名称・造形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 23:57 UTC 版)
神としての正式な名前は阿羅羯磨(あらかつま)と設定されている。造形のモデルとなったのは、古墳時代後期(6世紀)の人物形象埴輪で国宝に指定されている『埴輪 挂甲武人』といわれ、当時の小札甲(挂甲)と衝角付冑に似た甲冑に身を固めている。なお大魔神の冑の頬当(ほおあて)の上に伸びた脇立(わきだて)状の2本の突起は『埴輪 挂甲武人』には無いが、同時代の武人埴輪にいくつか見られるものである。 普段は柔和な表情をしているが、ひとたび怒ると憤怒の表情に変わる。このとき腕で顔を拭うような仕草(左腕で顔を下から隠してそのまま腕を上へ動かす、あるいは両腕を顔の前で交差させてからバンザイのような位置に腕をもっていく)をするのが特徴である。 攻撃は主に右手から繰り出されるパンチと腰につけている鋼鉄の剣を用いる(『妖怪大戦争 ガーディアンズ』では、伸縮し火炎を纏う剣になっている)。そのパンチ力は強力で、城門や櫓など全て一撃で全壊させることが出来る。蹴り技は使われない(塀は脚で撥ね退けるだけで壊せる)。パンチや剣による直接的な攻撃の他、手刀から繰り出す風圧で燃え盛る火を一瞬で鎮火させる、水中に潜航した状態で激しい水流を発生させて敵の舟を転覆させる、火の玉を放って相手を焼き払う、雷雨を発生させ敵軍を混乱させるなど、多彩な遠隔攻撃の能力を持っている。資料によっては、手足から火炎放射を発し、兜から放電し、超能力を持ち、万能レーダー眼とコンピュータの10倍の頭脳を持つとされる。 また白い光となって高速飛行する能力を持っており、1作目では山中で武神像から憤怒状態になった後、空を飛んで城内に直接降下し、戦闘に入っている。戦闘が終了すると武神像に戻り、忽然と風化して消滅する。 なお、身長・体重設定は資料によってバラバラであり(下表参照)、これについて『空想科学読本3』では「なぜ同じケイブンシャの図鑑同士でも身長だけで3倍も数値が違うのか?」とツッコミが入れられていた。 資料名出版社身長体重『ガメラ画報』 竹書房 およそ15尺(4.5m) (未記載) 『世界怪獣大全集』 朝日ソノラマ 6m 250t 『世界の怪獣百科』 ケイブンシャ 5m 6t 『怪獣怪人大図鑑』 ケイブンシャ 15m 50t 大魔神の造形は、『ウルトラQ』『ウルトラマン』の怪獣造形を担当した高山良策が手がけている。1作目で高山は京都に出張し、武人埴輪に着想を得て、15尺(4.5メートル)の実物大の魔神、人間を掴むシーンのための実物大の魔神の腕、実物大の脚、人間の入るぬいぐるみ、ラストシーンで崩壊する魔神のミニチュアを製作している。高山は併映の『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』でも、バルゴンのぬいぐるみとギニョールの造形を担当しているが、本作で京都出張して多忙だったため、そちらの仕上げはエキスプロダクションが行っている。2作目、3作目の大魔神は、高山の造形物を参考にした村瀬継蔵らエキスプロにより、より軽量なものが製作されている。 実物大の魔神は、製作費500万円(当時)と3か月の日数をかけて製作された。当初、大魔神の目は電球仕掛けで発注され、高山も作り物の目を仕込んだ頭を制作している。この頭は大き過ぎたのと、役者の目を活かそうとの黒田監督らの意見で没となり、より小さく役者の顔に合わせたものが作り直されている。
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