墮胎とは? わかりやすく解説

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堕胎

1.堕胎手術の結果、女が死ぬ。

太陽の季節石原慎太郎竜哉は、高校3年生春に英子出会った竜哉英子も、それ以前にすでに複数異性との性体験があった。2人の関係は遊びのようでもあり、戦いのようでもあった。英子妊娠し、「産んでみたい」と言う竜哉曖昧な返事をしつつ、妊娠ヵ月過ぎた時、堕胎を命ずる。英子手術を受け、腹膜炎併発して死ぬ。

ヘッドライト(ヴェルヌイユ) 初老トラック運転手ジャンは、国道わきの食堂宿屋女中クロチルド知り合い、彼女は妊娠する。それを知らせ手紙ジャン届かず、彼からの返事は来ない(*→〔手紙1a)。クロチルドは、妊娠ヵ月で堕胎手術を受ける。やがて手紙読んだジャンは、家族捨ててクロチルドと暮らす決心をし、トラック迎えに来る。クロチルド手術直後身体助手席乗る長距離揺られて行くうちにクロチルド容態悪くなり、救急車を呼ぶが、彼女はまもなく息を引き取った

*自らの手堕胎し破傷風になって死ぬ→〔破傷風〕1の『土』(長塚節)。

★2.堕胎手術後、女が出家する

豊饒の海三島由紀夫)・第1巻春の雪 綾倉伯爵家長女聡子は、松枝侯爵家の嫡子清顕よりも2歳年上で、2人幼なじみだった。洞院宮治典王殿下聡子との婚約決まった時から、清顕は聡子恋するようになった2人逢引重ね聡子妊娠する〔*それを知った清顕の祖母は、「宮様許婚孕ませたとは天晴れだね。今時腰抜け男にはできないことだ」と言う〕。綾倉伯爵松枝侯爵相談して聡子極秘に堕胎させ、その上で治典王に嫁がせようとする。しかし聡子は、奈良の月修寺で自ら髪を切り、出家する

★3.間引き。堕胎手術ができなかった時代は、出産するまで待って子供殺した

故郷七十年』柳田国男)「布川(ふかわ)時代」 「私(柳田国男)」が茨城県布川にいた1314歳の頃。利根川べりの地蔵堂絵馬見た図柄は、産褥の女が、生まれたばかりの嬰児押さえつけている悲惨なのだった障子に映る女の影絵には、角が生えていた。その傍らに、地蔵様が立って泣いている「私」子供心に絵の意味理解し、寒いようなになった

みちのくの人形たち深沢七郎産婆方々の家から間引き頼まれ多くの子消した(*→〔逆さまの世界〕7)。老年達した産婆は、罪を重ねてきた両腕を、肩の付け根から切り落とした産婆死後両腕のない仏像造られ祀られた。その産婆の何代目かの子孫の家に、「私」泊めてもらった帰途、駅の土産物売場に、両腕のない人形立ち並んでいるのを「私」見たこの人形は、間引きされた・消され子どもたち違いなかった。

蕨野行』村田喜代子弥十郎夫婦は4人の娘を育てたが、その後生まれた3人の女児は死なせた。産湯入れて洗ったのち、濡らした紙を顔に当てたのだという。やがて待望男児生まれ熊吉名づけられたが、熊吉生後すぐに風邪患い回復もせず死にもせず、虫の息苦しみ続けた。「3人の死児の障(さわ)りだ」と考えた弥十郎は、山根ババ祈祷頼んで熊吉安らかに死なせた。

★4.母体衝撃与えて子供を堕そうと試みる。

『叩く子』川端康成) 貧乏な土工五郎の妻が2人目の子を身ごもった。乗合自動車揺られていれば堕りるそうだが、金がない。五郎は、拾った回数券表紙裏の運転系統図を見て停留所名読み上げるそのたびに妻は窓敷居から畳の上へ、どしんと尻餅を着く。子供の頃遊戯思い出して、妻は笑いころげる去年生まれた赤ん坊が、むずかって五郎を叩く。五郎は「子供なんか、いくらでも生まれろ」と思う。

★5.夜叉毒気身体から下ろす

酉陽雑俎巻14-555 「わたしは天人だ」と称する美男子が、1人の娘をさらって妻としたが、男の正体は野叉(夜叉)だった。野叉は空を飛び、火のような髪、の膚で、耳は驢馬似ていた。何年かたち、野叉は涙をこぼして「縁が尽きた」と語り鶏卵大の青石1つ、娘に授ける。「家に帰ったら、これを粉にひいて服用しなさい。毒気下ろすことができる」。娘が石の粉を飲むと、青泥のようなものが1斗あまり下りた

の子身体から下ろす→〔立ち聞き盗み聞き)〕1の『蛇婿入り』(昔話)「苧環型」。

*堕胎手術多く収入を得る→〔ゆすり〕2の『黒革の手帖』(松本清張)。



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