術館本は縦24センチ、横17センチ福岡本とほぼ同サイズ袋綴じ1冊本で、本文福岡市総合図書館本同様すべて漢字カタカナまじり文、各丁1行20前後22行送りで、墨付き部分全部48丁である。福岡本が17行送り54であったのに比べるとかなり文字が小さく詰まった感じである。構成も「兵法武州玄信傳来」「追加」「自記」の三部構成となっており、巻末に「小倉碑文」を載せていることも全く同じである。即ちこれは原本元よりこの構成でできていたことを証明している。但し、島田美術館本は十数か所の虫食いによる欠字欠文や、写筆者ミスによる欠文欠字甚だ多くそのままでは意味の繋がらない文面多々見られる。 この写本重要なのは、「顕彰会本」で初め世に紹介された『丹治峯均筆記』はこの島田美術館本であった考えられることである。小説それからの武蔵』の著者小山勝清がその随筆に「この本は有名であるが、写本であるため、実は私も読んだことはない。この記録発見したのは武蔵会会長島田真富氏である」と証言している。島田真富は『宮本武蔵顕彰会本)』発行発起人一人顕彰会の主要メンバーであった島田恒信の甥にあたり、真富も資料収集協力した考えられ豊富な武蔵関資料展示した島田美術館はその延長線上にある福岡本との大きな違いは、表紙に貼られた書き題箋外題が『兵方大祖武州玄信傳来となっていることである。ただし、筆跡本文異筆であり、この表紙一見して近現代に付けられたと思われる比較新し後装である。中の袋綴じ料紙1丁目の片面著し外気焼け汚れ具合上部センチもの虫食い欠損状態から判断して、そこが表紙として長年外気さらされていたであろうことが一目瞭然である。すなわち『顕彰会本』が参考にした写本は本来の表紙失われたこの状態にあり、編者池辺義象は書題不詳のため著者の名で『丹治峯均筆記』として紹介し末尾参考資料には本文1行目の見出しから「兵法大祖武州玄信公傳」と載せていたものであろう。これによって『丹治峯均筆記』とした理由判明した現在の表紙最初からのものではなくその後資料保護のために付けられたものであり、本文1行目の見出し兵法大祖武州玄信公傳来」を表紙書き題箋にして貼り付けたものと判断される。 島田美術館本の写筆原本『武州傳来記』 写本末尾寛政12年(1800)申の10月下旬筆写したと書き記されているが、筆者の名はなぜか墨で塗り消されている。そしてその元本筆写事情そのまま写されている。 《宝暦六年丙子十一月日写先生之需而己于時山田貴古十有七》 すなわち元本宝暦6年(1756)に先生なる者の頼み応じ17歳山田貴古が筆写したものであることが判明した山田写した本が原本なのか写本なのかは不明である。しかし本文付録として付けられた『小倉碑文』の奥書に、 《宝暦丙子之冬閏十一月日写焉以附于武州傳来記之後 潜田直道時歳二拾又五也》 とあり、「宝暦丙子(六年)の時点『武州傳来記』の後に附けられていたもの写し終えた」と、本来の書名『武州傳来記』があったことを明瞭に書き記していた。宝暦6年といえば延享2年(1745))に丹治峯均没した僅か11年後のことであり、これは峯均のつけた書名であることに間違いないであろう。また丸に「半間庵」(丹治峯均隠棲した志摩郡檍村小庵の名前)の書判による落款書かれていたことから、宝暦6年山田写した本こ丹治峯均自筆原本であった可能性もある。いずれにせよ福岡市総合図書館本」「島田美術館本」共に書名『武州傳来記』一致した福岡本「傳來島田本「傳来表記)。明治期宮本武蔵顕彰会本)』以来であった丹治峯均筆記』の真の書名が2本の写本校合によって初め確認された。異な書名を持つ第3写本出現しない限りこの事実は覆らないであろう

※この「島田美術館本」の解説は、「武州伝来記」の解説の一部です。
「島田美術館本」を含む「武州伝来記」の記事については、「武州伝来記」の概要を参照ください。

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