岩波文庫版への批判とは? わかりやすく解説

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岩波文庫版への批判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/02 16:11 UTC 版)

紫禁城の黄昏」の記事における「岩波文庫版への批判」の解説

岩波文庫版は、原書の全26章中、第1章から第10章・第16章序章一部(全分量約半分)が省かれている。訳者あとがきでは、「主観的な色彩の強い前史部分である第一~十章と第十六章『王政復古派の希望と夢』を省き、また序章一部省略した」とのみ述べている。岩波版で省略された章には、当時中国人共和制望んでおらず清朝認めていたこと、満州清朝故郷であること、紫禁城追われイギリス公使館とオランダ公使館から庇護拒否され皇帝溥儀)が日本公使館頼り日本やむなく助けたこと、皇帝満州国皇帝になるのは自然なこと、などの内容書かれている祥伝社版の監修者渡部は、岩波版について以下のように批判している。 「この文庫本は、原書第一章から第十章までと、第十六章を全部省略しているのだ。その理由として訳者たちは「主観的な色彩の強い前史部分」だからだという。この部分のどこが主観的というのか。清朝建国したのが満洲族であることの、どこが主観的なのか。第十六章は満洲人王朝皇帝が、父祖の地にもどる可能性について、当時どのような報道や、記録あったか第一級資料である。日本政府が全く関与しないうちに、それは大陸での大問であった溥儀ジョンストン日本公使館逃げ込んできた時の芳沢公使当惑その後日本政府がいかに溥儀にかかわることを嫌ったか、その側にいたジョンストン記述ほど信用なるものはない。また岩波文庫では、序章一部喰ったように省略している。そこを原本当たってみると、それは溥儀忠実だった清朝人の名前出てくるところである。つまり岩波文庫訳は、中華人民共和国国益、あるいは建て前反しないようにという配慮から、重要部分を勝手に削除した良心的な刊本であり、岩波文庫の名誉を害するのであると言ってよい」 また、渡部は、岩波版の誤訳指摘している。 「訳者入江曜子春名徹)の略歴記されていないので不明であるが、思想的には東京裁判史観人らしいし、英語力にも問題がある。一例だけ挙げておく。 I need hardly say that the last persons in the world to whom the emperor would have appealed for sanctuary were Chiang Kai-shek and Chang Hsueh-liang;(岩波訳:皇帝誰か庇護求めとすれば世界中で一番最後に頼る人物蒋介石張学良であることは、あらためいうまでもない)この岩波文庫訳では意味がちょう反対になってしまっている。つまりthe last最後の)という単語の意味理解されていない。He is the last person to do such thing(彼はそんなことをやる最後の人だ=そんなことは絶対にしない人だ)というのは旧制高校向けの入試参考書にも出てくる例文である。しかし、誤訳は誰にでもあることだから、それ自体大したことではないだろう。しかし溥儀が、蒋介石張学良世界中で最後に頼る人物だと考えていたと訳するのは、このジョンストン本の内容がまるで解っていなかったということになる。原文は「皇帝庇護求め場合、誰に頼るとしても、世界中でこの人たちだけには絶対頼りたくないのが蒋介石張学良だった」という内容である。 こんなことはジョンストン記述そこまで読んでくれば当然に解るはずなのだ。訳者たちが正反対に誤訳したのが単なる語学力欠如なら許せるが、読者誘導する意図があったとしたら―歴史削除やり方からみて、その可能性がないとは限らない許せない犯罪的行為であろう」 また渡部は、岩波文庫版が「主観的な色彩の強い」として原著の重要部分を省いたことは、原作者対す著作者人格権侵害にあたるとす批判見解出している。

※この「岩波文庫版への批判」の解説は、「紫禁城の黄昏」の解説の一部です。
「岩波文庫版への批判」を含む「紫禁城の黄昏」の記事については、「紫禁城の黄昏」の概要を参照ください。

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