外部からの見分け方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:45 UTC 版)
ブラック企業の見分け方はいくつかの方法がある。 「常識的な企業」か「ブラック企業」であるかを見極める、簡単な方法は離職率・平均勤続年数・および社員の待遇を閲覧することである。離職の理由は様々であり、全ての離職がブラック企業であることに起因するわけではないが、離職率の高い企業や平均勤続年数の短い企業はどのような大手・有名企業・上場企業や外資系・老舗でも、また逆に新興企業・零細企業でもブラック企業と名指しされる一因となり得る。しかし、離職率や退職者数は外部にほとんど公開されず、たとえ公開されていたとしてもその数字の信憑性もまた別であり、企業が急拡大している最中であったり、株式上場やM&Aなどの影響で短期的にデータと現況が激変することもあるので、企業ごとに実状を見抜く、あるいは推し量ることは難しい。 経済誌や趣味誌などの専門雑誌やニュースサイトによる報道・記事という形で企業・事業所の内部が紹介されることも少なくないが、ブラック企業でも継続的な広告出稿やサンプル提供により報道サイドと密接な関係を築いて労働問題が露呈することを防いだり、記事があっても企業のイメージアップを目的に書かせた提灯記事ということも多く、参考にならない場合も多い。 なお、2012年11月7日の日本経済新聞に、厚生労働省がまとめたとされる大卒3年目(平成21年度卒)の離職率が掲載された。それによると、全産業の平均は28.8%であり、産業別では以下の通り。 教育、学習支援業: 48.8% 宿泊業、飲食サービス業: 48.5% 生活関連サービス業、娯楽業: 45.0% ※理容・クリーニング業・冠婚葬祭業・パチンコ・カラオケなど 医療、福祉: 38.6% 不動産業、物品賃貸業: 38.5% 小売業: 35.8% サービス業 (他に分類されないもの): 33.9% ※廃棄物処理・自動車整備・業務請負・労働者派遣・ビルメン・警備・ディスプレイ業など 学術研究、専門・技術サービス業: 31.7% ※士業・デザイン事務所・広告・撮影・獣医(動物医院)業など 建設業: 27.6% 卸売業: 26.8% 情報通信業: 25.1% 運輸業、郵便業: 20.8% 金融・保険業: 18.9% 複合サービス業: 16.4% ※協同組合など 製造業: 15.6% 電気・ガス・熱供給・水道業: 7.4% 鉱業、採石業、砂利採取業: 6.1% それによると、教育や宿泊、飲食、生活関連サービスといった労働集約型の業種での離職率が高い(45%以上)ことが伺えるが、このデータでは離職した理由に触れておらず、ここでの「離職者」には転職や結婚・出産などによる「自発的な離職」も含まれているため、十分な参考にはならない。 2011年にはあるNPOの主催で、就職活動中の学生を対象とした“ブラックとそうでない企業を見分ける法”のセミナーが開催されたが、若者が「入社して内実をその身で痛感して初めて実態を思い知った」ということになったり、さらには生涯一度の新卒就職の機会をブラック企業への就職で棒に振ってしまうなどということが度々発生していることも現実となっている。 平均勤続期間が短い上に離職率も高い、すなわち従業員の入れ替わりが激しいことから、概して同一業界内の末端各所や企業所在地の周辺地域には数多くの若年層・中年層の元従業員がおり、口コミやインターネットの業界関係や地元関係のコミュニティなどを通じて企業にまつわる多くはネガティブな噂も立つ。結局、地元地域で出稿しても人材を集められなくなり、地元企業としての地縁や知名度が無い、数十kmから数百kmも離れた遠隔地や隣県・他地方で求人広告やハローワークの求人を繰り返し出稿したり、人材派遣会社を介する形で人材を集めるような企業もある。 また、ブラック企業は他者や周囲の犠牲や過重な負担、自業界の発展への阻害などを省みずに自己と経営陣の経済的利益のみを追求する利己主義的体質もその特徴であり、地元貢献・社会奉仕・地域共生・業界成長などという理念も有名無実のものであるため、元従業員との関係のみならず、事業所所在地の行政との関係も微妙なものであったり、あるいは同業者や地域の商工関係者との関係・交流が希薄・皆無であることは珍しいものではなく、さらには設立や進出から何年も経ち、幾ら規模が拡大しても地元企業や事業所としての地域社会からの実質的認知や、優良企業としての業界からの認知も得られぬまま、「内実の怪しい会社」と陰口を叩かれていたり、ヨソ者扱いをされ続けているということも多い。 以下に挙げるのは、一般的にブラック企業の可能性があるといわれている例である。
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