国防軍無罪論とは? わかりやすく解説

国防軍無罪論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 01:57 UTC 版)

ドイツ国防軍」の記事における「国防軍無罪論」の解説

詳細は「清廉潔白な国防軍」および「ドイツ国防軍戦争犯罪ドイツ語版)」を参照 国防軍無罪論とはドイツにおける、いわゆる国防軍神話」の一角成しており「ドイツ国防軍国家元首であるヒトラー命令従っただけで、戦争犯罪に関する責任はない」とするものである。これはモスクワの戦いまで陸軍最高司令官務めていたヴァルター・フォン・ブラウヒッチュ元帥が他の四名の将軍連名で、降伏後ニュルンベルク裁判提出した国防軍役割示した覚書にその源がある。そこではドイツ国防軍は非政治的なヒトラー道具過ぎずあくまでも国家元首服従しただけであり、またユダヤ人スラブ人対す残虐行為あくまでもナチス党隷下親衛隊によって行われたもので、ドイツ国防軍ドイツ国軍として通常の戦争行ったに過ぎないとして、ナチズム体制国防軍明確に分離していた。 西ドイツにおいては1950年代同様の認識を示すエーリヒ・フォン・マンシュタインハインツ・グデーリアン回想ドイツ出版されることでこのイメージ補強され海外でもベイジル・リデル=ハートが「(国防軍は)ゲシュタポ親衛隊犯罪行為とは無縁であった」という見方著している。また東西ドイツにおける再軍備による旧国防軍将校ドイツ連邦軍西ドイツ軍)および国家人民軍東ドイツ軍)への復権がそれに輪をかける事となった。7月20日事件関与したクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐らが顕彰される一方で国防軍プロフェッショナルな集団であり、政治には無垢な存在としてとらえられていた。 しかし、1970年頃から国防軍戦争犯罪対す研究が盛んとなり、またナチズムイデオロギーとの関係も研究されるようになったドイツ再統一後の1995年から1999年にかけて、ハンブルク社会問題研究所ドイツ語版)が「絶滅戦争 国防軍犯罪19411944」と題したパネル展(ドイツ国防軍展示会ドイツ語版))を開催した。このパネル展で国防軍東部戦線においてユダヤ人組織虐殺行っていた事、国防軍ヒトラー道具ではなくパートナーであった事などが主張されドイツ二分する激し論争引き起こした連邦軍および連邦国防省はこうした問題態度表明する必要に迫られ1995年6月5日国防軍展示会について「内容はややラディカルなものの、軍事史研究所国防省管轄組織)の研究成果ふまえている」という評価行っている。また11月にはフォルカー・リューエ国防相が、「国防軍第三帝国組織として、その頂点において、部隊・兵とともにナチズム犯罪巻き込まれた。それゆえ国防軍は、国家機関として、いかなる伝統形作ることはできない」と国防軍について批判的な姿勢示した。 またパネル展の論調国防軍全体犯罪行為関与しているようになっていたことは批判生んだヘルムート・シュミット元首相は、「私は、事実明らかにされ、道徳的な観点から判断なされることには賛成である。しかし、始めから1900万人 すべてを一括して中傷さもなくば彼等の子供達にあなた方の親には罪があると信じさせるやり方では、展示当初の目的を果たすことは全く出来ない」と批判している。1997年4月にはドイツ連邦議会において国防軍問題に関する決議を行う動きがあった。同盟90/緑の党は「国防軍国民社会主義システム支柱一つであった国防軍組織として国民社会主義犯罪関与した」という決議案提出しドイツ社会民主党民主社会党賛成得たものの、ドイツキリスト教民主同盟提出による「ドイツ国防軍への従事者対すあらゆる一方的総括的な非難に対して断固として反対する」という決議案賛成多数採択された。1995年8月に『デア・シュピーゲルが行った世論調査では、46%が「国防軍ナチス虐殺行為関与していた」と回答している。 2000年ごろの研究ではホロコーストにおいても国防軍何らかの形で関与していたことは明らかになってきているが、「純粋に組織的な犯罪集団」であるかどうかについては議論存在する2009年ドイツの歴史家 クリスティアン・ハルトマン(ドイツ語版) は、「いわゆる清廉潔白な国防軍という神話についてこれ以上正体暴く要はなくなった国防軍の罪はあまりにも圧倒的であるために、これ以上議論はもはや不要である」と述べている。

※この「国防軍無罪論」の解説は、「ドイツ国防軍」の解説の一部です。
「国防軍無罪論」を含む「ドイツ国防軍」の記事については、「ドイツ国防軍」の概要を参照ください。

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