岩波書店『きけわだつみのこえ』改変事件裁判
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「きけ わだつみのこえ」の記事における「岩波書店『きけわだつみのこえ』改変事件裁判」の解説
1994年(平成6年)4月23日のわだつみ会総会で、副理事長の高橋武智が理事長に就任し、第4次わだつみ会が発足する。この人事によって、わだつみ会は志を同じとする組織ながら、旧版の編集責任者である中村克郎らを支持する会員と新理事長の高橋武智らを支持する会員とで内紛が発生した。第4次わだつみ会は1995年(平成7年)に『新版「きけ わだつみのこえ」』を出版したが、中村克郎を始めとする旧版支持者から「誤りが多い」、「遺族所有の原本を確認していない」、「遺稿が歪められている」、「遺稿に無い文が付け加えられている」、「訂正を申し入れたのに増刷でも反映されなかった」といった批判を浴びることとなる。1998年(平成10年)、中村克郎らが新たに「わだつみ遺族の会」を結成。うち中村克郎と西原若菜が遺族代表として、わだつみ会と岩波書店に対して「勝手に原文を改変し、著作権を侵害した」として新版の出版差し止めと精神的苦痛に対する慰謝料を求める訴訟を起こす。原告が提出した原本と新版第一刷の対照データをもとに岩波書店が修正した第8刷を1999年(平成11年)11月に出版し提出した結果、翌12月、原告は「要求のほとんどが認められた」として訴えを取り下げた。ただし、新版は中村ら原告側が編集に携わっている『はるかなる山河に』などを源泉として作成されており、裁判では誤りを自ら訂正しなかった原告を含めた双方に過失があると判断された。
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