存廃についての動き
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2006年度までは帯広競馬場のほか、北見競馬場・岩見沢競馬場・旭川競馬場の4箇所を巡回して開催していた。1997年までは北見を除く3場で平地競走(ホッカイドウ競馬)が併催されていたが、1998年以降は旭川のみがばんえい・平地の併催となっていた。 2006年度は史上初めて帯広で開幕し、上記4場で順次開催されたが、売上の減少による累積赤字の増大から旭川市・北見市・岩見沢市が2006年度限りでの撤退を表明、残る帯広市も負担が大きすぎるとして単独での開催継続に難色を示したことから、ばんえい競馬の廃止が濃厚と見られていたが、ファンらの嘆願や寄付の申し出に加え、2006年12月13日にはソフトバンク子会社のソフトバンク・プレイヤーズ(現・SBプレイヤーズ)が帯広市の単独開催に対する支援を申し出たことから、2007年度より帯広市が単独で開催を継続することが決定した。これについて農林水産大臣・松岡利勝(当時)は「喜ばしいことだ。正式に要請があれば、スムーズに処理できるようにするし、できる限り支援したい」と述べていた。 これに伴い、ばんえい競馬の運営実務を担ってきた一部事務組合「北海道市営競馬組合」は解散し、2007年2月1日に一部業務を受託する運営会社「オッズパーク・ばんえい・マネジメント株式会社(OPBM)」が設立された。また、帯広市はファンなど個人・法人からの寄付もあわせて受け付け、「ばんえい競馬振興基金」を開設、個人・法人からの寄付も毎年のように寄せられている。特に楽天は子会社が地方競馬のインターネット発売を請け負っていることもあり、寄付金のほか売上額から一定割合を積み立て、ばん馬の飼料用としてにんじんや牧草ロールを寄贈している。 2007年度は黒字を計上したが、2008年度の総売上は約115.5億円で前年より約10%余り減少し、当初予算比も97.2%となったほか、入場者数も前年より約6万人減少した。運営安定化の基金も使い果たし、存続は正念場を迎えていく。 2009年度の総売上は約107.2億円で前年比約7%減となった。総入場者も約20万人で、引き続き前年割れとなった。 2010年度の開催にあたり、OPBMは年度途中の撤退もありえるとしていたが、結局2011年度の開催についても12月15日に帯広市と大筋で合意し、今後5年間程度の中間戦略についても両者が協議することで一致した。2011年1月28日には開催日程を発表している。2010年度の売上は約105.6億円 で、売上の下げ止まり傾向は見えてきた。 2011年度の総売上は103億6400万円余りで対前年比約2%減、総入場者数も24万5000人余りで前年比約0.7%減となった。 2012年度の開催業務の委託契約についてはOPBMと帯広市で協議してきたが、委託料の固定化や競争入札方式の導入を求めたOPBMと折り合わず、2012年度はOPBMと委託契約を更新しないことを決定した。運営は帯広市が主体となり、業務の一部は旭川北彩都場外発売所(レラ・スポット北彩都)を運営しているコンピューター・ビジネス(旭川市)に委託することで内定した。ただし、帯広市は「OPBMとは今後も良好な関係を維持していきたい」としている。 また2012年度以降の収支見通しについて、市民検討委員会の提言を基に策定した「ばんえい競馬運営ビジョン」を2012年2月18日に発表。2012年度は収支均衡、2013年度は100万円の黒字、2014年度は1600万円の黒字を見込んでいる。観光振興や外国人客の誘致に注力するほか、主な増収策として以下の施策をあげている。 帯広競馬場に、新たな有料席を設置 7重勝式馬券の導入(実施済) 日本中央競馬会(JRA)の在宅投票システムを利用したばんえい競馬の勝馬投票券(馬券)発売(実施のめど立たず) 場外発売所の新設(琴似駅前・深川) 南関東公営競馬の場外発売日数を増加 ばんえい競馬におけるJRA馬券の場外発売(2013年6月8日より開始) 2012年度の売得金総額は約104億9458万円(前年度比:1.26%増)、入場者数も25万4081人(前年度比:3.38%増)で、帯広市による単独開催となってから初めて前年度を上回った。 2014年2月には2015年度以降の収支見通しを発表。売得金は最大108億円(2015年度)を見込み、収支も2015年度は1100万円、2016年度は200万円の黒字とし、向こう3年間は収支均衡以上が確保できるとしている。同年4月には2013年度の開催成績が発表され、売得金総額は116億5383万3700円(前年度比:11.2%増)、総入場人員は26万8693人(前年度比:5.8%増)でともに前年度を上回った。さらに帯広市が同年6月に公表した2013年度の決算でも、帯広単独開催となってから最大となる約9900万円の黒字を計上した。 上記のほか、既に導入済の5重勝単勝式・7重勝単勝式・三連勝単式・三連勝複式馬券、道外での場外発売の拡充、競馬場内の商業施設「とかちむら」の集客や中央競馬の場外発売により入場者数は上向いており、存続に向けた努力が続いている。しかしインターネット投票が好調な反面、帯広競馬場での発売額が伸び悩んでおり、情勢は引き続き予断を許さない。 賞金は、苦しい経営状況を反映して減額され続けていたが、売上の好転にともない少しずつ増額されるようになった。しかし、今なお全国でも最低の水準が続いており、2019年12月現在、一般競走の1着最低賞金は13万円、1着-3着までの賞金総額は17万7000円となっている。 2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響もありインターネット投票が好調で、発売額は史上最高の483億5278万円(前年比55・5%増)となった。それまでの最高額は1991年度の322億9248万円であり、大幅な記録更新となった。
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